予測が難しく、いつ起きても不思議ではない自然災害というと、地震がある。
だが、M9クラスの地震でも、地球全体として見れば局所的な災害だ。
あまり馴染みがないと思うが、大規模な太陽嵐が地球を直撃すると、ハイテク社会が壊滅的被害を受ける大災害になるとされている。
それに関する研究報告。
過去70年に観測された10倍規模の太陽嵐が、2600年前に発生していた | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
太陽嵐とは、フレアと呼ばれる太陽表面での爆発的現象によって生じる、高速・高エネルギーのプラズマ(電離気体)や荷電粒子、電磁波の流れである。70年ほど前から研究者によって直接観察されるようになり、人工衛星や地上の通信システム、電力インフラなどに甚大な被害をもたらすおそれがあるものだということがわかってきた。
(中略)
今回、ルンド大学の研究チームは、約10万年にわたって形成されたグリーンランドの氷床コアを分析し、紀元前660年あたりのベリリウム10をもとに、大規模な太陽嵐が発生していたことを明らかにした。また、氷床コアの塩素36のデータとベリリウム10とを合わせて分析し、この太陽嵐が非常に強いエネルギースペクトルを持つもので、過去70年に観測されたもののおおよそ10倍の規模であったことも示している。
研究論文の責任著者であるルンド大学の研究者は「今、この太陽嵐が発生したら、現代のハイテク社会に深刻な影響をもたらすだろう」と述べ、「太陽嵐から社会を守る対策を講じるべきだ」と警鐘を鳴らしている。
記事中では、太陽フレアのことが取り上げられているが、それよりも破壊力が大きいのがコロナ質量放出(CME)である。
小規模な太陽表面の爆発は頻繁に起きていて、ときどき規模の大きな爆発が起きる。
その爆発が、たまたま地球に向かって直撃すると、地球はその爆風にすっぽりと覆われてしまう。
上図は、NASAの動画からの切り出しだが、左下に地球の大きさを、青色の丸で示した。写っているフレアは、地球に向けて放出されていないから、横方向に飛んでいる。直撃コースだと、真正面にフレアが写ることになる。
地球の大きさに対するフレアがいかに巨大かがわかると思う。コロナ質量放出は、これよりもさらに規模が大きい。
こいつが地球を直撃すると、あらゆる電子機器が破壊される。
停電はもとより、過電流があらゆる電線に流れて機器を壊す。人工衛星も破壊され、衛星経由の通信が遮断。
テレビは写らないし、電話も通じない。もちろん、スマホもネットもダウンだ。
ハイテク社会は、完全に遮断されてしまう可能性がある。
大部分の電子機器が破壊されると、電気のなかった時代……18世紀に逆戻りするという。
故障した電子機器は、新しいものと交換する必要があるが、部品を作る工場も破壊されているので、工場の再建から始めないといけない。
ところが、再建するための電気を使う道具や部品もない。
すべてをアナログで、手作業でやらなければいけない。
ゼロとはいわないが、ゼロに近い状態から再建することになる。
それに要する時間は、数年〜十数年かかるかもしれない。
夜は明かりのない、暗黒時代の到来だ。
余談だが、すべての電子機器がシャットダウンすると、原発の制御もできなくなる。
原子炉は冷却できなくなり、暴走する。
福島第一原発事故の再来だ。
フレアやコロナ質量放出は、予測することはできないが、発生を観測することはできる。
しかし、地球に到達するのに要する時間は、わずか8分程度で電磁波が到達して電波障害が生じ、数時間で放射線が到達するという。
放射線は磁場や大気で減衰はするが、すべてを防御できるわけではない。
規模が大きく、長時間にわたって放射線にさらされると、被曝量も多くなると予想される。
生物にとっては、致命的な影響をおよぼす可能性もある。
この太陽嵐は、いつ起こっても不思議はない。
これまでは運が良くて、たまたま地球に直撃ではなく、規模も小さかっただけ。
過去には大規模かつ直撃したことがあった……というのが前出の記事。
その日は、明日かもしれない。
ある日突然、世界は暗黒時代になる。
サバイバルの始まりだ。
君は、生き残ることができるか?