変異株クライシス

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SARS-CoV-2は、約2週間ごとに変異を起こして変化していくことがわかっている。
日本での過去3回の感染の波は、4か月ほどの間隔で起こってきたので、それぞれで異なる変異株による流行だったといえる。

変異株クライシス

Microscope image shows the coronavirus, SARS-CoV-2, Coronavirus 2019 (COVID 19) in Electron microscope view group of virus.

そして、現在は第4波となり、N501Y変異株が感染拡大を起こしている。
ここにきて、さらに脅威となりそうな変異株が出現しているという。

米国流行の変異株 日本人6割「免疫」発揮できない可能性(1/2ページ) – 産経ニュース

米国で感染が急拡大している新型コロナウイルスの変異株について、日本人の6割が持っている免疫細胞で排除できない可能性があるとの解析結果を、東京大や熊本大などの研究チームが明らかにした。この変異株は国内でも沖縄県での感染例が報告されている。日本で感染が拡大した場合、他の変異株より脅威となる可能性もあるという。

新型コロナウイルスの表面には、人の細胞に取り付く足掛かりとなる「スパイクタンパク質」と呼ばれる突起がある。米国の変異株はこの部分に「L452R」という変異を持ち、2種類がカリフォルニア州を中心に拡大している。

カリフォルニア変異株と呼ばれ、米疾病対策センター(CDC)は、感染力が増大し、一部の治療薬やワクチンの効果が低下するといった特徴を上げ、「懸念される変異株(VOC)」に認定。VOCとなっているのは他に、主に英国、ブラジル、南アフリカで広がる3つの変異株があり、これらに並ぶ警戒すべき変異株と位置付けられている。

(中略)

免疫の働きには、細胞性免疫のほかに、抗体を作ることで異物に対抗する「液性免疫」がある。液性免疫の効果もカリフォルニア変異株で低下していることが、米カリフォルニア大などによる研究で指摘されている。このことはワクチンの効果が低下する可能性を意味する。

チームの実験ではL452Rの変異により、ウイルスの感染力が高まっていることも分かった。

N501Y、E484Kに続いて、L452R変異株が要注意のようだ。
関連して、インドでの変異株の記事。

インド変異株、日本で5件確認 加藤官房長官「監視体制を強化」:時事ドットコム

 加藤勝信官房長官は22日の記者会見で、インドの新型コロナウイルス感染急増の要因となっている、二つの変異株の特徴を併せ持つ「二重変異ウイルス」が日本国内で同日までに5件確認されていることを明らかにした。政府はさらなる感染拡大を招く恐れもあるとして警戒を強めている。

このインド型は、

二重変異株のB1617は感染力が強いとともに、ウイルスを中和(増殖を抑制)する作用を妨げ、ワクチンを効きにくくする可能性がある。E484QとL452Rの2つの変異株を持つこのウイルスは昨年末に、インドの科学者によって発見された。

とのことで、E484QとL452Rの複合型。

三度目の緊急事態宣言が11日間では短すぎる」で、「N501YとE484Kの複合変異株」が台頭するかもしれないと書いたが、「E484QとL452Rの複合型」の可能性も出てきた。
次から次に変異株が出てくるので、いつまで経っても流行は収まらないことになりそうだ。

昨年(2020年)の新型コロナウイルスを従来型と呼んでいるようだが、幸いなことに日本人には感染しにくかったために感染規模は欧米に比べて桁違いに少なかった。
しかし、L452R変異株は逆に、日本人は感染しやすいウイルスのようだ。

現在進行中の第4波はN501Y変異株なので、感染のピークは東京・大阪で1日あたりの新規感染者数が3000人前後で済むかもしれない。
今後、8月〜9月に第5波として波が来る場合に、L452R変異株が主流になっていると、1日当たり1万人を超える可能性も考えないといけない。昨年と違って、欧米と日本で感染規模が逆転することもありうる。

その想定シナリオで、今からできることをやっておく必要がある。
といいつつ、政府も行政も場当たり的に効果の乏しい緊急事態宣言を出すだけで終わってしまうのだろう。

総力戦で戦う」(2021年3月9日付)といっていた東京都医師会だが、1ヶ月半ほど経過して、総力戦の準備は整ったのだろうか?
そのようには見えないのだが?

政府や自治体の対策が、後手、後手と批判されるが、予想はされているのに、なにをしたらいいのかわからないんだろうね。
というより、できることもしない、といった方がいいのかな。
国民に自粛を呼びかけるばかりで、国や自治体が積極的にできることをしない。感染者数を抑えることも重要だが、経済的に困窮している国民を救おうという姿勢が見えない。
飴と鞭にたとえれば、鞭を入れるばかりで飴が出てこない。これでは人々はついていけない。

緊急事態宣言は4月25日〜5月11日までになったが、ゴールデンウィーク明けには第4波がピークに達しているだろう。
そして、変異株クライシスが迫ってくる。
もはや、サバイバルだ。

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