プラスチック問題を解決する救世主になるかもしれない、細菌の話。
というのは、少々期待しすぎな気もする。
ただ、ビジネス的には有望かもね。
ペットボトルむしゃむしゃ 堺で発見の細菌、世界救う?:朝日新聞デジタル
堺市内で見つかった細菌が世界の注目を集めている。ペットボトルを「食べる」性質があり、プラスチックごみ対策の切り札にしようと各国で研究が進んでいる。プラごみによる海洋汚染が国際的な問題となっており、プラごみ削減は今月末に大阪市で開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議の主要テーマのひとつ。大阪発の細菌が世界規模の課題の救世主となるかもしれない。
この細菌は堺市内のペットボトルの処理工場で、京都工芸繊維大の小田耕平教授(現・名誉教授)らが見つけた。発見場所にちなんで、2005年に「イデオネラ・サカイエンシス」と学名がついた。
その後、慶応大に在籍していた吉田昭介さん(現・奈良先端科学技術大学院大特任准教授)らの研究で、この細菌は特殊な2種類の酵素を出して、ペットボトルなどの素材として利用されているポリエチレンテレフタレート(PET)を分解し、栄養源としていることがわかった。厚さ0・2ミリのPETを、約1カ月で二酸化炭素と水にまで分解するという。
ポイントは、細菌が出す分解酵素。
細菌に食べさせるのでは効率が悪いから、分解酵素を人工的に合成できるかどうか。
酵素を大量生産できれば、プラスチックを効率的に処理できる……という目論見のようだ。
これが実現できれば、プラスチック問題は解決するかというと、そう簡単でもなさそう。
すでに環境中に放出されたプラスチックの微細な粒子は、回収しようがないし、食物連鎖で生物圏を循環するだろう。
じゃ、イデオネラ・サカイエンシスを培養して、大量に放てばいいかというと、それはそれで予期しないことが起こる可能性もある。プラスチックをバクバク食べるようになったら、プラスチックを使った建物や製品は、すぐに腐蝕することになってしまう。
新たに出るプラゴミの処理には使えるかもしれないが、実用レベルになるには十数年はかかりそう。その間、プラゴミは環境に蓄積していく。
レジ袋とかストローとか、単品限定で使用禁止にするのではなく、プラスチック全体の使用量を制限する必要がある。しかし、それでは産業として困るところが多いから手を出せない。
結局、経済優先なんだよね。
でもまぁ、将来的に環境汚染で健康被害を招くことになっても、自分でまいた種(プラスチック)なのだから、受け入れるしかない。命を削って稼いだんだから自業自得。
しかし、案ずるな。
その心配は、数十年〜数百年のスパンの話だ。
1000万年〜1億年後には、人類文明の痕跡は、地球環境の中で綺麗に分解されているよ。プラスチックといえども、永久不滅ではないのだ。
その未来に、人類はいないだろうけど。