ロボットに“性別”は必要なのか?

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 女性型ロボットに同調笑い(愛想笑い)の機能を実装したところ、女性差別だという批判が出ているらしい。
 自分に似せたロボットを作る研究者もいるが、多くの場合、開発者が男だと女性型ロボットを作る傾向にある。
 なぜ、女性型なのか?……という理由は、明確ではない。

若く従順で美人顔──女性ロボットERICAの炎上は開発者個人だけの問題か / Newsweekjapan

Shared laughter with ERICA (ERICAによる同調笑い)

Shared laughter with ERICA (ERICAによる同調笑い)

京都大学の研究グループが2022年9月、人間の笑い声に反応して、一緒に笑い声を出す機能を搭載したヒト型ロボットを開発した。このニュースをNHKがツイートしたところ、女性差別だと炎上する騒ぎが起こった。

京都大学大学院情報学研究科の井上昴治助教らの研究グループは人工知能(AI)を活用し、対話しながら相手の笑い声を分析して一緒に笑い声を出す機能を、既に開発されていた自律対話型アンドロイドERICAに搭載した。実際の会話データから同調笑いのモデルを作り、相手の笑い声を周波数などで判断して反応する仕組みになっており、声の大きさや特徴に応じてロボットがさまざまなトーンの笑い声を出す。

(中略)

大阪大学の研究ポータルサイトには、ERICA開発の研究成果のポイントとして「見た目は美人顔の特徴を参考にコンピューターで合成され……」と記載されている。日本を代表する国立大学の研究グループが女性アンドロイドを「美人顔」に作ったと堂々と記す──。「男ばかり」の環境で生きる研究グループの、ルッキズム(外見至上主義)やジェンダーステレオタイプに対する意識が表れてはいないか。

(中略)

これは開発者個人の問題ではなく、若い女性に「男性の助け」と「美しさ」を当然のごとく求める日本社会全体の価値観の問題なのだろう。

ジェンダーステレオタイプが刻み込まれ、ジェンダー不平等に対する危機感が根本的に欠けている。だからこそ、女性ロボットを「美人顔」で作ったとルッキズムを公言し、ロボットに「従順な」セリフを言わせることの問題に、AI開発の最先端を担う男性研究者が気付かない。

 その動画が以下。

 愛想笑いのタイミングがワンテンポずれていて、タイムラグのあるテレビ中継のような違和感があるね。そのへんが処理能力の限界なのかな。
 相変わらず、不気味の谷ではある。

 これに対して、ジェンダー問題が起きるのは必然なような気がする。
 前にも書いたように思うが、そもそもロボット(人型なのでアンドロイド)に性別は必要なのか?……ということ。

 アンドロイドに性別を付与するのは、異性に対する性的なアプローチを意図しているからだろう。これがダッチワイフなら、女性型である必然性は生じるかもしれないが、異性を性的に刺激する必要がないのなら、性別の付与は必要ないはず。
 男でも女でもない、中性でいいじゃないか。

 あえて美人の女性型にしたのは、開発者の趣味だろうし、そこに開発者の思い描く理想の女性像が反映されているのだろう。
 そういう意味では、スケベ心というか性的嗜好が含まれていると思われる。
 開発者が男性のゲイだったら、美男子をモデルにしただろう。そこは作る人の趣味嗜好が現れる。
 鉄腕アトムを作った天馬博士は、亡き息子をモデルにした。人型ロボットは、人のエゴの具現化でもある。

 ERICAは、開発者のエゴの産物だといえる。

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