【サッカー】アジアカップを振り返って

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アジアカップ2019で、日本は優勝できなかった。
歓喜の瞬間を期待していただけに、その瞬間を味わえなかったのは残念だった。
だが、決勝まで残れたのは期待以上でもあった。

批判的な記事が多いのだが、カタールに対して「格下」という上から目線はいただけない。
たびたび書いていることだが、FIFAランキングの順位で、40〜100位というのは、実力的に大差はないのだ。順位の数字は勘違いのもとで、順位差がそのまま力の差を表しているわけではないのだ。

多くの記事を読んだが、比較的良い分析をしていたのは以下の記事。

準V日本代表への断罪は正しいのか? アジアカップ優勝は目標でありノルマではない | フットボールチャンネル

決勝のカタール戦に完敗したこともあり、様々な批判が出ている。中には手厳しいものもあったが、現場取材に基づいた意見に関しては、それはそれで1つの見方として尊重すべきではある。ただ、すべてが失敗だったわけではなく、全否定するような空気感にだけはしてはいけない

(中略)

また、明らかに不利な状況が続いているのに、森保一監督は有効な手を打てなかった。早めの交代か、あるいは監督からの指示でフォーメーション変更をしても良かったが、まったく動けず。采配含め、指揮官への課題は出たと言える。

(中略)

今までは長谷部誠が担っていた役割である。だが、もう長谷部は代表にはいない。今後の代表を牽引する意味でも柴崎がしっかりと課題としてとらえるべきである。そこが改善しないと次のステップへは進めないだろう。

カタール戦に関しては反省点も多いが、試合中の対応力のなさは今に始まったことではない。ロシアワールドカップのベルギー戦ではまさにそこが仇となり、逆転負けをくらった。継続的な課題の責任をこのチームにだけ押し付けるべきではない。

キャプテンの吉田は、経験があり後輩から慕われるであろう性格だと思うが、チームの精神的支柱というほどリーダーシップを発揮しているようには見えない。

柴崎は守備と攻撃の要にはなっているものの、チームを引っ張るほどの存在感は、まだないように思う。
長谷部が南ア大会でキャプテンをまかされて、キャプテンシーを発揮するようになったように、柴崎にもキャプテンを命じることで、意識が変わるのではないかとさえ思う。

長谷部の穴を埋めるのは容易ではなさそうだ。

チームの成熟度からいえば、現状は30%くらいではないだろうか。
決勝までかろうじて勝てたのは、ひとつは運が良かったからであり、ひとつは相手のミスに助けられたからだ。
日本もミスは多いのだが、負けに結びつくことにならなかっただけ。
しかし、決勝ではミスが負けに直結してしまった。

監督の采配を疑問視、批判する記事も多かった。
森保監督にとっては、代表監督としての初めての国際大会であり、経験がなかったのは事実。選手時代に遡っても、国際経験は乏しい。
選手は多くが海外でプレーしていて、ベテランはW杯をはじめとして国際大会の経験がある。
監督よりも選手の方が経験が豊富という逆転現象になっているのが、現在のチームである。

監督の経験不足ということでは、ブラジル大会のザッケローニ元監督を思い出させる。
あのときのチームは、いい感じに仕上がっていたと思うのだが、いざ大会が始まると歯車が噛み合わなくなってしまった。コンディション調整も含めて、監督やスタッフの国際経験不足が露呈したと思う。

今回のアジアカップでは、決勝に至るまで勝ちはしたが、綱渡り状態だった。計算ずくでそうしたというより、たまたまいい方に転んだという印象。
イラン戦にピークを持ってきた……というような記事もあったが、そうではなく、イラン戦にピークが来てしまったのではないだろうか。

トーナメントに入ってからは、ほぼ先発は固定だったから、疲労は蓄積する。
なんとか持ちこたえたのが、イラン戦までだったと見る方が妥当。
カタール戦の動きが鈍かったのは、そのためだろう。

アジアカップを総括するなら、この大会は若手に経験を積ませられたことがひとつの収穫。
そして、もっとも重要なことは、森保監督の経験値がいくぶんかは上がったことだ。

日本人監督であることには大賛成なのだが、いかんせん、監督の経験値が足りない。
選手としてW杯に出たことがない監督では、経験不足は否めない。
だから、監督として国際経験を積んでいくしかない。

選手としてW杯経験のあるガンバ大阪現監督の宮本氏あたりが、代表監督になれば、理想的なのかもしれない。
海外の代表監督の多くが、選手としてもW杯経験があることからも、それは必然のようにも思う。

次の国際大会は、招待されているコパ・アメリカ。
海外組は招集しにくい状況ではあるが、監督の経験値は積める。
若手の育成とともに、国際大会で戦える日本人監督の育成が必要だ。

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