日銀の総裁は、日本経済を左右できる影響力と権力を持っている。
黒田総裁は、2013年から総裁のイスに座っているので、9年もの間、日本経済を牛耳っているともいえる。
しかも、選挙で選ばれたわけではなく、内閣に任命されるので、民意を反映しているわけではない。政権に都合のいい人が選ばれるわけで、国民の支持を得られなくても気にしないのだろう。
そんな黒田総裁の発言が物議を醸しているようだ。
日銀・黒田総裁 値上げ容認発言を釈明も収まらぬ国民の怒り「一揆起こるレベル」「更迭案件」 | 女性自身
「家計が値上げを受け入れている間に、良好なマクロ経済環境をできるだけ維持し、賃金の本格上昇につなげていけるかが当面のポイントだ」
この発言に対してTwitter上で「#値上げ受け入れてません」のハッシュタグがトレンド入りするなど、多くの国民のひんしゅくを買う事態となった。
(中略)
そもそも「家計が値上げを受け入れている」と判断した根拠は何なのだろうか。全国紙記者が言う。
「東京大学の渡辺努教授が実施したアンケート調査の結果です。『なじみの店でなじみの商品の値段が10%上がったときにどうするか』との質問に対し、昨年は半数以上が『他店に移る』と回答しました。ですが今年は『その店でそのまま買う』との回答が半数を超えたことから、“値上げを許容している”と捉えたようです」
このアンケートについて黒田総裁は、「1つの参考になるアンケートかと思って申し上げた」とコメント。その上で、「批判は甘受したい」と述べたという。
発言の根拠となった調査結果の解釈が間違っている。
「値上げを許容している」のではなく、「値上げを許容せざるをえない」だろう。
なにもかもが値上がりしている状況では、選択肢は限られる。生活必需品であれば、高くても買うしかない。
総裁の年収は3500万円とのことなので、10%値上がりしても、たいして困らない富裕層だ。富裕層のための施策をしているとも受け取れる。
黒田総裁の発言の真意を邪推すれば……
「貧民は切り捨てよ」
……ということなのかなと思う。
弱者切り捨ての姿勢は、あの「総統」を思わせる。
貧民は経済にあまり貢献しないから、見殺しにしてもいいということかな?
値上げを許容できる国民だけを優遇するんだろう。
金融緩和策は大企業のためだしね。
昨日発表された、「骨太の方針」と「新しい資本主義」の内容は、富裕層向けの印象を受けた。貯蓄を投資に回せなんていうのは、まるで投資詐欺のような言い方。投資にはリスクがつきもので、絶対に儲かるというものではない。それよりは、たいした利息はつかなくても、貯蓄の方が将来への備えになる。
「新しい資本主義」というのも、なにが新しいのかぜんぜんわからない。
ただの言葉遊びにしか思えない。
毎年、毎年、経済成長しないといけないという経済構造そのものが、もはや成立しなくなっている。無限に成長できるわけがない。
ウクライナ戦争は、第三次世界大戦にエスカレートしないまでも、世界各地での紛争が起きやすい状況を作り出したように思う。
次は、台湾か、朝鮮半島か、中央アジアか、中東か。
ロシアの侵攻を止められなくなった国連とNATOとアメリカのていたらくを見れば、武力侵攻するのに躊躇がなくなってもおかしくない。
グローバル化が進んで、ひとつの製品を作るのに、多数の国々が関わっているため、パンデミックや紛争が起きると、世界の工場が停滞する。他国への依存を減らすということは、グローバルとは逆方向に舵を切ることになる。
今後、反グローバリズムに向かうとしたら、新しい資本主義では対処が難しいのではないか。
新しい資本主義の背景には、バブル経済のときのような、「夢をもう一度」の願望が見え隠れする。
黒田総裁の任期は2023年4月までとのことだが、政権の方針が変わらないのなら、異例の続投があるのかもしれない。