ミサイル発射のドタバタ劇

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ノドン

ノドン

北朝鮮のミサイル(自称・人工衛星)発射で、日本は右往左往していたという印象だ。

誤報は出すし、Mネット(Em-net)なんていう電子メールとFAXを足したようなチープなシステムを使ってるし、予想された時間に現場はバタバタしていたし……。

発射を観測してから、末端に伝わるまで、伝言ゲームのような中継ポイントがいくつもあるから、その分だけ時間がかかっている……という、情けないシステムだ。端末の担当者が受信した情報をプリントアウトして、上司に報告するというシーンがあったりして、これはギャグか?と思った。やってることが呑気だ。

市民に伝える方法は、町内アナウンスというお粗末さ。迅速さが必要なのに、人力に頼っている部分が多すぎる。

ミサイルだったら10分もかからずに着弾しているのだから、そんな方法では間に合わないし、意味がない。
今回は、ありがたいことに「予告」してくれたから、準備して、Mネットの端末の前に張り付いて、待っていればよかった。もし、予告なしに発射されたら、端末の前に誰もいないこともあるわけだし、それ以前に端末の電源が入っていないかもしれない。

情報を受けとる人がいなければ、まったく無意味なシステムである。

Mネットが導入されていない市町村もあるとのことだったが、なにもそんなものに頼らなくても、普通に電子メールを送ればいいだけだろうに。政府からの直通である必然性はない。要は早く、確実に情報が届けばいいのだ。政府からの重要メールを受信するメールアドレスなり、受信パソコンを用意すればコストも安くて済む。

政府がそれ用のメールアカウントを、市町村に用意すればいい。それならば、ほんの数分、設定に時間がかかっても数時間で、全国に情報を伝達できる手段が実現する。一般のネットを使うと、スパムなどの問題も発生するが、セキュリティやフィルターを厳しくかければ、そこそこ対応できると思う。

最初の警報が誤報であったというのも、現場の人たちはテレビを見ていて知ったようだ。結局、テレビが一番早く確実な情報伝達手段だったということではないのか?

電子立国日本……のはずなのだが、ハイテクがありながら、使いこなしていない実態が浮かび上がった気がする。
そんなドタバタをテレビのニュースで見ていて、思わず口にした。
「昔みたいに、空襲警報鳴らした方がいいんじゃねぇ?」
空襲警報なんて、私の親の時代の話なので、実際に聞いたことなんてないが、戦争をテーマとした映画やドラマでよく見るあのシーンだ。
アナクロなローテクではあるが、もっとも効果的かもしれないと思った。

その後の対応もドタバタとしていた。
一段目のロケットが落ちたということは確認されているが、どこに落ちたかの特定はできていないようだ。公表していないだけかもしれないが、落ちたポイントを追跡できなかったとしたら、迎撃するにも狙いようがなかったということである。

政府は批難声明を出しているが、衆院決議では政党によって対応は分かれている。というのが、以下の記事。

北朝鮮抗議決議を採択=ミサイル発射「容認できない」-共産反対、社民棄権・衆院(時事通信) – Yahoo!ニュース

 衆院は7日午後の本会議で、北朝鮮の弾道ミサイル発射に「断じて容認できない」と強く抗議し、独自制裁の強化などを政府に求めた決議を採択した。与党と民主、国民新両党は賛成し、共産党は反対、社民党は採決を棄権した。参院も8日の本会議で、同趣旨の決議を採択する見通しだ。
名称は「北朝鮮によるミサイル発射に抗議する決議」。発射を「国連安全保障理事会決議1695、1718に明白に違反し、わが国として断じて容認できない」と強調し、政府に「断固たる抗議の意思を北朝鮮に伝える」ことを要求。その上で、日本独自の制裁強化や、新たな国連安保理決議の実現に努力するよう求めている。

この記事だけだと、反対したり棄権した政党は、なぜ賛成しなかったのかがわからない。「ミサイル発射を容認した」とも受け取れる。
理由は別の記事にある。

<北朝鮮ミサイル>衆院、発射の非難決議案を採択(毎日新聞) – Yahoo!ニュース

 衆院は7日午後の本会議で、北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射に対する非難決議案を自民、民主、公明党、国民新党などの賛成多数で採択した。決議は、北朝鮮が「人工衛星」と主張する飛翔(ひしょう)体をミサイルと断定したうえで、「今回の発射は国連安保理決議に明白に違反し、断じて容認できない。政府はわが国独自の制裁を強めるべきだ」と訴える内容。共産党は「国連で明白な決議違反とは決まっていない。経済制裁の効果も疑問だ」との理由で反対、社民党は採決を棄権した。

参院では野党が独自の決議案をまとめ、8日の本会議で採択する方針。北朝鮮に発射の自制を求めた3月31日の決議は衆参両院とも同じ文面で、いずれも全会一致で採択されたが、今回は各党の足並みがそろわなかった。【野口武則】

北朝鮮非難の国会決議を採択へ 衆院本会議(産経新聞) – Yahoo!ニュース

 北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射に抗議する国会決議が、7日午後の衆院本会議で、自民、民主、公明各党などの賛成多数で採択される。「ミサイル」という表現の是非などをめぐって野党間で意見が対立し、社民党は反対し、共産党は反対か棄権する構えだ。

民主、共産、社民、国民新の野党4党の国会対策委員長は7日朝、国会内で会談した。社民党は「中国もロシアも国連決議違反といっていない」などとして、与党が提案した決議原案から「違反」という表現を削除するよう要請。さらに、日本政府による制裁強化を指す「さらなる制裁を検討し」のくだりを削って「必要かつ適切な措置」へ表現を変更するよう求めた。共産党も表現を弱めるよう主張した。

民主党は「強い表現にしないと民主党内が持たない」などとして共産、社民両党の要求を拒否。このため、「ミサイル発射」「国連安保理決議違反」などと明記した自民、公明両党が提案した原案に賛成することで最終調整に入った。

一方、8日の決議を予定する参院では、なお民主党が共産、社民両党に配慮した表現での採択を模索しており、衆参で決議内容が異なる可能性も出てきた。

反対の理由は、文言が気に入らないということらしい。

安易にナショナリズムに走るのは問題もあるが、中国やロシアがどう言おうが、アメリカがミサイルとは言ってなかろうが、それは他国の受け止め方であって、それに倣う必要はない。

日本政府としてどう見るか、ということが重要なはずだ。
国際協調をするというのは、他国の意見に従うということではないはずだ。自己主張はした上で、妥協点を探るのが外交だろう。

もっとも、こういう決議をしたからといって、聞く耳を持たないのが、かの国である。
迎撃されたときには報復するとも豪語していたが、もしそうなったときには日本は対抗手段が乏しい。命中率の低い、あてにならない迎撃ミサイルはあるが、数が足りない。報復の報復をしようにも、かの国まで届く短距離弾道ミサイルは、自前では持っていないことになっている。

現在、300発ほどのノドンを持っているといわれているから、それが一斉に発射されたら、打つ手はほとんどない。専守防衛を建前としている自衛隊にできることは限定されている。実際問題として、どれほど防衛できるかも疑問符がつく。

もうひとつ気になるのは、Yahoo!ニュースなどでの、ユーザーコメントだ。
中国、韓国、北朝鮮のニュースになると、批判というより罵詈雑言が多く書き込まれている。侮辱や差別用語のオンパレードだ。

Yahoo!では書き込みに対して、IDの一部表示をするようになったが、当初は書き込む内容の過激さ(あるいはバカバカしさ)が抑制されるという効果がみられたが、最近では慣れてきてしまったのか、元に戻ってしまった。

よく見られるのが「民度低い」という言葉だ。だが、そうやって侮辱していること自体、民度が高いとはいえないという自己矛盾に気がついていないのが、いささか情けない。

民度が高いと自負するのなら、それなりの発言の仕方があるはずなのだ。一連のバッシングを見ていると、日本の民度が高いとは思えなくなってしまうのだが……。

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