ブラックホールといえば、巨大な恒星のなれの果てで、巨大な重力によって周囲の物質を飲み込んでいく……恐怖の星というイメージだろうか。
昔のSFには、ブラックホールをネタにした作品がけっこうあった。
巨大質量のブラックホールだけではなく、マイクロブラックホールなんてのも仮想されていた。
質量の小さなブラックホールがマイクロブラックホールだが、それを人工的に作ろうとしているという。
NIKKEI NET(日経ネット):「加速器で地球消滅」・米の元政府職員ら提訴
【ワシントン30日共同】欧州合同原子核研究所(CERN)がスイス・フランス国境で建設中の巨大加速器で生成されるブラックホールに、地球がのみ込まれる恐れがある――。こう主張するハワイ在住の元米国政府職員らが、CERNや米エネルギー省などを相手に計画の差し止めを求める訴訟を、ハワイ連邦地裁に起こした。米ニューヨーク・タイムズ紙が29日報じた。
加速器は一周27キロで世界最大の「大型ハドロン衝突型加速器」(LHC)。陽子同士を衝突させて質量の元になる未発見の粒子を確認するなどの物理実験を、今年夏から始める。CERNなどによると、極小のブラックホールをつくる計画はあるが、短時間で消滅し、深刻な影響が出る可能性はないという。
訴えたのは米退役軍人省の元放射線安全担当官ウォルター・ワグナー氏ら。生成された数多くの極小ブラックホールが融合して大きくなったり、接触した物質を高密度の塊に変えてしまう仮説上の粒子が発生したりして、地球が壊滅する可能性があるとしている。(30日 15:21)
思わず「プッ」と笑ってしまった(^_^;
そういえば、こんなSFがあった。
科学者が作ったマイクロブラックホールが、地球に落ちてしまって、地球の内部を公転し出す……というストーリーだったと思う。マイクロブラックホールは地球の内部を回りながら成長を続け、やがて地球を飲み込んでしまう。
しかし、現在可能となっている人工ブラックホールは、安定的に存在できず、ホーキング放射によってすぐに蒸発してしまうそうだ。蒸発させないためには、マイクロブラックホールを「太らせる」必要があり、いわばマイクロブラックホールをどうやって「育てるか」が問題だという。
関連して、こんな記事もあった。
光ファイバー内部で「模擬ブラックホール」を作成 | WIRED VISION
イギリスの科学者が、光ファイバーケーブルの内部でブラックホールをシミュレートした。これによって、ブラックホールの外縁である「事象の地平面」[光速で到達できず、そこより先の情報を知ることはできない領域の境界を指す]の向こう側で光がどうなるのかを研究できる可能性が生まれた。
こちらは擬似的なブラックホールということで、作用するのは光だけらしい。
擬似的でも、事象の地平面が再現できるとしたら、空間の歪みや時間の遅延といった実験も可能になるのだろう。
思いっきり飛躍すれば、それはタイムマシンの原理につながるのかもしれない。
遠い宇宙の話だと思っていたブラックホールが、身近なところで存在する時代になったということか。