私のブログで「3Dプリンタ」について、最初に取り上げたのが……
2012年11月29日「3Dは映像よりも実物が魅力的」
……だったのだが、それからまだ1年も経たないのに、あれよあれよという間に、3Dプリンタが身近なところにまで進出してきた。
東京都・品川区などでクロネコヤマトが3Dプリンタのフィギュア制作を実施 | クリエイティブ | マイナビニュース
「クロネコ3Dフィギュアサービス」は、依頼主をフルカラー3Dスキャナで撮影した後、フルカラー3Dプリンタで出力し、リアルなフィギュアを制作するサービス。同様のサービスを行う専門スタジオは東京・青山や大阪・心斎橋などにあるが、同サービスは依頼主の自宅にて3Dスキャナによる撮影を行うのが大きな特徴となる。
3Dプリンタを個人で買うには高価だから、出力してもらうサービスが先に始まったが、それも最近になって各社が参入してきた。
いやはや、3Dプリンタは面白いと思ってはいたが、ここまで早く一般化するとは思わなかった(笑)。
家庭用3Dプリンタも登場してきて、10万円を切る価格のものもある。ここまでくると、ちょっと高機能なレーザープリンタよりも安い。
ニーズはまだまだマニアックな層だとは思うが、それ以前は存在していなかった市場だけに、これは電子ブックよりもビジネスとして成長が早くなるかもしれない。
電子ブックとの対比でいえば、ベクトルがまったく逆。
かさばる本の縛りから解放されて、データとして形のない本が、小さな端末に何千冊も持ち歩ける……というのが、デジタル時代の先端を行く電子ブック。電子ブックは、物理的な本としてではなく、テキストあるいは画像として本の内容だけを所有する。
電子ブックは、アナログ(物)からデジタル(仮想)へのシフトだ。
3Dプリンタは、元はデジタルのデータだが、ディスプレイ上の仮想空間に存在する立体物としてではなく、リアルな空間に物理的な存在として創出させる。イメージを実体化させ、手で触れられるものへと変換する。
3Dプリンタは、デジタル(仮想)からアナログ(物)へのシフトだ。
まったく異なる分野だから、市場として影響し合うことは少ないと思われるが、いろんなものが、電子化、デジタル化に突き進んできた中で、リアルなアナログに回帰しているのは興味深い。
アナログへの回帰が、3Dプリンタによる生成物だけに留まるのか、それともいったん電子化に傾いた「本」にもアナログ回帰の流れが来るのか。
もしかしたら、3Dプリンタの登場は、アナログ回帰への序章となるのかもしれない。