巨大ダイヤモンドがアンゴラで発見される

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宝石の王様であるダイヤモンド。
高価な宝石であると同時に、自然界でもっとも硬い鉱物でもある。
現在では人工ダイヤモンドも作られているが、自然界でダイヤモンドができるには特殊な条件が必要になる。
生成条件から大きな結晶になりにくいのだが、希に大きなものが出てくる。
404カラットという、巨大ダイヤモンドが出てきたというニュース。

CNN.co.jp : 404カラットの巨大ダイヤ、アンゴラで発見

ニューヨーク(CNNMoney) 鉱山開発会社のルカパは15日、史上最大級となる404.2カラットの巨大ダイヤモンドがアフリカ南西部アンゴラの鉱山で発掘されたと発表した。

巨大ダイヤはアンゴラダイヤモンド公社などとの共同プロジェクトで発見された。直径は7センチとクレジットカードほど。米小売り業者が色や透明度の鑑定を行った結果、不純物がほぼゼロのダイヤと判定したという。

404カラットの巨大ダイヤ、アンゴラで発見

404カラットの巨大ダイヤ、アンゴラで発見

直径7センチとの記述があるが、比較対象となる物差しや硬貨などを一緒に撮影して欲しいところ。これだけ見ると、スケール感がわからない。
見たところ、結晶面は明確ではなく、塊状になっているので多結晶なのだろう。綺麗な単結晶だと正八面体になるのだが、このような塊状だとあまりダイヤモンドには見えない。宝石はカットすることで価値を上げるので、この塊はいくつもの小さなカット品として加工されるのだろう。

前述の、ダイヤモンドのできる条件というのは、以下になる。

ダイヤモンド,金剛石,Diamond

 ダイヤモンドは、5万気圧1000度以上の条件が必要で、これらの条件を満たすには地下150km以上の上部マントルということになります。実際は、地下150kmから200kmで生成され、キンバーライト・マグマにより音速を超えるスピードで地表に運ばれてきます。遅いとダイヤモンドは構造が変化しグラファイトになってしまいます。
地表に噴出したキンバーライト・マグマは、地表付近では円錐形に広がりさらにダイヤモンドを含んだ火山を作ります。この火山は年月とともに侵食され、やがて平坦になってしまいます。削られた土砂は川に流れ込み、長年にわたりダイヤモンドは川や海の礫や砂の中から採集していました。ダイヤモンド鉱山の多くが露天掘りなのはこのためです(深度が深くなると効率の面から坑道掘りになる鉱山もあります)。南アフリカ、キンバリーの「ビッグホール」は有名です。
ダイヤモンドを含むキンバーライト・マグマが地表に噴出したのは過去に7期あり、一回目が1億2000万年で、最後が8000万年前です。現在、ダイヤモンド鉱山は世界最大のダイヤモンド原石「カリナン」を発見した南アフリカ、世界最大のアーガイル鉱山を有するオーストラリアやシベリア、カナダ、西アフリカ、中央アフリカなどで採掘されています。

鉱物標本ショップとして、私もよく利用しているサイトの解説だ。
通常、ダイヤモンドは母岩から分離した形で市場に出てくるので、このページに出ている母岩付きの標本は、ダイヤモンドの産状がよくわかるものになっている。
また、ダイヤモンドは少数の取引会社に市場を独占されているため、カットされていない原石としての流通は少ない。まして、母岩付きの原石はきわめて希少なのだ。
ダイヤモンドになりそこねたグラファイト(石墨、黒鉛)は、ありふれたものだ。ダイヤモンドの生成は、地球の内部のダイナミックな活動の結果でもある。鉱物マニアは、その石ができた過程にロマンを感じる(^_^)。
私は、ダイヤモンドの原石は持っていない(高い!)が、ルビーやサファイアといった宝石の母岩付き原石は持っている。カットされた宝石よりも、自然のままの結晶形の原石に魅力を感じる。

過去記事で、ダイヤモンドを取り上げたときに、ネタとして「ダイヤモンドの作り方」を書いた。
木星サイズのダイヤモンドの星」というのもあった。

ダイヤモンドは希少で高価であるため、産出国の経済を潤すほどの富を生む。
しかし、いずれ枯渇する。無尽蔵にあるわけではないし、現在採掘されているダイヤモンドは、数千万年~数億年の歳月の末に生成されたものだ。それを数十年~数百年で取り尽くしてしまう。
現状、天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドは区別されていて、天然ものの方が高い価格になっている。工業用には安価な人工ものが使われるが、構造的・成分的にはほとんど差異はない。
人工ものの問題は、大きさだ。
さすがに404カラットの大きさは難しい。
住友電工は、10カラットの人工ダイヤモンドに成功しているという。

住友電気工業株式会社 | 採用サイト RECRUITING WEB SITE | 仕事と人 | プロジェクトストーリー | 10カラットの“人工”ダイヤモンド

1990年、10カラット・約10mmの大きさを誇る大型単結晶ダイヤモンドの合成を可能にした。しかし、その色はといえば、いかにも合成といった黄色。そこで、原因の窒素不純物を完全に除去する技術を開発し、2000年ごろ、角谷は無色透明の大型の高純度結晶の合成に成功する。15年に及ぶ粘り強い開発によって、1カラットの黄色い結晶を、みごと10カラットの無色透明の結晶にした。

いずれは、人工ダイヤモンドがもっと安価で大量に出回るようになるのかもしれない。天然ものが枯渇すれば、そうならざるをえない。
巨大な天然ダイヤモンドは、これが最後かもしれないね。

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