私は新型コロナの流行当初から、「空気感染」を考慮に入れない感染対策は不十分、と言い続けてきた。
しかし、日本の著名な専門家たちは、頑なに空気感染を否定していた。
ここに来て、ようやくアメリカのCDCが空気感染が最大の感染経路だと認めたようだ。
CDCも“最大の経路”と認めた…空気感染のリスク高める3つの状況 | 女性自身
ここにきて、次々と見つかる変異株。新型コロナウイルスに対する脅威が高まるなか、飛び込んできたのが米国発の衝撃レポートだ。米国疾病対策センター(以下CDC)は5月7日付の最新版として3つの感染経路をあげている。
【1】エアロゾル感染
感染性ウイルスを含む非常に小さな飛沫やエアロゾル粒子を運ぶ空気の吸入。感染源から3~6フィート(約1~2m)以内で感染リスクが最大になる。【2】飛沫感染
吐き出された飛沫や粒子に含まれるウイルスが粘膜へ沈着する。【3】接触感染
触れた手を通じてウイルスが体内に入る。(CDC改訂版より)(中略)
「感染経路のメインを空気感染に据えたということです。CDCの言うエアロゾル感染は空気感染と同じ。そもそもエアロゾルは物理学用語。ふわふわと浮かぶ微粒子のことで医学用語ではありません。従来は飛沫感染と接触感染が主な経路だと主張していましたが、昨年10月に空気感染を少し認め、今回、ついに最大の感染経路だと認めたのです。インドもイギリスも感染力の強い変異株に置き換わりました。空気感染しなければ、ここまで感染が広がることは考えられません」
CDCは、感染者が15分以上、換気の悪い閉鎖空間などに滞在した場合、6フィート(約2m)以上離れた場所でも感染リスクがあること。さらに感染者が退出した直後の空間を通過しただけでも感染リスクがあると指摘している。清水教授が続ける。
「飛沫感染と違い、感染者の呼吸で吐き出されたウイルスが換気されない限り漂い続けるので、その人がいなくなっても、その空気を吸い込めば感染するということです。たばこの煙と同じです。煙モクモクの喫煙室を想像するとわかりやすいです。物の表面とかではなく“空間の汚染”という認識を持たなければいけません」
私が何度も指摘してきたことの追認だ。
やっと……やっとだよ(^_^)b
1年以上経って、やっと公式見解として空気感染を認めた。
新型コロナ以前のインフルエンザでも、私は空気感染の可能性が高いと書いていた。それを示唆する事例や実験がすでにあったからだ。
新型コロナについても、同様の実験は行われていたし、空気感染が強く疑われる事例もあった。しかし、なぜか空気感染の可能性はスルーされていた。
その理由は、権威を持つ専門家が認めないからだった。
「空気感染はしない」と言ってしまったために、「間違ってました。空気感染します」とは言えないのかもしれない。自分の非を認めるのは、なかなか難しい。
また、空気感染を認めてしまうと、現在行っている感染対策を、根本から見なさなければいけないことにもなってしまう。
「アクリル板がコロナ感染の一因になる?」で取り上げた、アクリル板は空気感染に対しては効果はゼロだし、満員電車はアウトになるし、ソーシャルディスタンシングが2mでは不十分だし、不織布マスクも効果はほとんどゼロになってしまう。
今までやってきた多くのことが、無意味になってしまうのだ。
「感染者が15分以上、約2m以上離れた場所でも感染リスク」というのは、もろ満員電車そのものだ。満員電車では周囲の人との距離は30〜50cm以内で、山手線で池袋から渋谷まで行くと、乗車時間は15〜17分となり、感染するのに十分な条件がそろってしまう。
そして、これも何度も書いているが、ある電車内で感染しても、その電車が感染源であることを追跡できないということ。そのため、感染経路として電車はずっとスルーされてきた。
インド株(デルタ株)による第5波の感染拡大が起こるとすれば、その主たる感染経路は電車になる可能性は高い。デルタ株は感染力が強いとされているから、少量のウイルスでも感染できると思われる。
1年あまり前の記事の「新型コロナ、通常呼吸でも伝染か?」(2020年4月9日付)で取り上げたように、通常の呼気にウイルスが含まれている可能性は示唆されているので、満員電車はもっとも危険な場所になる。
すし詰めの満員電車では、上図よりももっと密着している。最悪の場合は、体が密着するゼロ距離だからね。
換気をしていても、隣にいる人が吐き出す呼気は、外に排出される前に周囲1m以内の人たちが知らずに吸い込んでいる。換気というのは、密閉空間の全体として空気が入れ替わっているということであって、ウイルスを含む空気を吸わないということではない。そこを勘違いしている。
記事中にタバコの煙を例えに出していたのは、「そうそう」と思ってしまった(^o^)
私も喫煙者が出す煙をイメージすればいいと書いてきた。
現在は電車内で喫煙は禁止だが、仮に喫煙者がスパスパと煙を出していれば、窓を開けていても、常に電車内には煙が滞留する。なぜなら、煙を吐き出すのは1回だけでなく、何度も吐き出されるため次々に補充されるからだ。
このタバコの煙を、ウイルスを含む呼気に置き換えて考えればよい。
呼吸は毎分12~20回ほどなので、感染者の周囲にはその呼気が常に滞留する。半径2m以内には、すし詰めの満員であれば10人前後がいるだろう。それらの人に感染リスクが生じる。
それを防ぐにはどうするか?
ほぼ全員がワクチン接種を済ませていればいいが、それが達成されるのは早くても年末。
では、第5波を止めるにはどうするか?……といえば、これまた何度も書いてきたが「電車を止める」以外に有効な方法はないと思う。
ともあれ、日本はアメリカに追随する傾向にあるので、CDCの見解を日本の医学界も追認するのかもしれない。
あるときを境に、「新型コロナは空気感染する」と誰もが認めることになるのか。
今からでも遅くないから、その前提で物事を考えることを勧める。