読者プレゼント不正問題の続報

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秋田書店

 秋田書店の読者プレゼント不正問題が、大きな問題になってきたようだ。
 元社員の発言に対して、まっこうから反論してもいる。
 両者とも裁判で争う姿勢のようなので、どちらが正しいのかは衆目の元にさらされることになる。

 これまでの関連記事を見ると、秋田書店側の主張にはいろいろな矛盾がある。
 比較的初期段階のニュースソースでは……

朝日新聞デジタル:消費者庁が秋田書店に措置命令 読者プレゼント水増しで – 社会

秋田書店(東京都千代田区)が読者プレゼントの当選者数を水増ししていた問題で、消費者庁は20日、同社に対し、景品表示法違反(有利誤認)に基づく措置命令を出した。「上層部も知ったうえでの組織的な違反行為」と認定し、再発防止などを命じた。

当せん者水増し 秋田書店に再発防止命令 NHKニュース

これについて秋田書店は「読者プレゼントの商品はかつて、メーカーから無料でもらえていたが、最近はそうでなくなり、経費が足りずに当せん者数だけを水増ししてしまった。

 ……というように、「上層部も知ったうえでの組織的な違反行為」「プレゼント商品が足りずに水増しした」となっており、元社員が横領したなどとはいっていないし、上層部が関与したとも認定されている。
 それが、社告として発表した文面では……

【社告】毎日新聞の報道に対する弊社の見解について(平成25年8月22日改訂) | 秋田書店

元社員は、あたかも社内の不正を指摘し、改善を訴えたために解雇されたなどと主張しておりますが、解雇の理由は、元社員が賞品をほしいままに不法に窃取したことによるものです。

 ……と、経費が足りない云々の話は、どこかに消えてしまい、元社員が窃取したためと、原因がすり替わっている。180度違うどころか、まったく別次元の話になっているのはどういうことなんだろう?
 元社員が犯人ならば、消費者庁から再発防止命令が出されて、取材を受けたときに元社員が窃取したためと説明しなかったのはなぜ?

 また、この社告は、改訂されているのだが……

8月21日の本欄へ掲載した文中の一部に事実誤認がありました。毎日新聞からの取材を弊社が一切受けていないとの記述は誤りであり、毎日新聞社からの指摘にしたがい、ここに削除・訂正し、毎日新聞社に対してお詫び申し上げます。

 ……と、当初は鼻息あらく毎日新聞を非難していたのに、事実誤認があったと詫びている。社告を書いた人と取材を拒否した人は別人なんだろうが、社内で情報が共有されていないようだ。縦の関係か横の関係かはわからないが、本件に対する重要性を認識していなかったと思われる。
 その背景に、社内の人間関係が円滑ではないことが見てとれる。部署間や上下関係で、コミュニケーションが取られていないかもしれない。だから、取材を受けたが拒否したことを、社告を書くような上層部には伝えなかった。
 そうした事実誤認は、本件の核心部分にもありそうだ。
 元社員の一件を、直属の上司は把握していても、他の部署や上層部には隠蔽するか、異なった報告をしている可能性はある。ちぐはぐな対応が出てくるのは、そのためだ。

 別の記事では……

「秋田書店、雑誌の読者プレゼントで当せん者数水増し」 News i – TBSの動画ニュースサイト

 秋田書店の担当者は、消費者庁に対し「こうした行為は2005年ころから行っていた」「景気の悪化でプレゼントが集まらなくなったが、読者アンケートを集めるため当せん者数を水増しした」と説明。また、「他社でもやっている」とも話したということです。

 ……と、2005年から、つまり8年前からとなっているのだが、前述のNHKニュースの記事では、

秋田書店で、今回問題となった雑誌の読者へのプレゼントコーナーを担当していた元社員は、NHKの取材に対して「当せん者の水増しは少なくとも6年ほど前から行われていた」と証言しています。

 ……と、6年前(2007年)からといっている。この6年というのは、元社員が関わった時期だと思われるので、2007年以前は元社員が原因ではなかったことになる。この年数の不一致は、記憶違いなのか、記事の記者の聞き取り間違いなのか、年数に間違いがないとしたら、元社員以外の別人が不正に関与していたことになる。

 加えて「他社でもやっている」という爆弾発言も(笑)。いや、自爆テロかな。他社でもやってるから、わが社もやった……というのなら、元社員は関係ないじゃないか。
 他の出版社は、火の粉が降りかかっているわけで、他人事じゃない。内部告発あるいはどこかにスクープされるまで、知らん顔するか。ことが出版社の問題なので、週刊誌は動かないかもね。
 自ら「不正がありました」と告白する会社はないだろうから、自分たちに引火しないように口を閉ざすのだろう。

 しかし、暴露したい人はいるようで、過去形ではあるが暴露合戦が始まっているみたい。

秋田書店の読者プレゼント水増し問題を受け、業界人たちの「僕も私も見た」大暴露大会始まる(篠原 修司) – 個人 – Yahoo!ニュース

秋田書店の読者プレゼント水増し問題が世間を騒がせていますが、その報道に便乗して世の編集者たちが「俺の知り合いもやってた」とバラし始める暴露大会が始まっています。

 間接的ながら、内部告発には違いない。
 が、そのノリの軽いこと(笑)。出版社の実名を出していないのがミソだが、「他社でもやってる」ことは状況証拠として成立しそう。
 Twitterは「バカ発見器」の機能を持たされているが、どうやら「内部告発通報機」としての機能も実装したようだ。

 こんな記事も。

「秋田書店だけじゃない!」当選者なんて存在しないのか……雑誌懸賞の知られざる真実(2/2) – 日刊サイゾー

 さて、今回の秋田書店の懸賞問題は、こうした規定以前に編集者がモラルのカケラもなかったということができる。しかし、この事例はまだ甘いほうだ。実は、世の中には読者プレゼント自体がすべてフィクションという雑誌もあるのだから。

 そんなムチャな行為を行っているのが、エロ本や実話誌だ。ある実話誌の編集部員は語る。

「だいたい読者プレゼントページは、新人編集部員の仕事です。まず、プレゼントする商品の画像をネットから拾ってきて、ラフを書いてデザイナーに渡します。商品なんて最初からあるはずがありませんよ」

 これは極端な例なのだろうが、この記事で問題なのは、ネットから画像を拾ってきて使うという、著作権無視の方。前にもちらっと書いたことがあるのだが、出版業界は著作権で成り立っているものの、自分たちの著作権にはうるさいのに、他者の著作権には鈍感なところがある。盗作、盗用、パクリの問題がたびたび起こるのはそのためだ。

 ともあれ、裁判を起こすそうなので、真相はやがて明らかにされるのだろう。
 心当たりのある出版社は、はやく鎮火してほしいのかもね。

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