恣意的な数字が判断を狂わせるときもある

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ある特徴的な現象を語るときに、数字的な裏付けを加えることで、妥当性を印象づけることがある。

だが、理論武装として用いられた数字が、果たして適切な解釈なのかどうかは、データの取り方、調査の方法で変わってくる。
それに関した記事。

ヤフートピックスに取り上げてもらうには? ~「ちりとてちん」の逆襲:NBonline(日経ビジネス オンライン)

 何かニュースリリースや企画をつくる際に、ヤフートピックスを狙うのであれば「数字的な裏づけ×シンプルでユニークな見立て」の掛け算があるかどうか、考えてみるのは戦略としてアリだと思います。

今回は、「史上最低の視聴率だった連ドラが、史上最高のDVD販売を記録」という実にわかりやすい事実と偶然が生んだ顛末を紹介しましたが、先ほど述べた「数字としての裏付けがあります」という部分、ここは「自分で言っておきながら」なのですが、よくよく見ないといけないなと改めて感じました。

そもそも現在の視聴率というサンプリングの方法にも問題がある。唯一の視聴率調査会社である「ビデオリサーチ」社は、調査方法の詳細を公開していないし、サンプル数がどの地域にどのくらいあるかといったことはブラックボックスだという。また、過去にモニター世帯を買収したという事件もあったことから、公正さという点でも疑問がある。

視聴率

視聴率

デジタル放送とインターネットを併用すれば、実質的な視聴率を計ることは可能だ。HDDレコーダーの普及などによって、放送をリアルタイムで見なくても、録画を見る「タイムシフト視聴」も多いはずだ。私はアニメを30本あまり見ているが、そのすべてがタイムシフトである。

そろそろ根拠の乏しい現状の視聴率主義から、脱却してもいいよう思うのだが。

それはさておき、数字として出てきた視聴率から、「人気がない」「面白くない」と判断するのは早計だろう。

第一に調査方法が最善ではないこと。人気は多数決で判断できるかもしれないが、面白さは多数決ではない。

過去に視聴率が低迷して打ち切られた番組が、のちに爆発的なヒット作品になった例もある。ごく少数の人たちが評価した作品が、時間をおいてより多くの人にも浸透する……ということもあるからだ。

数字が論理の根拠となる場合と、数字を読み違える場合とは、紙一重ではないだろうか。
ある一面では正しいが、別の角度から見れば間違っている……というわけだ。

それは「調査・統計の数字のトリック」にも書いたことだ。

こうしたことは、政府が発表する景気判断や世論調査にも当てはまる。
「景気は後退していない」と数字を挙げて説明するが、指標として示される要素だけが景気を左右しているわけではない。結論が先にありきで、それに沿った数字を並べることは可能だからだ。

数字は客観的な情報となる反面、数字の取り方次第で意図的な判断材料とすることも可能になる。
その数字がなにを意味するのか、本質を見極める考察力も必要だ。

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