火星への往復費用は約5500万〜1100万円?


火星旅行は「夢」ではあるが、現実はそう甘くはない。
スペースXのイーロン・マスク氏は、火星旅行の往復費用が、約5500万〜1100万円になると語ったという。

マスク氏、火星への往復費用は約5500万〜1100万円以下に値下がりすると語る | sorae:宇宙へのポータルサイト

スペースX創業者のイーロン・マスク氏は、火星への往復費用は将来的に50万〜10万ドル(約5500万円〜1100万円)以下になるとの見通しを語りました。

(中略)

スペースXは現在、超大型宇宙船「スターシップ」と、そのブースター「スーパー・ヘビー」を開発しています。このスターシップは以前BFR(ビッグ・ファルコン・ロケット)と呼ばれていた頃の計画では、100人を搭乗させることが可能です。また、火星から地球へと帰還し、何度も再使用される予定です。

夢のある話なのだが、実現性はかなり低い。
少なくともマスク氏の存命中には無理だろう。

火星への片道切符で行くことを目指していた「Mars One計画」のMARS ONE社が、破産したというニュースも流れていた。

火星への片道プログラム「Mars One計画」、無念の破産 | ギズモード・ジャパン

スイスの都市バーゼルの商業登記簿によりますと、裁判所は2019年1月15日の時点で、Mars Oneの破産を宣言したとあります。

MARS ONE社は、寄付、商品販売、およびメディア会社とのドキュメンタリー及びその他のコンテンツ制作の契約を通じて、計画実行の資金を調達しようと頑張っていました。そしてSPACENEWSいわく、彼らはロッキード・マーティンとサリー・サテライト・テクノロジーと契約し、着陸機や軌道周回衛星を手に入れる算段になっていたようです。ですがお金が底をついちゃったんですね。

まぁ、そもそもの計画自体に無理があり、夢物語の計画ではあった。
では、スペースXの計画はどうなのかというと、自前でロケットを作っている分だけ可能性は上がるが、それでも火星となると五十歩百歩だろう。

火星まで行くためのロケットというか宇宙船も問題ではあるが、もっと問題なのは宇宙線(放射線)による被爆問題だ。
数日で辿り着く月ならまだしも、数か月〜半年はかかる火星までの過程で、致死量の被爆をしてしまう。

さらにいえば、100人乗りだとすれば、100人分の食料(往復だから倍の量)を持って行けるのかどうか。
SFであれば、冷凍睡眠(コールドスリープ)で眠らせるところだが、コールドスリープの技術はまだない。
となれば、100人は日常生活を送りながら(食べて、排泄して)、数か月の間、宇宙を飛ぶことになる。

宇宙船のペイロードは限られているから、なるべく身軽に限る。
月に行ったときは3人だったが、火星ならバックアップ要員を考えて5〜6人が限度だろう。
100人規模の宇宙船は、おそらく現状の技術では不可能。
加えて、数か月にわたる閉鎖環境で、100人の統率をとるのは至難の業。

スペースX社も、将来が約束されているわけではなく、潰れる可能性がある。
火星への旅行の実現と、スペースX社の破産の可能性を予想すれば、後者の方が確率は高い。

ついでにいえば、ZOZOTOWNの前澤氏が、2023年に月旅行に行くという計画も、実現性には疑問符が付く。
2023年は4年後だが、まだそのためのロケットすら完成していない。
テスト飛行を考えれば、そろそろ無人機で月を周回してくる実機を飛ばしていないといけない時期だろう。

また、搭乗する前澤氏を始めとした乗員は、トレーニングを始める必要もある。
飛行機に乗るように、ただ座っていればいいというわけにもいくまい。
打ち上げ時のGに耐える訓練、無重力下での訓練(航空機による自由落下)、もしものときの対処能力を高める訓練、必要最低限の知識の習得……等々、やるべきことはたくさんあるはず。

毎度書いていることの繰り返しになるが……
火星に人類が降り立つのを見るのが、私の「夢」でもある。
だから、期待はしているのだ。

しかし、それは私が生きているうちには実現しそうにない。
50年以内に実現できれば、早いほうだと思う。

LINEで送る
Pocket
LinkedIn にシェア