【サッカー】自らに課した重圧に屈した日本代表

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 日本のワールドカップブラジル大会、初戦。
 負けた。
 あれほど動けない日本代表になるとは思わなかった。
 いったいどうしたのか?

2014年ワールドカップ、日本 vs コートジボワール

2014年ワールドカップ、日本 vs コートジボワール

 サッカー評論家がいろいろと書いているが、「それみたことか」と鬼の首を取ったように批判している評論家には、はっきりいって腹が立つ。
 だったらおまえが監督してみろ、といいたくなってしまう。

 試合当日。
 試合開始時間は朝の10時だったが、ぜんぜん眠れず、それ以前に行われた、「コロンビア vs. ギリシア」「ウルグアイ vs. コスタリカ」「イングランド vs. イタリア」をずっと見ていた。
 待ち遠しかった。
 4年前(現在年からは14年前)の南ア大会のときよりも、期待している自分がいた。
 選手が入場するとき、ドキドキと緊張と興奮に見舞われた。テレビに映る選手たちの表情も、かなり緊張している様子がうかがえた。
 やはり、本大会は精神的に相当なプレッシャーなのだろうと思った。

 本田がシュートを決めるところまではよかった。
 私も思わず「よっしゃーー!!」と叫んでいた。
 この瞬間、この喜びを、4年間待っていたのだ。
 さい先のよいスタートのように思えた。

 が、しかし……
 後半は劣勢に立たされた。
 惜しいシュートもあったが決められない。
 そして、立て続けの失点。
 反撃すらできずに、敗戦。

 解説の岡田さんもいっていたが、とにかく動きが重く、ほとんど連動性がなかった。
 まるで、16年前(現在年からは26年前)のフランス大会まで戻ってしまったかのような感じがした。
 初戦の緊張で硬さが出たともいえるが、それだけではないなにかに身動きが取れなくなっているように思えた。
 試合終了が迫っているときの、選手たちの動揺した顔。
 ザッケローニ監督の表情も、かなり動揺と焦りがあった。
 みんな冷静さを失っていた。

 試合が終わったあとは、失望感にどんよりと落ち込んだ。
 見ているファンでもこれほど落ち込むのだから、選手たちの落ち込みは相当なものだろうと想像する。
 その精神的ダメージを乗り越えて、次戦に臨めるかどうか……

 敗戦から1日経って、彼らが陥った「なにか」について考えた。
 それで思い至ったのは、ソチ五輪での浅田真央の状況と、似ているということだった。
 真央ちゃんは、金メダルを取るために、自身の集大成として臨むといっていた。
 しかし、ショートプログラムでは、信じられないようなミスの連続。本来できるはずのことが、なにもできなかった。
 その後、フリープログラムで歴史に残るような名演技をしたわけだが、あの感動は信じられないような大失敗のあとだから起こったことでもあった。

 今回の日本代表も、優勝を目指し、4年間の集大成として挑むと口にしていた。現実的に優勝が可能かどうかは別にして、意気込みは強いものがあった。
 彼らは自らに、重圧を課した。
 真央ちゃんがそうであったように。
 だが、重い決意は、彼らを呪縛した。
 負けられない、失敗できないという思いが、気持ちと体を動けなくしてしまったようだ。
 生真面目すぎる日本人的な性格が、裏目に出てしまった気がする。

 真央ちゃんは、開き直ってフリーでは最高の演技をした。
 サッカー日本代表は、どうか。
 勝ち点の計算上は、残り2試合を勝てれば、勝ち上がれる可能性はある。しかし、過去のW杯では、初戦で負けたチームが勝ち上がった例は少ない。
 同様のことは、優勝候補の筆頭だったスペインにもいえる。だれが、スペインの惨敗を予想しただろうか。オランダがすごかったというのもあるが、W杯連覇という重圧が、経験豊富なスペインチームにも呪縛になっていたように思う。

 残り2試合で大逆転の試合をして、決勝トーナメントに進出できれば、真央ちゃんのような感動を再びもたらしてくれるだろう。
 はたして……

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