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 技術革新はコツコツと積み上げていくものだが、ときどき数段上がるような革新が起こる。
 未来のコンピュータとして研究・開発がされている「量子コンピュータ」だが、実用レベルになるにはまだまだ超えなければいけない壁がある。
 そこに風穴。
 従来の半導体チップで、量子コンピュータに匹敵する方法を開発したという。

「1兆の500乗」通りから瞬時に実用解を導く半導体コンピュータ、日立が開発 量子コンピュータに匹敵 – ITmedia ニュース

 日立製作所は2月23日、膨大な組み合わせから適した解を導く「組み合わせ最適化問題」を瞬時に解くコンピュータを開発したと発表した。量子コンピュータに匹敵する性能で「1兆の500乗」という組み合わせにも対応できる上、従来の半導体チップで実現しているため室温で動作可能で、電力効率も大幅に優れるという。

(中略)

 65ナノメートルプロセスによる試作機で実証実験を行い、現在の量子コンピュータのパラメータ数である512の40倍となる2万480パラメータの組み合わせ最適化問題を数ミリ秒で解けることを確認。電力効率は量子コンピュータの約1800倍という。14ナノメートルプロセスを採用すれば、1600万パラメータに対応する大規模化も可能だとしている。

 これって、裏技的な方法だね。
 押してもだめなら引いてみな……みたいな話。
 「巡回セールスマン問題」を解くのに、スパコンでは84億年もかかるという。人間だったら、効率的かどうかはともかく、端から片づけていけばいいので、ある程度の時間はかかったとしても解決する。
 「組み合わせ最適化問題」を高速で解けるコンピュータに、どのような利用法や応用法があるのか、この記事からはわからないが、これが実用に耐えるのなら量子コンピュータがなくてもいいのかもしれない。
 スパコンの開発競争は相変わらず続いているが、疑似量子コンピュータによるスパコンという道が示されたように思う。
 コンピュータの性能が、飛躍的に向上する突破口になるとしたら、ノーベル賞級の発明かもしれない。
 日本の技術としては、明るい展望を感じさせる。

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