軌道エレベーターの記事が出ていた。
「軌道エレベーターって、なに?」なんていうのは、なしだよ(^_^)。
「2050年宇宙の旅」はエレベーターで : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
エレベーターに乗って地上と宇宙を行ったり来たり――。こんな夢のように壮大な構想を、ゼネコンの大林組(東京)が20日、2050年に実現させる、と発表した。
鋼鉄の20倍以上の強度を持つ炭素繊維「カーボンナノチューブ」のケーブルを伝い、30人乗りのかごが、高度3万6000キロのターミナル駅まで1週間かけて向かう計画という。
「宇宙エレベーター」はSF小説に描かれてきたが、1990年代にカーボンナノチューブが発見され、同社は建設可能と判断した。米航空宇宙局(NASA)なども研究を進めている。
今回のエレベーターのケーブルの全長は、月までの約4分の1にあたる9万6000キロで、根元を地上の発着場に固定する。一方、ターミナル駅には実験施設や居住スペースを整備し、かごは時速200キロで片道7・5日かけて地上とを往復。駅周辺で太陽光発電を行い、地上に送電する。
短い記事なので、全文引用した。
実現可能かどうかといわれれば、技術的には可能でも、経済的に不可能な気がする。
建設コスト、運用コストに見合う収益があげられるのかどうか、未知数だと思う。
そもそも、静止軌道まで上がって、なにするんだよ?(^_^)
観光? それもいいが、軌道上のステーションに何人が、何日滞在できるのかで、経営がなりたつのかどうかが変わってくる。
2050年は……無理だろうなー。
また、静止軌道まで上がるのに約1週間というのもかかりすぎだね。
時速200kmというと、新幹線並みのスピードだが、新幹線で1週間寝泊まりすることを考えたら、窮屈でたまらないぞ(^^;)
30人乗りだと、1週間×30人分の食料と水を一緒に持って行かないといけない。
それは大変な量だ。
水だけでも、1人あたり1日3リットルが必要なので……
(3リットル×30人)×7日=630リットル(630kg)
……になる。ポリタンク40個分相当だ。
食料については、1日1200kcalとして、約1.3kg。これは健康的な日本食(質素な食事)を前提としている。
(1.3kg×30人)×7日=273kg
630kg+273kg=903kg
……となり、最低でも約1トン近い。贅沢な食事を出そうと思うなら、食料は倍くらい必要かもしれない。
これに加えて、トイレの水、高度が高くなったときのための酸素……等々、持って行かなくてはいけないものがいろいろとある。
エレベータを持ち上げる動力を考えると、なるべく軽く、小さい方がいいわけだから、新幹線の車両でも贅沢かもしれない。
ちなみに、N700系で1両あたり約43トンだという。
人間が1人あたり平均60kgとして、30人では1800kg(1.8トン)。
つまり、合計約46トン、ざっくり50トンのエレベーターの客車を垂直に走らせる必要がある。
駆動させるのはなにか?……という問題。
モーター? あるいは超伝導のリニアモーターか?
積載量50トンのエレベーターというのがあるらしいが、スピードは毎分10メートル。時速にすると、0.6kmだ。時速200kmのエレベータを走らせるには、通常のモーターでは無理だろう。やはりリニアモーターあたりか。
となると、エレベータ用のリニアモーターを実用化しないといけない。
課題が多いね。
夢はあるのだが。