共産党の胡散臭さ

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共産党の胡散臭さ

中国共産党が結党100年に関連して、日本共産党の志位氏の発言。
歴史を辿れば、かつて同じ釜の飯を食った仲だった中国共産党に対して、なかなか辛辣だ。
だけど、日本共産党はどうなのよ?……とも思う。

【独自】共産党・志位氏「共産党の名に値しない」、結党100周年の中国共産党を痛烈に批判 | ハフポスト

日本共産党の志位和夫委員長は7月1日、中国共産党が結党100年を迎えたことを受け、「東シナ海や南シナ海に対する行動、ウイグルや香港での人権侵害などの行動は、『共産党の名に値しない』とずっと批判してきた」とコメント。「世界が中国に『大きな誤りがある』『国際的なルール、国際法を守れ』という声を上げていくことが大事だ」と述べた。

日本において、共産党の存在意義はあるのだろうか?……と、率直な疑問だ。
弱小政党では、ほとんどなにもできない。反対意見を言っても、口で言うだけ。公約らしきものを掲げても、実現できることはないに等しい。共産党に1票を入れたとしても、無駄に議席数を削っているだけで、その議席が有効に作用するのを見たことがない。

結局のところ、最終的には多数決だから、少数政党の共産党の議席は結果を左右することがない。
それって虚しいよね。

『共産党の名に値しない』というが、日本の共産党はその名に値しているだろうか?

旧ソ連や中国の共産党が、あのようになってしまったのは、多数派となり政権を握ったからだ。
出発点はそれほど違わなかったのに、辿った道が違ってしまったのは、政権を取ったかどうかだと思う。
国家権力を手に入れ、自分たちの思い通りに国を動かせるようになると、横暴になっていくんだ。
人は権力に毒されると腐っていく。権力は麻薬でもあるからだ。
幸か不幸か、日本共産党は政権を取ることができていないから、初心のまま理想を掲げていられる。

日本共産党は政権を本気で取るつもりはないようだが、仮に野党連合で政権に加わり、何人かが大臣の椅子に座るようなことがあれば、いつも批判している自民党の大臣と同じような振る舞いをすることになるだろう。
かつての民主党がそうだったように。
理想だけでは国は動かせないと気がつく。権力を握ると、権力を行使したくなるんだ。

共産主義の基本的な理念……富の公平な分配などは、数百人程度の小さなコミュニティであれば成立するが、数千万人〜1億人規模の国家では成立しない。人の数が多くなればなるほど、公平や平等を管理することが難しくなっていくからだ。

富の総量は限られているから、貧しい国の富を国民で公平に分配すると、国民全員が貧乏になってしまう。それには堪えられないから、一部の特権階級が富を独占するようになる。そうして破綻してしまったのが、かつての東側の社会主義の国々だ。

富が無限にあれば、みんなが金持ちになれる公平な分配もできるが、そんなことはありえない。
以前、別記事で計算したことがあったが、日本の富の総量を人口で割ると、約600万円くらいになった。
公平に分配すると、誰もが年収600万円だ。
ただし、プロ野球選手でも巨大企業の社長でも医者でも居酒屋の店員でも街の清掃員でも、職業の種類にかかわらず等しく600万円である。なぜなら、公平に分配しているので、それ以上の富は存在しないのだ。600万円以上の資産を持つ人はいない世界が、共産主義の理想社会ともいえる。

そういうのは非現実的だ。
一枚のピザを、公平に8等分することはできるが、1億等分にすることはできないんだ。

日本共産党の綱領に以下のようにある。

日本共産党綱領|党紹介│日本共産党中央委員会

日本共産党は、わが国の進歩と変革の伝統を受けつぎ、日本と世界の人民の解放闘争の高まりのなかで、一九二二年七月一五日、科学的社会主義を理論的な基礎とする政党として、創立された。

科学的社会主義」という言葉自体が胡散臭く感じてしまう。

科学的社会主義とは……

歴史の発展や社会の構造を科学的に分析し,資本主義社会の経済法則とその矛盾を明らかにし,資本主義社会に代わって社会主義社会が到来する必然性を解明しようとする思想。エンゲルス以降のマルクス主義者が,自己の理論体系をそれ以前の空想的社会主義から区別するために独断的に使用した言葉で,いわゆるマルクス主義と同義である。

この説明がわりと簡潔なので引用したが、その説明でも胡散臭い。
日本共産党が国会質疑等で、「科学的に分析」した発言をしているのを見聞きしたことがない。
私が聞き逃しているのかな?

資本主義社会が限界に来ているのは間違いない。その理由も、富が有限であることだ。富が有限なのに、永久に経済成長できるはずがない。同様に、人口が未来永劫に渡って増え続けることもできない。日本が少子化に転じたのは、生物的な限界に達した意味もあるが、資本主義社会の限界に達したからでもある。

そして、綱領の終わりの方で……

社会主義・共産主義の社会がさらに高度な発展をとげ、搾取や抑圧を知らない世代が多数を占めるようになったとき、原則としていっさいの強制のない、国家権力そのものが不必要になる社会、人間による人間の搾取もなく、抑圧も戦争もない、真に平等で自由な人間関係からなる共同社会への本格的な展望が開かれる。

……と、理想を高らかに謳っている。
理想は大事だが、これは実現可能な理想というより夢想である。
ここまで来ると、もはや宗教だ。

神様を信じますか?
科学的社会主義を信じますか?

どちらにも共通しているのは、実在しないものを信じるかどうかという点。

自民党は腐ってしまっているが、じゃあ、共産党が政権を取って国を動かせるのか?……というと、あまりに頼りない。
日本の政治の不幸は、政権交代が起きにくいことだ。
アメリカのように、共和党がだめだとなったら民主党に政権交代する。逆もしかり。
日本ではいまの自民党はだめだといいつつ、代われる政党がない。
選挙に行こう……といわれても、立憲もだめ、共産党もだめと、投票したい政党がない。
結局、投票率が低くても自民党が勝ってしまう。

「中国共産党とは違う」という日本共産党だが、政党名が同じであることは、違いがわかりにくいことにもなっている。
政党名を変えるくらいの変革が必要なのでは?

資本主義経済の中にどっぷり浸かっている日本の中で、共産主義思想を掲げるのも無理があるというか矛盾しているように思う。
共産党の党員であっても、日常では共産主義的行動をしているわけではないだろ?
資本主義経済の中に組み込まれて、働き、給料をもらい、消費している。

結婚式は教会で行い、元旦には神社にお参りし、死んだら寺でお経を唱えてもらう。
節操のない宗教観の日本だが、日本共産党もそれと似ている。
資本主義経済を批判しつつ、資本主義経済の恩恵を受け、科学的社会主義を提唱しつつ、その実現のための具体的なロードマップはなし。

理想は実現できる……というのであれば、本気で政権を取りにいけ。
共産党が政権を取ると、日本はどう変わり、私たちの生活がどう変わるのか、そのビジョンを示してくれ。
絵に描いた餅では、腹は満たされないんだ。

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