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 サッカーW杯関連の記事があふれているが、その中でも空疎だった記事。

あ、この数字!? : 長谷川豊 公式ブログ 『本気論 本音論』

これ、実は結構面白い数字だと思うんですよね。
もともと、日本って、Jリーグなんて、中継しても数字が取れないから地上波から消えたコンテンツだったりするじゃないですか?みんな、そんなにサッカー見ないんですよね。興味もないし。
普段からサッカー場に足を運んでるファンなんて、本当に「超一部」じゃないですか?
でも、ワールドカップになったら
「盛り上がりを見せる日本が…」
なんて、アナウンサーがニュースなんか読んじゃってね。盛り上がってるのか?サッカーに?違うってことがこの数字で証明されてるんですよね。

 え?
 どう証明されているのか、ぜんぜん分析がないんだけど?
 どういうロジックなのか、理解不能。
 盛り上がっているのはワールドカップであって、Jリーグじゃないだろう。Jリーグの試合に足を運ぶ人が少ないのと、ワールドカップの盛り上がりとは別物。両者を無理矢理結びつけて、「サッカーは盛り上がっていない」という結論に達する根拠がわからない。
 「この数字で証明されてるんですよね。」というのは、視聴率の数字を指しているのだろうが、どういう計算をすると証明されているのかの説明がない。
 そもそも長谷川氏が、「盛り上がっている」とする定義はなにか?
 その定義が明示されていないので、「盛り上がっていない」状態と「盛り上がっている」状態の区別がつかない。
 境目となる閾値はなんなのか?
 そこを明確にしないと、証明されたことにはならないと思う。
 前段でJリーグについて、「中継しても数字が取れないから地上波から消えたコンテンツ」と書いているから、「低視聴率だから盛り上がっていない」ということをいいたいのだろう。視聴率の数字を根拠にして、「盛り上がり」の有無をいうのであれば、視聴率の取れているワールドカップは「盛り上がっている」という評価になるのではないか?
 長谷川氏の論法は矛盾している。

 また、渋谷のバカ騒ぎはたしかにバカな話なのだが、ごく一部の人々がやらかしたことを、あたかもサッカーファン全体のごとく扱うのはいかがなものか?
 電車で痴漢が発生したら、その電車に乗ってる男はみんな痴漢といっているようなものだ。あるアナウンサーが痴漢したら、すべてのアナウンサーは痴漢するものだといわれるとどんな気持ち?
 そうですね、と納得する?

そこで気づいたんです。
このカラッポの人たち。
周りに流されるの、大好きな人たち。
にわかが大好きな人たち。
テレビで盛り上がってるって聞いたら、一瞬で思考停止して、テレビのコメントの通りに「盛り上がってる」という言葉を隠れ蓑にして、ただ、大きな声を出してるのが大好きな人たち。

そんな人たちが、日本にはきっと40%強いるってことでしょ?

 私もテレビ観戦していたから、長谷川氏のいう「カラッポの人たち」ということか?
 長谷川氏はカラッポではないと自覚しているのだろうから、W杯は見ないということだね。そのポリシーは立派だけど、日本人の40%を「カラッポの人たち」と断言する知性には敬服する。
 その知性があるにしては、この記事の分析や証明にはあまり知性が感じられない。まぁ、カラッポな人間には到達できないレベルなのかもしれないが。

こないだのAKBの総選挙見て思ったんですよね。瞬間最高、30%近く行ったそうですよ?
すごい注目!
とか言ってる訳です。めざましとかで。

ホントか?

そんなに人気があるなら、なんで指原さんの主演映画、こないだ公開したけど2週間で打ち切りになったんだ?30%近く行くんじゃないの?大人気なんじゃないの?

 苦笑。
 どういうロジックで、そんな結論が出てくるのか理解不能。
 W杯は見ないのに、AKB総選挙は見るんだ(笑)。
 テレビの視聴率が、映画の観客動員数に直結するわけではないことは自明のことだ。どこにそういうデータがあるのかを示していない。
 歴代の観客動員数で1位なのは、「千と千尋の神隠し」の2350万人だが、これはリピーターも含めての数字ではあるが、日本の人口を1億2710万人(2001年当時)とすると、約18.5%である。つまり、大ヒットの映画でもこの程度なのだ。テレビの視聴率が30%だからと、映画でも観客動員数が人口の30%になることはありえない。ありえないことを例に出しても意味がない。
 AKB総選挙は、個人ではなく多くのメンバーがいるから成り立っているのだし、指原ひとりで視聴率を稼いでいるわけではない。その点も、考察不足。

第10話まで見てなかった人が、11話だけ見て、内容、分かるんか?11話だけ、突出して視聴率、高かったけど、みんな、本当に内容、分かってた人だけだったのか?

 テレビ業界にいる人が、こういう考え方をしているのが不思議。
 現在のテレビの視聴率の算出方法は、当然知ってるよね?
 地域ごとの標本数が200~600の中から、視聴されている数を抽出しているから、たまたま見逃したり、あるいは放送時間に見なかったが録画で見た場合もある。録画視聴はカウントされないから、視聴率が下がっているときに見ていないとは限らない。最近は録画視聴も多くなっているから、従来からの放送中の視聴率はあまり参考にはならなくなっている。私もニュースとスポーツ以外は、ほとんど録画視聴だ。

僕、テレビの世界から飛び出して、広く、ネットも雑誌も、色んな仕事をするようになって思ったんですけど、特に、ネットを情報収集の中心にしている人たちって、確率で言えば、こういう「思考停止状態」の人は少ない気がします。

 どういう確率?
 ネットの情報を真偽を疑わずに鵜呑みにする人も多いわけで、それがデマや誤報の原因になっている。マスメディアがネットの嘘情報を、事実の情報として報道するケースもたびたび発生している。
 真偽を確かめないのも、「思考停止状態」だと思うのだが?
 この場合、「確率」という言葉は間違い。
 確率とは……
『ある事象の起こる可能性の度合い。公算。蓋然率(がいぜんりつ)。』
 ……である。
 長谷川氏のいう「思考停止状態の人」は、不確定に出現する数ではなく、すでに確定されている人数だろう。つまり、「思考停止状態の人の割合」というのが正しい。アナウンサーなのだがら、言葉の使い方は正しくしてもらいたい。

 それと、ご自身の肩書きに「元フジテレビアナウンサー」とか「フジテレビ出身アナウンサー」と書くのは、やめたほうがいいのでは?
 ときどき古巣を批判したりしているけど、批判している古巣の威光をいつまでも背中に背負ってるのは、情けない気がする。なんだかんだいいながら、フジテレビにいたことを利用しているわけだし。親の臑をかじっているみたいだよ。

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