オスプレイに見る安全性と防衛の問題

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オスプレイ

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 オスプレイの問題で、安全性に関して反対運動が起きているのだが……
 一連の報道を見ていると、原発反対のロジックと同じようだ。

 つまり、「絶対安全」という不可能な保証を求めている。

 世の中、どんなものでもリスクはある。
 「安全性」というから誤解するのだが、「リスクがどの程度あるか?」と考えるのが論理的だ。
 一度でも事故を起こしたものは、危険として排除していったら、世の中からあらゆるものがなくなってしまう。
 過去、こんにゃく食品で事故が起きたら、その商品は排除されたし、最近ではレバ刺しも危険のレッテルを貼られてなくなった。それを言い出したら、ほとんどすべてものでなんらかの事故は起きているから、なんでもかんでも排除していかなくてはならない。
 毎年、餅を喉に詰まらせて死に至る人がいる。餅は危険だから禁止しよう。
 毎年、海水浴シーズンになると水の事故で死ぬ人が出る。海は危険だから、海水浴は禁止しよう。
 度々電車が人身事故を起こすから、電車は危険だ。電車はなくそう。
 最たるものは車だ。交通事故は頻繁に起きている。こんな危険なものはない。オスプレイが墜落するより、桁違いに危険だ。
 ならば、車も排除するか? それをしないのはなぜなのか?
 危険率という尺度があるとすれば、一定の危険率を超えたものは排除する……という合理性が必要だろう。

 米軍の押しつけがましい配備が、感情的な反発を生んでいるのも事実だが、安全性などというものは理想論でしかない。
 事故はいずれ起きる。
 飛んでるものは墜ちる。走っているものは衝突する。浮かんでいるものは沈む。歩いていれば転ぶ。事故は起きるのが必然だ。
 リスクマネージメントは、危険性を下げることに注力するだけではなく、事故が起きることを前提に、事故が起きたときにどういう対処をするかの方が重要だ。
 そういう議論がされていない。これは原発の問題も同様。

 オスプレイのリスクに関しては、以下の記事が正論。

野田首相にオスプレイで自民が援軍 石破元防衛相「どれだけ地域の安全が保たれることか」 (1/2) : J-CASTニュース

「オスプレイが危ない」とされる根拠のひとつが、10万飛行時間当たりの「重大事故」の件数を表す「事故率」だ。海兵隊全体の事故率は2.45で、オスプレイの事故率は1.93、普天間飛行場に配備されているCH46ヘリコプターは1.11。一見、CH-46の方がオスプレイよりも安全に見える。

ただし、老朽化したCH-46は続々と退役しており、普天間飛行場に配備されていた機体についても2012年6月下旬から解体作業が始まっている。このため、「そもそも稼働率が下がっているため、事故率も低く見える。ベトナム戦争の頃は、今よりもはるかに高かった」という指摘がある。

 問題は米軍のことだけではない。
 これは日本の防衛問題でもある。自衛隊に日本の防衛をすべてまかなえるだけの装備や戦力がないために、米軍に頼っているのが現状だろう。
 米軍が日本を守ってくれるというのは、表向きのパフォーマンスで、本音はアメリカの国益を守っているだけなのは承知だ。とはいえ、米軍の存在が北朝鮮や中国に対する牽制になっていることは事実だ。

 たとえば……
「オスプレイはいらない、米軍もいらない、米軍が撤退することで、たとえ尖閣諸島を中国に占領されてもしかたがない」
 ……と、いえるだろうか?
 現在の米軍が日本に持ちこんでいる軍備や兵力を、自衛隊だけでまかなうには膨大な予算が必要になる。アメリカのいいなりになっていることは情けないとは思うが、自前の軍備を増強するかアメリカの力を借りるのと、どっちがいいか? という話。

 首相をはじめ、政府の国民に対する説得力が乏しいのは、今に始まったことではないが、説得力を持たせるための「理由」には、ひとつ効果的な方法がある。
 それば「外敵」を作ることだ。
 国内からの批判に対して、明確な「敵」を作る。
 今回の場合でいえば、
「中国や北朝鮮の脅威に対抗するために、オスプレイを配備することが必要だ。オスプレイがあれば尖閣諸島を防衛できる」
 というような理由づけだ。
 それをいえば、中国が反発することは必至だが、米軍の意図はそこにあるのも事実。
 中国や北朝鮮、韓国でも、日本を仮想敵国(というより憎しみの対象)にして反日教育しているわけで、政府に向けられる国内からの批判の目を外敵に向けさせてかわしている。
 つまり、お互い様だ。
 是非はともかく、そのくらいの悪知恵を働かせてもいいように思う。

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