W杯2次予選、シンガポール戦は、負けに等しい引き分けだった。
各スポーツ紙、スポーツ雑誌、サッカー評論家達の記事を、ほぼ全部読んだ。
結果が結果だけに、悲観的な記事、批判的な記事が多かった。それも当然だろう。
ただ、あの試合、シンガポールのGKを褒めるべきで、スーパーセーブ連発の活躍は、かつての絶好調のときの川口選手を彷彿とさせた。日本のシュートが甘かったというのもあるが、あれほど「当たり」が出るGKというのは、そうそうあることじゃない。
さすがの観客も、この結果にブーイングしていたが、これまた珍しいこと。観客の目も、肥えてきてるってことだね、セルジオさん(^_^)
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毎度辛口批評のセルジオさんは、「監督が代わっても何も変わっていない」というようなことを書いていたが、監督が代わって3ヶ月程度で劇的に変わるわけがない。それは無理な注文だよ。前監督時代のメンバーをすべてポイッして、まったく新しい選手を選ぶのならまだわかるが、経験値のある選手を残していれば、おのずとチームカラーは引きずる。メンバー総入れ替えの荒治療をすれば、それはそれで批判されるだろう。
良くも悪くも、日本代表のチームカラーというのは、1998年のフランス大会からあまり変わっていない。世代交代はしているものの、サッカーの質に大差はない。
それは「日本人のやる日本のサッカー」だからだ。
監督が代わることで、ベースにある日本人のサッカーに、多少のスパイスが加味されて、ちょっと味付けが変わる程度なのだ。醤油ベースのラーメンに、トマトソースを加えてイタリアン風にするか、チャーシューの代わりに牛肉の赤ワイン煮をトッピングして、フランス風にするか。味付けは変わってもラーメンはラーメンだ(^_^)。
本質部分を変えることは、かなり難しい。
いろいろと読んだ記事の中でも、最悪の記事が以下。
今後の巻き返しに期待するけど、引き続き同じ戦い方に固執するならば、早々と監督交代も考えないといけないかも。浦和のミハイロ・ペトロビッチ監督(57)や広島の森保一監督(46)がふさわしいと思うけど…。
もう監督交代の話かよ(^_^)b
監督をコロコロ変えるチームほど、ダメなチームはない。代表チームでもクラブチームでも、頻繁に監督が代わるチームは低迷する。そういうチームは、監督の能力にも問題はあるが、チームとして機能していないから監督がどういう策を講じても結果に結びつかない。
しかも、候補として挙げているのが、現クラブチームの監督なのは御法度だろう。
監督交代論をいうのであれば、武田氏が「オレがやってやる」といわなきゃ(^_^)。その資格は持ってるわけだから、他力本願ではなく、「オレが監督をやればベスト8までいける」と豪語するくらいの覚悟を持ってほしいものだ。ハリル監督にダメ出しするからには、武田氏には明確な監督としてのビジョンや方策があるのだろう。それを実証すればいい。ただのサポーターが、「監督を代えろ!」と文句をいうのではないのだから。
逆に秀逸だった記事が以下。
ハリルも悩む日本の“真ん中フェチ”。逆襲のキーワードは「横に速く」!?(1/3) [サッカー日本代表PRESS] – Number Web – ナンバー
雀百まで踊り忘れず。もう、癖というか、習性というか、性癖に近いものなのだろう。日本代表攻撃陣のポジショニングのことである。6月16日のシンガポール戦前半の攻撃は、日本が引いた相手と対峙した際の見慣れた光景だった。
(中略)
就任から約3カ月、ハリルホジッチ監督もシンガポール戦の前半を見て、日本代表の選手が“真ん中フェチ”であることに気づいたようだ。
「真ん中フェチ」というネーミングに苦笑した(^_^)b
なぜか、中央突破を再三繰り返すんだよね。まるで特攻のように。
その主たる原因は本田にある。なまじキープ力があると過信しているためか、ゴリゴリと中央に切り込んでいく。それが成功するときもあるから、その成功体験がイメージにあるのだろう。今度こそ、今度こそ……と繰り返す。キレのいいときの本田なら成功率も高いが、シンガポール戦はキレがなかった。そのことを当人が自覚していないことが問題かもね。
周りの選手は、本田にボールを集めようとするから、結果、真ん中フェチになってしまう。そこに本田がいなければ、ボールをサイドに流すのではと思う。
本田はなんだかんだいっても、大事な場面で結果を残してきた選手だから、頼りになるのはたしかだ。だが、ときに本田が足かせになる。スタメンで使うよりも、終盤のジョーカーとして使う方がいいのかもしれない。
日本チームの長年の本質的な問題は、世界に通用する絶対的なストライカーがいないことや、フィジカルの弱さでもない。
一番の弱点は「メンタルの弱さ」だと思う。
チームワークの良さ、仲間を思いやるやさしさは利点だが、ときにそれが災いする。
海外組は、所属チームの中に日本人はひとりかふたりしかいないから、試合に出してもらうためには自己主張しなければいけないし、遠慮していたら出番はやってこない。それにはメンタルの強さが求められる。
ところが、代表チームに入ると、仲間は気心の知れた日本人同士だから、自己主張するよりも周りに合わせて仲良くやる方がいい。それがいい方向に転ぶと、チームワークのいい連動した試合運びになる。だが、うまくいかないときは、焦りや不安が連動してしまう。本来は強気のはずの本田ですら、弱気になり、視野が狭くなっているように見受けられる。
活躍を期待されている宇佐美ですら、代表チームに入ると個性が埋没している。ガンバではあんなにズバズバ決めているシュートが、まったく枠内に飛ばない。気負いなのか焦りなのか、たぶん両方だが、本来の持ち味をほとんど発揮できていない。
代表での公式戦は、相当なプレッシャーがかかっているのだろう。
日本代表の再生のカギは、「香川」の再生にあるのではと思っている。
いろいろと批判の矢面に立たされる日本の10番だが、彼は日本代表を象徴する選手でもある。テクニックはあり、好調のときはキレキレだし、真面目で礼儀正しく性格もいい。彼が大活躍すれば、代表は上昇気流に乗れる。
一方、彼はナイーブで傷つきやすく、プレッシャー弱いガラスのハートの持ち主でもある。強引に自分ひとりの力でごり押しするタイプではなく、周りに活かされ、周りのサポートがあって結果を残せる選手だ。
香川の持つサッカーセンスやメンタリティは、日本代表の姿そのものといってもいい。
現状、代表チームは香川を活かせていない。香川が活躍するためには、「香川システム」とでも呼べるような布陣や戦い方をしないといけない。単純に、トップ下に置くだけではだめなんだ。
ハリルジャパンは、思わぬつまづきをしてしまったが、むしろ、それが今だったことが幸いだ。おそらく、ハリル監督は選手の選考や戦術について、軌道修正するのではと思う。ラーメンはラーメンでも、味付けは変えないと、美味しいものにはならない。
次の代表戦は、東アジアカップだ。国内組のみで戦うことになるから、軌道修正、大改造にはもってこいの舞台だ。それで変われるかどうかが、今後を占う試金石になるように思う。