宇宙の大部分を占める「」は、文字通り普通では見えない物質だ。
 そのため、間接的な手がかりから、観測されている。
 暗黒物質の存在を明確に捉えた写真が公開された。
asahi.com:「暗黒物質の輪」とらえた NASAなど発表 – 宇宙探査

 宇宙全体の重さの4分の1を占めるとされ、正体が不明の「暗黒物質(ダークマター)」。それが「輪」のように広がっている様子を、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた。米航空宇宙局(NASA)などが15日、発表した。暗黒物質の存在領域を輪のような明確な形でとらえたのは初めて。正体解明の重要な手がかりになりそうだ。

 輪は地球から50億光年離れた銀河団で見つかり、直径は260万光年ある。10億~20億年前に二つの銀河団が衝突、その衝撃で周囲の暗黒物質が波紋のように広がったらしい。暗黒物質は見えないが、その重力で、近くを通る光が曲げられる「重力レンズ」効果を観測し、輪の存在を確認した。

 宇宙の重さのうち、星など普通の物質が占める割合は4%にすぎず、残りは暗黒物質と暗黒エネルギーとされる。観測チームは「輪の観測で、暗黒物質と通常物質の振る舞いの違いなどが調べられる」という。

 別のニュースサイトの記事は以下。
NASA、「暗黒物質の輪」を発見 – 米国 AFP BB News – BETA –

【ワシントンD.C. 16日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は15日、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)が「暗黒物質(ダークマター、dark matter)の輪」をとらえたと発表した。これが事実ならば暗黒物質の存在を裏付ける動かぬ証拠となる。

 「暗黒物質の輪」は地球から50億光年離れた銀河団で見つかった。その直径は260万光年と推定され、銀河団を構成するガスや星雲とは全く異なる構造を持っているという。

 天文学会では、銀河団同士をつなぎ止める「何らかの物質(=暗黒物質)」が存在するというのが定説になりつつある。銀河団内部の星の重力だけでは、銀河団が互いに離れていってしまうと考えられるためだ。
 
 さらに、より遠くに存在する銀河からの光が途中でなにものかの重力によって曲げられる現象を観測してきた天文学者は、光学的には観測できないが質量を持つ暗黒物質が存在するのではと推測してきた。

 「目に見えない物質は以前、他の銀河団でも確認されたことがあるが、銀河団を構成する高温のガスと銀河からこれほど距離的に離れたものを確認したのは今回が初めて」とNASAの関係者。

 今回の「暗黒物質の輪」は「ZwC10024+1652」銀河団内部における暗黒物質の分布を調査していた2006年8月に偶然発見されたものだという。

 また、暗黒物質は、宇宙の質量の4分の1近くを占めるとされる。

 さて、この2つの記事で、まったく異なる記述がある。

(前者)宇宙の重さのうち、星など普通の物質が占める割合は4%にすぎず、残りは暗黒物質と暗黒エネルギーとされる。

(後者)暗黒物質は、宇宙の質量の4分の1近くを占めるとされる。

 という部分だ。
 前者は、96%が暗黒物質+暗黒エネルギーだといい、後者は25%が暗黒物質だとしている。
 まるで正反対のような書き方だ。
 現在、正しいと考えられている予想では、

 目に見えない暗黒物質は、以前からその存在が推測されており、今では宇宙の約23%を占めると考えられている。目に見える物質(、惑星、星雲)は合計で約4%。残りの70%以上の部分は、謎の暗黒エネルギー(ダークエネルギー)とされる。

 とされている。
 つまり、前述の記事は、どちらも間違いではないが、書き方が不十分だったということ。
 ただし、これに異を唱える理論もある。

 「力は加速度に比例する」という有名なニュートンの第2法則を,極めて小さな加速度の下では「加速度の2乗に比例する」とした修正ニュートン力学を提唱したのだ。不思議なことにこのように修正を施すと,暗黒物質の存在を想定しなくても驚くほど矛盾なくさまざまな観測結果を説明できる。そのうえ修正ニュートン力学が予想したいくつもの現象も,その後の観測で確認された。
……日経サイエンス、M. ミルグロムの記事より

 今回の観測で、暗黒物質の存在の証明が前進したようである。

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