負けたオマーン戦について、各誌、各サッカー評論家が分析記事を書いているが、中でも的確な分析だと思ったのが、中山 淳氏の記事。
感情論や根性論で評価する人が多いので、こういう分析記事は貴重だ。
森保ジャパン、チーム戦術の崩壊。攻守に乱れたデータがはっきりと出た|サッカー代表|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva
W杯アジア最終予選に簡単な試合はないが、さすがに初戦からオマーン相手にホームでの敗戦で失望した人は多いはずだ。しかも、スコアは0-1ながら、内容はほぼ完敗。攻守両面にわたって、日本に良いところは見当たらなかった。
前回のロシアW杯アジア最終予選の初戦でも、日本はホームでUAEに1-2で敗れている。しかし、勝てる試合を直接フリーキックとPKで落としてしまった当時の試合内容と、今回のそれとは大きく違っていた。
この試合を検証して浮かび上がってきたのは、チーム戦術の崩壊と言っても過言ではないレベルの、深刻かつ根深い問題だった。コンディション不足や欠場者というエクスキューズを考慮したとしても、それを上回る問題の数々を早急に解決しなければ、目標のW杯ベスト8どころか、7大会連続のW杯出場さえも、危険信号が点滅するだろう。
(中略)
おそらくこのような現象が起こった最大の原因は、今年に入ってから戦った格下相手の試合にある。1試合で二桁ゴールを奪うなど、敵陣で一方的に攻撃する試合が続いたことで、日本は自陣で守るかたちを忘却。カウンターを浴びる心配もなく、敵陣で即時回収する感覚が染みついてしまい、その方法によってオマーンを攻略しようとした。
しかし、相手のクオリティの違いに気づいたところで、時すでに遅し。試合中に軌道修正する術は持ち合わせていなかった、というのが実際のところだろう。
サッカーで二桁得点なんて、普通はありえないわけで、いかにレベルが違いすぎたかということ。
そんな楽勝の相手ばかりと試合をしても、強くはならないよね。
アジアのレベルが低すぎる現実があるから、選手の多くが海外組であっても、アジアのチームと対戦すると緊張感が乏しく、無意識に手を抜いてしまうのかな。
これがヨーロッパや南米の予選だと、上位と下位の差が小さく、油断するわけにはいかない。そういう環境の違いが、レベルの差になっているんだろうね。
オマーン戦はDAZNで見直した。岡田さんの解説を聞きたかったからだ。
日本チームは相手に合わせてしまうという、奇妙な癖があるんだよね。
強豪と対戦すると、負けはしてもいい戦いをする。W杯のベルギー戦のように。
一方、格下相手なのに、相手に合わせてぬるい戦い方をしてしまう。
オマーン戦は、まさにそれ。
ある意味、主体性がないんだね。
これが日本の戦い方だ!……という、確固たるポリシーやスタイルがない。
オーストラリアと中国の試合も見た。
結果は3-0でオーストラリアの完勝だったが、中国は守備が弱かった印象はあるものの、先制点を入れられまでは、互角に渡り合っていた。前半で2点を入れられて、負けを意識したのか、後半は動きが鈍くなった。
この中国相手だと、オマーン戦の日本の調子では、勝機は五分五分だろうね。
中国も監督解任論が湧き上がっているようなので、死に物狂いで挑んできそうだ。
日本も連敗となると崖っぷちなので、正念場だ。
だが、日本はここで負けた方がいいのではと、私は思う。
日本に足りないのは危機感だ。
アジア枠が増えたことで、W杯に出られるのが当たり前になって、気が緩んでいるのではないか。
W杯でベスト8以上という目標を立てているが、五輪では目標のメダルには届かなかった。
なぜメダルに届かなかったのかの検証と反省がないまま、W杯最終予選の初戦で敗戦した。
責任の多くの部分は、監督にある。
選手を選ぶのも、先発に誰を出すのかも、交代で誰を出すのかも、どういう戦術を採るのかも、すべて監督が決めることだ。
結果にも、監督は責任を持たなくてはいけない。
五輪でメダルを取れなかった時点で、監督は引責辞任すべきだった。二度とないだろう東京五輪で目標のメダルが取れなかったんだ。こんな醜態はないだろう。
U24とはいえ、世界レベルを相手に、森保監督は成果を上げることができなかった。ある意味、監督の限界が示された大会だった。
「この悔しさを糧に」と言われたが、糧にしているはずなのにオマーン戦の惨敗だ。ぜんぜん糧になっていないんだ。
きっかけというか理由がないと監督の首を切れないのであれば、中国に負けることが引き金にはなる。もし、敗戦しても続投するのだとしたら、ファンが黙っていないだろう。
中国戦は、明日(7日)、24時から。
DAZNでの観戦だ。