地球の温暖化の問題は、過去記事でも度々触れているが、世界的に経済が低迷していて温暖化抑止のためにコストをかけることが難しくなっている。
暑い夏には、「温暖化の影響ですかね」と、ニュースキャスターが定型句のごとくいうのだが、この冬のように寒い冬になると「温暖化」の「お」の字もいわなくなる。
温暖化は季語にでもなったのか?
温暖化の主な原因とされる、二酸化炭素の排出量を削減することが課題となっている。
過去記事でも触れたが、地球の誕生以来の歴史の中では、現在以上に二酸化炭素が多く温暖化していた時期はあった。
問題とされているのは、二酸化炭素の増加するスピードが、あまりに早いことだ。考古学的な過去の温暖化の場合には、数千~数万年かけて二酸化炭素が増加した。それがテクノロジーの発達とともに、ここ数百年で増えていることが、過去に例がないということ。
二酸化炭素削減のための方法がいろいろと提示され、試されているが、以下の記事もそのひとつ。
だが、これには大きな矛盾がある。
キーワード解説:燃やしても燃やしたことにならない?「木質バイオマス」 – スマートジャパン
木質バイオマスは、再生可能エネルギーの1種であると認定を受けている。しかし、木質バイオマスからエネルギーを得るには燃やすしかない。燃やせばCO2が発生する。それでも再生可能エネルギーと認定を受けているのは、バイオマスには「カーボンニュートラル」という性質があるからだ。バイオマスは、燃やしてもCO2を排出したことにならないのだ。
木質バイオマスを燃やすことで発生するCO2は、光合成のために植物が大気から吸収したものだ。いずれ森林が吸収して光合成する。燃やさずに放置しておいて、腐敗と分解を進ませてもいずれCO2を放出する。木質バイオマスは燃焼させてCO2を排出しても、地球全体のCO2濃度には影響を与えない。地球上の炭素の自然な循環の中に入っているということだ。
植物は大気中の二酸化炭素を吸って燃焼で元に戻すだけだから、プラスマイナスはゼロ、という理屈。
それはそうではあるのだが、これには前提条件がある。
森林の面積が変わらないこと。
森林の面積というか、量が変わらなければ、植物が吸収する二酸化炭素の量と燃焼で放出される二酸化炭素の量は、差し引きゼロだという理屈は成立する。
だが、実際には、森林は急激に減少している。
熱帯林では、毎年1,420万ヘクタールもの天然林が減少しているそうです。この面積は日本(本州)の約2/3ほどに相当し、また10秒ごとに東京ドーム1個分の森林がなくなる計算となります。
「カーボンニュートラル」の計算の中には、減少し続ける森林のことは計算に入っていない。
1本の木についてはいえば、差し引きゼロでも、地球全体では森林が膨大に減っているのだから、二酸化炭素の量は増え続け、植物が放出する酸素の量も減る。
「木を見て森を見ず」とはこのことだ。
世界中の森林を燃やしたとしても、「もともと大気中にあったものだから、二酸化炭素の増大にはならない」といえるのだろうか?
「カーボンニュートラル」は都合のいい詭弁としか思えない。
「カーボンニュートラル」の理屈を拡大すれば、石炭は太古の樹木の化石だ。それに含まれる炭素も大気中の二酸化炭素が由来だ。
ならば、石炭を燃やすことは「もともと大気中にあったもの」ということになる。
石炭で「カーボンニュートラル」が成立しないのは、どういう理屈なのか?
そもそも石油だって、太古の微生物だったものの死骸が由来だとされる。厳密にいうと、石油は化石由来だけではなく、別の要因もあるとの説があるが、ここではいちおう化石燃料ということにしておく。
石油を燃焼することは、もともと地球にあった二酸化炭素が再び大気中に放出されているだけだ。これすらも「循環」しているにすぎない。
「カーボンニュートラル」は辻褄合わせの机上の空論だ。
明日の天気すら正確には予報できないのに、数百年後、数千年後の予測はもっと困難だろう。
温暖化が人類の文明で起きているのは確かだろうが、タイムスケールは違うものの、過去に地球は温暖化と寒冷化を繰り返している。
この先、温暖化とは逆の、氷河期が来ると予測する科学者もいる。
未来がどうなるかは、正確にはわからない。
昨今の温暖化問題は、政治的、経済的な動機付けの理由に使われていることが多々ある。製品を売るために「エコ」を強調したり、経済的な取り引きとして二酸化炭素の排出量を売り買いしたり、政治的に二酸化炭素削減のアピールをすることで国として主導権を発揮する……といったようなこと。
乱暴な言い方をすれば、仮に温暖化が最悪のシナリオで進行したとしても、人類が絶滅するような状況になるのは数百年後~数千年後だ。
そんな先のことまで心配する余裕が、現在の社会にあるだろうか?
はっきりいって、ない。
結局、温暖化問題で踊らされているだけかもしれない。