W杯シーズンは、サッカー記事が増えるので、多くの記事を読むことになる。
記者や評論家の、それぞれの視点と分析能力が試されることにもなる。

サッカーを取り巻くメディアにも評価をにも書いたことだが、記者や評論家のレベルは相対的にまだまだ低い。分析に深みが足りず、説得力も乏しい。○○が悪い、●●がダメ、▲▲が理解できない……等々、短絡的で感情的な表現が多く、なぜそうなのかの説明をきちんとしている記事は少ない。そのレベルの記事は、ファンがブーイングしているのと大差なく、今後に活かせるような建設的な内容になっていない。記事を書くことで金をもらっているプロとしては、日本代表を叩く資格があるのか疑問に思ってしまう。

そんな中でも、いくつか優れた記事はあるのが救いだ。しかし、よい記事は全体の3割くらいで、7割はクズ(笑)。サッカー文化は、まだまだ未熟だと実感する。
よい記事の中でも、秀逸だったのが以下。

放り込みはゲームに勝つために必要なアクション【#坪井戦術】ギリシャ戦分析(前編)(小澤 一郎) – 個人 – Yahoo!ニュース

6月19日(現地時間)に行われたFIFA )ブラジル大会のグループリーグ第2戦、日本対ギリシャの一戦は、前半にギリシャが退場者を出すも日本が堅守のギリシャのゴールをこじあけることができず0-0のスコアレスドロー出終わった。

このギリシャ戦においても、『サッカーの新しい教科書』(カンゼン)の著書である坪井健太郎氏(スペイン在住のサッカー監督)に戦術分析してもらった。前後編に分けて今回は前編をお届けする。

(中略)

――試合終盤は吉田を前線に上げての放り込みがありました。初戦でもあった放り込み作戦については否定的な意見が多いですが、坪井さんはどう見ましたか?

ゲームに勝つためにはあれは必要なアクションです。あのオランダですら、スペイン戦で4-3-3を捨てて5-3-2に徹してくる訳ですから。日本はまだ、ワールドカップの舞台で勝つための手段を選んでいる余裕がありません。最後にパワープレーに出るというのは自然なアクションなので、そのオーガナイズを否定することはないと思います。

この記事は、いろいろと示唆に富んでいる。
批判の多かったラストのパワープレーについて、有効性がある策だとして、その改善策も示している。
記事として読みたいのは、こういう分析と提言なんだよね。

日本人としては数少ない海外でのコーチ経験がある、坪井氏ならではの分析と評価だと思う。海外に出て行く選手は多くなったが、監督として海外に出て行く人は少ない。選手だけでなく、監督も海外に出て行くようにならないと、日本のサッカーのレベルアップにはならないと思う。

そういう意味では、現在海外でプレーしている選手たちが、やがて監督を目指すようになったとき、海外のチームで監督に就く時代になれば、日本は世界の強豪の仲間入りができるのかもしれない。

監督の選手起用や采配は、結果次第だから結果が出なければ批判される。
問題のパワープレーも、吉田がゴールを決めていれば、采配が当たったということになる。先発や途中交代の選手についても、結果が出れば名采配だし、結果が出なければ迷走といわれる。

大久保を先発で使え……という記事は以前から多かったが、ギリシア戦では結果は出なかった。相手があることだから、そうそう計算通りにはいかない。将棋やチェスの駒のように、起用した選手が計算通りに動けるわけではなく、どんな策を取ったとしても「賭け」ではある。

将棋に例えれば、飛車角がFWに該当するが、相手側は自由に動けるのに対して、日本側は3マスしか動けないハンデがあるようなもの。能力差、戦力差がある中で、どういう策が有効なのかはザッケローニ監督に限らず、名将といわれる監督でも難しいだろう。

残り時間数分になって、パワープレーをするのは苦肉の策ではあるが、崩して攻めることができない状態では、賭けるしかない策だと思う。なにも策を講じないのは無策だし、パワープレーをやっても成功しなければ迷走といわれる。大きなハンデを背負っている日本チームにとっては、厳しい戦い方だ。
結果的に勝てなかったし、策は成功しなかったが、勝とうとして動いたことは事実だ。早々に負けるとあきらめていたら、なにも策は取らなかっただろう。

選手も監督も勝とうとした。だが、勝ち星に届かなかった。
結果論でものがいえる記者や評論家は、あと一歩届かなかった原因がどこにあるのか、どうするのが最善だったのか、たらればの話ではあるが、分析と提言をすることで、今後に活かせるように思う。

そのお手本になりそうなのが、小澤氏と坪井氏の対談記事だ。

直前のテストマッチで対戦したコスタリカは、金星を挙げて16強に早々と駒を進めた。
だが、コスタリカは弱小だと酷評していたのが……

【W杯コラム】「ザック・ジャパンの4年間はとても平穏だった」杉山茂樹氏 | コラム – FIFAワールドカップブラジル2014特集 – gooニュース

 しかも今回の相手は、ニュージーランド、、コスタリカ、そしてザンビアだ。相手にとって不足ありと言いたくなる弱者ばかり。よくぞまぁ、ここまで弱い相手を探したものだと逆に感心したくなる。

杉山氏は南ア大会の直前にも、日本代表についての酷評記事を書いて、のちに謝罪記事を書いた前科があるが、今度はコスタリカに謝罪しなきゃね(笑)。ちなみに、直近のFIFAランキングでは、コスタリカは28位で、46位の日本よりは格上だったのだ。
目先のことしか見ていなくて、客観的な分析をしないから、あとで大恥をかくことになる。

連日、時間の許す限り他国の試合も見ているのだが、イタリアの試合を見ていると、戦い方や選手の動きが日本代表の絶好調だったときと似ていると感じた。大きな違いは、個々の選手のレベルだ。また、バロテッリのようなFWがいることも大きな違い。

監督がイタリア人であることが、これほど戦い方に現れるということを再認識した。
コスタリカが日本とテストマッチをしたことは、仮想イタリアとしては大正解だったともいえる。その試合で負けたことが、コスタリカにはプラスになり、本番でイタリアに勝てたことの一因かもしれない。

サッカーを取り巻くメディアにも評価をでも書いたが、記者や評論家が試合の結果について、批判や批評を書くことが、チームのレベルアップに貢献するかどうかは、その記事の内容しだいだろう。
メディアが辛辣な批判をすることでチームが強くなるのなら、スペインやイングランドが惨敗したことの説明にならない。翻訳記事として配信されてくる記事を見る限り、ボロクソに批判されている。

批判記事でチームが奮起するのなら、連敗はしなかったのではないか? どうかすると3連敗してしまいそうだが、そうなると批判記事はマイナス効果としてしか機能していないのではないか?

サッカー評論家の中には、批判することでチームのレベルが上がる……という人がいるのだが、その因果関係には私は懐疑的だ。それは記者や評論家の自己満足のような気がする。「おれが批判したからチームは強くなったんだ」という、根拠のない自己肯定だ。そういう自惚れがあるから、さしたる分析や考察もなく、監督や選手を叩くことを正当化しているように思う。

ともあれ、あと1試合。
他力本願ではあるが、ミラクルが起きたら感動的だろうなー。
とにかく日本の得点シーンを見たい!

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