『はらぺこあおむし』が元ネタの風刺画はセンスがないのか?

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五輪スポンサーでもある、毎日新聞がIOCを批判する風刺画を掲載した。
朝日新聞に続く五輪批判なのだが、その風刺画に「センスがない」と批判されている。

『はらぺこあおむし』の版元、毎日新聞の風刺漫画を批判 「おそらく絵本を読んでいない」 / ねとらぼ

 世界中で愛されている絵本『はらぺこあおむし』の出版を手掛ける偕成社は6月7日、毎日新聞が5日掲載した風刺漫画への抗議を、今村正樹社長名義で掲載しました。

風刺漫画は「エリック・カールさんを偲んで… はらぺこIOC」と題し、あおむしに扮するIOCのバッハ会長らが、リンゴならぬ「ゴリンの実(放映権)」を食す姿を描いたもの。イラストレーターのよこたしぎさんが、1998年から続くコーナー「経世済民術」上で発表しました。

偕成社側は、風刺を行うこと自体は表現の自由の観点から意義を申し立てるものではないとしつつも、『はらぺこあおむし』のテーマである「あおむしのどこまでも健康的な食欲と、それに共感する子どもたち自身の『食べたい、成長したい』という欲求」が、金銭的利権への欲望を描く今回の風刺には不適当であると指摘。

「『偲ぶ』という言い方をしていますが、おそらく絵本そのものを読んでいない」と前置き、「もし読んだうえでこの風刺をあえて描こうとしたのだとしたら、満腹の末に美しい蝶に変身する結末をどのように考えられたのでしょうか」として、作者と掲載を許した編集者双方に対し「不勉強、センスの無さを露呈したもの」と痛烈に批判。さらに毎日新聞に対しても猛省を求めたいとしました。

問題になっている風刺画とは以下。

『はらぺこあおむし』風刺画

これについて記事を載せるのなら、問題の風刺画も載せてほしいものだ。
じゃないと、わからないよ。

「センスがない」かどうかは、評価の分かれるところだが、元ネタとなった『はらぺこあおむし』を知ってるのは、絵本に馴染みのある子育て世代か、かつてこの絵本に接した世代だろう。
正直なところ、私は知らない(^_^)b

ベストセラーの絵本といっても、日本での累計発行部数は400万部なので、日本国民の3.3%しか読んでいないことになる。ベストセラーの本質とは、そういうものだ。
ちらっと絵を目にしたことはあるかもしれないが、大部分の国民は知らないのだ。
そういう意味では、元ネタとして汎用性がなかったともいえる。

この企画が毎日新聞としての意思表示なのか、それとも絵を描いた作家の個人的な意思表示なのかで、風刺としての意義が違ってくると思う。

偕成社の言い分はわかるのだが、風刺画を描くときに、そのモチーフとなる元ネタのことを詳しく調べたりするだろうか?
普通は、しないと思う。
風刺画に使われるモチーフは、イメージであったりダジャレであったりステロタイプな見方だったりするので、背景まで踏みこむことはない。

フランスだったか、東京五輪のPR動画に相撲の力士をコミカルに登場させていたが、それは日本に対するイメージとしての力士であり、相撲の文化的背景などは関係ない。パロディとして面白ければいいという程度の扱いだ。

これに対して、「相撲に対する侮辱だ」と相撲協会が抗議したのだろうか?

往々にして風刺画とは、なにかと批判されるものだ。
風刺の対象は不愉快だろうし、風刺のネタに使われた元ネタ側も不愉快だろう。
国によっては、風刺画を描いたことでテロの攻撃を受け、殺されてしまうこともある。

今回の風刺画も、元ネタに対する敬意がどうとかを問題にするより、風刺の対象となったIOCへの批判メッセージを読み取ってあげたいと思う。
その点から見ると、前述したように、これは毎日新聞としての意見の代弁なのかどうかだ。
朝日新聞のように社説で五輪反対は言えないが、風刺画として変化球の反対の旗を揚げたのなら、そこは評価してもいいのではないか。

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