「コロナは空気感染が主たる経路」←やっと日本の専門家たちも認めた

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今さら感があるのだが、日本の専門家たちがCOVID-19の空気感染を公言した。
やっと……やっとだよ。
私は当初(新型コロナウイルスはエアロゾル感染が可能?/2020年2月10日付)から言い続けてきた。
何度も、何度も空気感染を前提とした対策をしなければ効果がないと書いてきた。

「コロナは空気感染が主たる経路」 研究者らが対策提言 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

新型コロナウイルスの感染対策について、感染症や科学技術社会論などの研究者らが、「空気感染が主な感染経路」という前提でさらなる対策を求める声明を出した。「いまだ様々な方法が残されており、それらによる感染拡大の阻止は可能である」と訴えている。

(中略)

声明は、空気感染が新型コロナの「主たる感染経路と考えられるようになっている」と指摘。考えられている以上に距離が離れていても感染リスクはあり、逆に空気中のエアロゾルの量を減らすような対策で感染抑制ができるとした。

そのうえで、国や自治体に対して、ウレタン製や布製のよりも隙間のない不織布マスクなどの着用徹底の周知▽換気装置や空気清浄機などを正しく活用するための情報の周知▽感染対策の効果を中立な組織によって検証することを求めた。声明は、内閣官房、厚労省や文部科学省に送付したという。

一部の研究者は早くから指摘していたことだが、権威を持つ専門家たちが認めないために、スルーされてきた。

デルタ株の感染力の強さで、空気感染の可能性が高くなったために、認めざるをえなくなったのだろう。
だが、おそらく従来株でも空気感染が主たる感染源だったはずだ。
そう断定できなかったのは、感染経路を特定できる事例が乏しかったからだ。

空気感染を前提としなかったために、
効果がほとんどないウレタンマスクや布マスクが容認され、
満員電車は放置され、
ソーシャルディスタンシングは3メートルから1メートル(劇場などは1座席分の50cm)まで縮められ
逆効果となりえるビニールカーテンやアクリル板を設置する無駄なことを推奨してきた。

現在、専門家の権威のトップは、分科会の尾身氏となっているので、尾身氏が公認しないと本当の意味で「空気感染が主な感染経路」とはならないのだろう。
尾身氏が公言しなければ、政府見解にも反映されないと思われるので、感染対策が大転換することは難しい。

一歩、いや半歩前進ではあるが、空気感染対策は容易ではない。
今までせっせとやってきたことを、否定することにもなってしまうからだ。

空気感染対策で、まっ先に着手できることは、ウレタンマスクと布マスクのNGだ。
マスクは不織布マスク限定にする。理想的にはN95マスクだが。

そういう意味では、ウレタンマスクを製造販売してきたメーカーにも、責任の一端はある。効果のないマスクを人々に付けさせたのだから。
さらには、小池都知事は自家製の布マスクを多用していたことで、効果のないマスクの普及に間接的に寄与してしまった。
それらは空気感染を考慮しなかったゆえだ。

最新の報告では、ワクチン接種をした人でも、感染源になるのは変わらないという。

デルタ株、ワクチン接種後感染者も感染広げる可能性、証拠を確認 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

新型コロナウイルスのデルタ株は、規定回数のワクチンを接種した人の鼻腔でも、ワクチンをまったく接種していないときと同じように増殖しうることが、8月11日付けで発表された予備的研究の実験で確かめられた。増殖したウイルスが人に感染しうる点についても同程度だった。

(中略)

検体の鼻腔用綿棒に感染性のあるウイルスが存在するかどうかを確認するため、研究者らは、いずれも検査で陽性反応を示したワクチン接種済みの人と未接種の人、計55人の試料から採取したウイルスを、新型コロナウイルスに感染しやすい特殊な細胞内で培養した。その結果、ワクチン未接種の人の88%、接種済みの人の95%という、全員に近い人の試料で感染性のあるウイルスが検出された。

(中略)

ワクチン接種を完了した人も大量の感染性ウイルスを作り出すとしたら、ワクチン接種を受けていない人と同じくらいウイルスを広める可能性があることになる。

……と、ワクチン接種は重症化を下げる効果はあるものの、感染拡大を防ぐ効果は乏しいということになる。

過去記事で取り上げたが、空気感染を起こすエアロゾルは、10メートル先まで広がると想定される。

空気感染ではエアロゾルは10m先まで広がる

ソーシャルディスタンシングを10メートル取ることは、現実的には無理。
空気感染を防ぐことは、ほぼ不可能といっていいかもしれない。
であるならば、感染を防止するのではなく、感染しても重症化をさせない方向で考える必要がある。

つまり、感染者数に一喜一憂するのではなく、重症化率に注視する対策に軸足を移す。
東京都の検査能力は、ほぼ限界に達しているようなので、感染者が5000人前後の発表が上限になっている。実際にはその数倍はあると思うが、追跡できていないだけ。

ワクチンが切り札とされていたが、ワクチンでは感染の広がりを止めることはできない。
接種率が6割、7割になっても、ブレイクスルー感染は起きるので、陽性者数はあるレベル以下には下がらないと思われる。東京でいえば、1日当たり500〜1000人くらいが下げ止まりだろう。ゼロにはならない。

1年後の来年はどうなっているか?
といった話も出てきているが、たぶん終息はしていなくて、来年の今ごろは第8波が来た……とか騒いでいるような気がする。

ワクチンの効果は3〜6か月という研究もあるので、3回目、4回目の接種をすることになりそうだ。
COVID-19が日常になり、定期的にワクチンを打つ。
それが数年続くかもしれない。

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