【レビュー】攻殻機動隊 SAC_2045

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4月23日より、Netflixで配信が始まった「攻殻機動隊 SAC_2045」をさっそく見た。
新作の場合、毎週1話ずつの配信になるのが普通だが、なんと一挙に12話公開となっている。
一気に見たいところだが、とりあえず7話まで見た。
さすがに一気見は疲れる。

タチコマ

攻殻機動隊 SAC_2045

う〜〜む……
なんだろう、この違和感は(^_^)b
声優陣は安心なので、声だけ聞いていれば懐かしい顔ぶれではある。
だが、映像を見ると、すげーーギャップ。

採点するなら、100点満点中の60点かな。

この作品に限ったことではないのだが、日本のアニメ界はフルCGの作品が苦手だね。
手描きアニメで培ってきた日本アニメの良さが、CGになると発揮できないというか、生かせていない。
技術的な問題なのか、使いこなせていないのか、その両方なのか。

全身を動かすのは、基本的にモーションキャプチャーが使われているが、この手法はモデルとなるモーションキャプチャー俳優の演技力に左右される。役者の動きをリアルにトレースできるだけに、役者の癖がそのまま再現される。役者が大根だと、CGキャラの演技も大根になる。

その典型が、荒巻課長だった。
その動き(演技)、荒巻じゃない!……と叱りたくなる(^_^)b
手描きの場合には、アニメーターのイメージした演技を描くわけだから、荒巻は荒巻たりえる。これはほかのキャラについても同じ。
モーションキャプチャー俳優のらしくない演技で、9課の面々のキャライメージは崩壊してしまっている。

その中で、素子の演技だけは、まあまあの及第点だった。
ただし、素子のキャラ造形は、やや少女っぽすぎるのは気になる。擬体だから、いかようにも変えられるとはいえ、もう少し大人っぽい方が好き。

キャラ描写についてさらにいえば、部分的に顔の皺を実線で描いているのは不自然。
全体として3DCGなのに、なぜに皺だけ2次元アニメ的に実線で描くのか?
その表現は違うと思うぞ。

違和感のもうひとつのポイントは、顔の表情だ。
総じて表情が乏しいというか硬い。生き生きした表情になっていない。
これは手描きアニメではありえないことだ。
おそらく、ツールとしてのCGを使いこなせていないがゆえの未熟さなのだろう。

ディズニーのCGアニメを見たまえ。
手描き時代と変わらない、表情豊かな表現ができているではないか。
それができていないこの作品は、レベルとしてかなり低い。作品制作は完璧などということはなく、どこかで妥協するものだ。その妥協点を、どのレベルにまで持っていくかでもある。
本作は、妥協レベルが低すぎる。

ストーリー的には、過去の攻殻シリーズとそれほど差はなく、シナリオには80点を付けてもいい。
問題は、映像だ。
人間キャラの出てこない、メカのシーンなどはかなりよい出来になっているが、人間キャラの仕上がりレベルが低いために、作品全体の質を落としてしまっている。

想像するに、CGであることにとらわれすぎて、手描き時代の初心を忘れてしまっているのではないか?
CGは表現方法のツールであり手段でしかない。
手法が変わっても、表現することは変わっていないはずだ。
すでに、12話まで制作済みだから、いまさらいってもしょうがないのだが、今一度、手描き時代の攻殻を見直して、そのエッセンスというか良さというのを再確認して、次の作品に臨んで欲しいと思う。

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