地震予知の難しさは科学的なことよりも、ハズレたときのバッシングではないか

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 5月25日の関東の地震、5月30日の小笠原近海の地震は、ちょっとビックリするくらい大きかったね。火山活動も活発化しているように思われる。
 火山列島である日本は、ここ100年くらいは静かな時期だったそうで、活発になったように思われているのは、本来の姿に戻っただけというのが、ある火山学者の見解だった。

 地震予知、火山噴火予知は、科学的・技術的に確立されていない分野だが、数百年~数万年単位で起こる現象に対して、観測可能になったデータの蓄積がせいぜい100年くらいしかないのだから、予測しようにもデータ不足ということらしい。

1923年(大正12年)9月1日、関東大震災

1923年(大正12年)9月1日、関東大震災。京橋の第一相互ビルヂング屋上より見た日本橋および神田方面の惨状。Wikipediaより。

 それでも、予測を試みる学者はいる。

東大名誉教授の最新MEGA地震予測 千葉、神奈川の異常を指摘│NEWSポストセブン

 従来の地震学とは全く異なるアプローチによる「MEGA地震予測」(*注)を展開する民間会社JEASEA(地震科学探査機構)の顧問を務める東京大学名誉教授の村井俊治氏は、警鐘を鳴らす。

(中略)

「上下動で見た異常変動マップでは、関東地方で大きな異常は見られません。しかし、水平方向の動きの異常は明らかに広がっています」

 記事では千葉県房総半島南部や神奈川県三浦半島の異常が拡大していると指摘。さらに、箱根山の近くで新たに水平方向の動きに異常が出ていると警鐘を鳴らしている。

 あまり大々的に公表はされていない予測なので、知らない人がほとんどだと思う。
 この記事が転載されたYahoo!ニュースのコメントを見ると、科学的な予測の難しさよりも、予測に対するバッシングの方が問題な気がした。

 予測だから、ハズレることもある。
 観測精度が高くなっている天気予報だってハズレる。
 ことが地震であるために、予測でハズレると、「当たらないじゃないか!」とバッシングが起こる。逆に、ある程度的中すると、「事後に公表しても意味がねぇ!」とバッシングされる。報道として公表されたのは「事後」ではあるのだが、予測は事前に公表するから「予測」なのだ。
 ただ、それを見ている人、知っていた人が極めて少なかっただけ。
 広く知らされなかったことに対しても、バッシングしている。
 マイナーなメルマガで公表していることに対しても、バッシングする。

 こういう短絡的な反応があると、地震予測を積極的にする研究者は、少なくなるだろうね。
 それは予測の科学的・技術的な難しさ以上に、難しい問題だと思う。
 現在の科学は万能ではない。
 特に、地震・火山については、わかっていることよりも、わかっていないことの方が多い。だから、学者によって、予想や予測が180度違うこともある。
 体感地震の頻度は少ないものの、地震そのものは毎日、日本のどこかで発生している。
 予測で重要となるのは、大きな地震や噴火だが、ハズレの予測が頻発すると、予測の信頼性が薄れる。かといって、予測をためらうと、予測の意味がなくなる。
 ジレンマだ。

 天気予報であれば、「晴れときどき曇り」とか「曇りのち雨」と、どっちともとれる予報だったりする。
 地震予報であれば……
平穏ときどき震度3」とか「やや不安定のち震度5」なんていうのだろうか?(^_^)
 降水確率のように、「本日の地震確率は10%」といえるようになるだろうか?
 降水確率の10%は、ほとんど降りそうにない場合が多いけどね。
 地震や噴火の予想・予測は、どういう表現にするといいのか?……といった問題もある。

 地震予測が、ある程度、日時や規模を予測できるようになったとして、では、起きる前に避難できるかというと、それもなかなかに難しい。
 津波の場合には、津波が届かないであろう高台に避難することはできる。
 しかし、地震のときはどこに避難するのか?
 地震は広範囲に影響するから、裏山の高台にというわけにもいかない。
 地震予測が天気予報並にできるようになったらなったで、困った問題も起きそうだ。
 首都直下型地震が発生するとしたら、数万人~数百万人が避難しないといけない。それだけの人々が一気に避難できる方法や場所はない。お盆やGWですら、交通渋滞になるし鉄道はキャパを越える。

 予測できることにこしたことはないが、予測をどう活かすのかのノウハウがないことも問題だね。

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