エスカレータの片側空け問題は過去にも取り上げたが、条例で規制しようとしているようだ。
問題の本質はそこじゃないと思う。
エスカレータ問題は、設備としての構造的な問題に起因している。
「エスカレーターは歩かない」条例案を県議会に提出へ…可決なら全国初 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン
エスカレーターでは追い越しをせず、止まって乗って――。埼玉県議会自民党県議団が、そんな内容の条例の成立を目指している。エスカレーターでの転倒や転落事故を防ごうと、利用者に歩いたり走ったりせず、止まった状態で乗るよう努力義務を課すことが柱で、可決されれば全国初となる。自民県議団は19日にも開会を予定している2月定例会に提出する方針で、他会派にも賛同を呼びかけ、全会一致での成立を目指す。
(中略)
条例制定を検討したきっかけは、エスカレーターでの転倒や他の利用者との接触による事故が相次いでいることだ。日本エレベーター協会(東京)の調査では、エスカレーターで走ったため転倒するといった「乗り方不良」が原因の事故は、2018~19年に805件発生。13~14年の882件からやや減少したが、高止まりの状態が続いている。
自分の過去記事にいいことが書いてあった(笑)。
エスカレーターの「片側開け」問題
エスカレーター「片側空け」対策は…
事故が起こるのはエスカレータに限った話ではない。
以下のようなデータがある。
年間5788人が転倒死、実は交通事故より多い「事故死」の意外 | 統計で読み解くニッポン | ダイヤモンド・オンライン
不慮の事故の要因は、大きく次の4つに分けられる。窒息9485人、転倒や転落が8030人、溺死7705人、交通事故5278人だ。さらに細かく個別の要因を見ていくと、「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」が5788人で最多。要するに「つまずいて転んで打ち所が悪く…」という死因が不幸な事故のトップで、その数は交通事故よりも多い。
同一平面ではない階段などからの転落は別で、695人、はしごからの転落は200人、樹木からの転落というものも28人を数える。氷及び雪による同一平面上での転倒、つまり「冬の路面で滑って転んで打ち所が悪く」という死因は6人と、意外に少ない。
上記は2016年のデータだが、「階段などからの転落695人」とある。「など」の中にエスカレータが含まれているのかどうかの記述がないのだが、これは死亡者数である。
エスカレータでの事故件数が年間800件程度になっているが、これは事故件数で死亡者数ではない。
いずれにしても、普通の階段での死者数の方がエスカレータ事故よりも多いとはいえる。
リスクの度合いからいえば、エスカレータより階段の方がリスクは高いことになる。
なぜ、エスカレータのリスクが過大評価されているのか?
階段で転んでケガをしてもニュースにはならないが、エスカレータで事故が起こるとニュースになる。頻度としては階段事故の方が多いが、エスカレータ事故は頻度として少なく目立つからだろう。
また、階段の場合は施設の管理責任を問われるというより、転んだ人の不注意として片付けられているように思う。エスカレータでは、利用者の不注意が原因だとしても、エスカレータの管理責任も問われてしまう。そこは少々理不尽な気はする。
「エスカレーターの正しい乗り方」というのがある。
じつに細かい使用方法が書かれている。こんなの知らない人がほとんどだよね。これを見ていると、エスカレータは乗り物設備として欠陥だらけなんじゃないのか?……と思ってしまう。エスカレータに乗るための免許が必要なくらい(^_^)b
そもそも論として、至る所にエスカレータが設置されているが、エスカレータはそんなに必要か?ってこと。
東日本大震災のあとに電力不足となり、多くのエスカレータが使用停止になった。それで階段を使うことになったわけだが、エスカレータはなくてもなんとかなるいうのが実感だった。高齢者や階段の上り下りができない人は、エレベータを使っていた。
それで対応できたのだから、エスカレータはなくても困らない。
「エスカレーターは歩かない条例」ではなく、エスカレータを階段にするのが解決策じゃないかね。足腰の健康のためにも、階段を上り下りした方がいいだろう。階段で転んでも、自己責任で終わる。
現状のエスカレータ(上りと下り)が占有している幅を階段に置き換えた方が、さばける人数は増えるから、渋滞は起こりにくく効率も上がるはず。
「エスカレーターは歩かない条例」を作るなら「階段は歩かない条例」も作らないといけないのでは?
だって、階段事故の方が多いんだよ!
という冗談はおいといて、どうせなら「エスカレータ撤廃条例」を作って欲しい気がする。
そうすれば、片側開けなんていうバカな慣習はなくなる。