EAFF東アジアカップ2015の初戦。
北朝鮮に敗北。
なんともふがいないというか、日本チームの国際試合の苦手意識が露呈した試合だった。
前々から書いていることではあるが、日本の選手に一番足りないのはメンタルの強さ。国内組だけで臨んだ試合なので、普段はJリーグで試合をしている選手ばかり。かつて海外チームにいた選手もいるにはいるが、あまり活躍することなく出戻りしてきた選手だ。Jリーグは、いわばぬるま湯の環境だから、たくましい選手に育たないのではと思う。
北朝鮮はFIFAランキングで129位とはいうものの、それは国際試合を自由に組めない国としての事情があるので、格下という評価はちょっと違う。親善試合で、日本に来てくれるチームはあるが、北朝鮮に行くチームは少ないだろう。惨敗すると粛正されるかもしれない国なのだから、スポーツといえども命がけ。彼らにとって、勝利することは、一族郎党が生きのびることなのだと思う。おのずと、必死になる。アジア杯で惨敗して、監督は交代したが、前監督はその後どうなったのだろう?
負けても批判や罵声を浴びせられるだけの日本とは、本質的に危機感が違う。
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生存競争の厳しい北朝鮮において、体育関係者たちはスポーツを武器に、何が何でも生きぬかなければならないのだから。
とにかく、日本人選手は外国人が苦手。寄せが甘い、競り合いで腰が引ける、ぶつかるのを怖がる……といったことは、なかなか克服できない。Jリーグの日本人同士だと、相手を怪我させちゃいけないとか、体を当てずにボールを奪うとか、接触プレーを避けるのが暗黙の了解になっているような感じで、いい意味で紳士的なサッカー、悪い意味でチキンなサッカーをしている。
総じて、日本人選手は「やさしい」のね(^_^)。
そのやさしさが、国際試合では仇になる。
Jリーグの得点王の宇佐美ですら、代表チームではなかなか得点できない。何度かシュートを放ってはいたが、GKのファインセーブもあって決定的な仕事はできなかった。あそこを決めてこそ、エースになれるんだけどね。全部決めてれば、ハットトリックだって可能だった。
開始3分の先制弾は、難しいシュートなのに決めた。しかし、その後に訪れたフリーのシュートは決めきれない。決定力がないといえばそれまでなのだが、簡単なシュートは決められないのに、難しいシュートは決めるというちぐはぐさ。
A代表といいつつも、実質的には1.5軍なのだが、エースがいない、チームを牽引するリーダーがいない、軸になる選手がいない……と、ないないづくし。飛車角抜きどころか、香車も桂馬も金も銀も抜きで、歩ばかりで勝負しているような感じだ。歩が金になればまだいいが、まだ金になれていない。
このようなチームを、『ザ・日本』と呼ぶ、英国人ジャーナリストには同意してしまう。
英国人が見た北朝鮮戦「相変わらず『ザ・日本』の戦い…」「ブラジルW杯を思い出した」 | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!
――立ち上がりの3分、日本は遠藤のクロスから武藤のゴールでいきなり先制しましたね!
「ゴールはシンプルな流れで良かったね。遠藤のクロスも精度が高かった。ウッチー(内田篤人)よりいいね(笑)」
(中略)
――後半は、まず55分に宇佐美が柴崎と交代しました。宇佐美はいかがでしたか?
「運も悪かったけど、全く存在感がなかったね…。どこにいたか分からなかった」
(中略)
――結局試合はそのまま終了し、1-2で逆転負け。
「ゲームコントロールはできていたけど、ディフェンス面で集中力不足。攻撃面で精度不足。相変わらず『ザ・日本』の戦いだったね…」
他誌(他紙)では、監督批判も出ているが、監督の采配以前に選手の問題の方が大きい。もっといえば、日本人としての気質の問題。
宇佐美は「日本人離れした……」という表現をされることもあるが、それでも日本人の枠から大きく外れているわけでもない。頭半分くらい、抜け出ている程度だろう。海外のエースストライカーに比べたら、まだまだ子供。Jリーグでは通用しても、世界では通用しない。
手っ取り早く日本チームを変えようと思ったら、帰化選手、帰国子女選手、移民2世選手、外国人とのハーフ選手を増やす、といった脱日本人化をするしかない。ドイツやフランスは移民の2世や3世が活躍していたりするが、多様性やメンタルの強さの背景でもあるのではと思う。メンバーの半分が、外国由来選手になれば、チームとしてもガラリと変わるよ。そういう意味では、ラモスや闘莉王の存在は大きかった。
いっそのこと、13歳の久保建英くんを、飛び飛び級でA代表に招集してもいいんじゃないかとさえ思う(^_^)。ただ、労働基準法や児童福祉法の絡みで、15歳以下はA代表としては制約されるかもしれないけど。
初戦に負けたことで、これを立て直すのは至難の業。
ズルズルと3連敗する可能性が高くなった。勝っていれば勢いに乗れる日本だが、負けると後遺症を抱えてしまうのもメンタルの弱さ。失敗すると、次も失敗するんじゃないかと臆病になってしまうのが、日本人の気質だからだ。
自信を持つ……というのは、なかなか簡単ではない。
勝ち続けることで、自信はついてくるものだが、負け続けると自信は絵に描いた餅になってしまう。
日本チームは、少なくともアジアでは勝ち続けなくてはならない。それができなければ、世界には通用しない。その入口でつまずいているようでは、まだまだ先は暗く、光は見えてこない。
そういう現状をわかっていてもなお、私は応援を続けるし、試合を楽しみにしている。
日本チームは、私たちの分身、鏡に映った自分でもあるからだ。
だから、がんばれ!