ドローンにチクリと刺された首相官邸

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新しいビジネスチャンスや用途として注目されていた「ドローン
いいことばかりではなく、悪用されることも予見されていた。
ドローン(Drone)は、ミツバチの雄バチが名前の由来だが、首相官邸はチクリと刺されてしまった。

www.fnn-news.com: 官邸にドローン 厳重…

22日午前、首相官邸の屋上で、小型無人ヘリコプター「ドローン」が発見された。
今回狙われた首相官邸は、どのような立地にあるのか。
首相官邸の入り口の周りには、警察官が10人ほど立っているほか、車を止めるためのバリケードが設けられていて、厳重な警備態勢となっている。

(中略)

首相官邸には、官邸上空を見渡す防犯カメラが設置されておらず、ドローンが飛んできた経緯はわかっていない。

地上は警戒していたが、上空は警戒していなかったわけで、なんともお粗末な警備だったことが露呈したね。

厳重な警備といっても、首相官邸の近くに行った人ならわかると思うが、それほど厳重だという印象はない。外国の要人警護だと、自動小銃をぶら下げた兵士がいたりして、いかにも威圧感をあたえるが、日本の警備は拳銃は装備していても、見えにくいようにしているから実戦的とはいえない。また、日本の警官は発砲することを躊躇するから、どれほど有効なのかも疑問。

▼ある日の首相官邸前(北側道路、国家記事堂前駅出口より) ※撮影 : 諫山裕

国家記事堂前駅と首相官邸

国家記事堂前駅と首相官邸


仕事関係で官邸周辺を撮影したときの1枚だが、こんな感じで厳重な警備といいつつも、わりと緊張感はない(^_^)。テロリストが決死の覚悟で突入しようと思ったら、可能な気もする。

中東の紛争地域で携帯火器としてよく使われる、RPG(携帯対戦車グレネードランチャー)があったら、丸見えだから狙いやすい標的だ。周りには、官邸を見下ろす高いビルがたくさんあるから、ゴルゴ13には仕事がやりやすい環境でもある。

首相官邸は立地的にも、防御しにくい場所にある。
アメリカのホワイトハウスでも、ドローンが侵入した事件があったが、ホワイトハウスは周囲に緩衝地帯があるので、ホワイトハウスそのものに辿り着くには距離がある。つまり、猶予時間がいくぶんかはあるということだ。

地図で見るとよくわかる。

▼ホワイトハウス周辺の地図

ホワイトハウス周辺

ホワイトハウス周辺

▼首相官邸周辺の地図

首相官邸周辺

首相官邸周辺


日本の国家元首が執務する官邸と寝泊まりする公邸がある場所としては、構造的に無防備だともいえる。日比谷公園を潰して、そこに官邸を移すか、赤坂御用地の迎賓館を官邸にするとか、立地的な防衛策を講じなきゃダメな気がする。

皇居はかつての江戸城跡だが、掘があったり城壁があったりと立地的な防御を固めていた。それに比べると、地上からだけではなく空からの脅威があるにも関わらず、官邸の防御は脆弱だね。それは「想定していない」ということなのだと思う。

北朝鮮がミサイルを発射したときに、ペトリオット(PAC3)を配備したが、ドローン相手にペトリオットをぶっぱなすわけにもいかないしね。ていうか、ドローンに当たっても起爆しないだろう。

主要装備 ペトリオット|[JASDF] 航空自衛隊

ペトリオット

ペトリオット


小型の無人機に対する防空・迎撃するシステムがない。
拳銃の単発射撃で小さなドローンに命中させるのは難しそうだし、自動小銃の連射であれば落とせるかもしれない。総理大臣官邸警備隊は、H&K MP5を装備しているそうだが、ドローンに対して使用するのかどうか。使用するのに許可が必要とかいってたら、間に合わない。流れ弾がどこかに飛ぶから、それはそれで問題になりそう。

ドローンは2.4GHzもしくは5GHz帯の周波数を使って操縦しているから、その周波数でジャミングをかければコントロール不能にできるはずだが、そのための設備はないだろうね。とりあえず、該当周波数の電波を大出力で当てれば効果は見込めるから、ジャミング装置を作ること自体は難しくない。無線機メーカーに特注すればいい。

ドローンの規制を検討しているとのニュースも流れているが、テロリストは法を無視するから意味がない。必要なのは、規制することよりも、侵入してくるドローンにどう対処するかだ。

銃撃するのか、ジャミングするのか、それとも官邸の場所を移すのか。
せめて、上空を監視するカメラくらい、速攻で設置しないとね。
もう、設置した?
まだだとしたら、対応が遅すぎるけどね。

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