政府がAIの7原則…果たして有効か?

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AIを巡る様々な思惑や動向は、どこか胡散臭いものが背景に漂っている気がする。
騒ぎすぎというか、誇大妄想過ぎなんだよね。
いまできていることと、将来できるであろうことがごっちゃまぜになっているからだ。

で、ロボット三原則ならぬ、AIの7原則を政府が提唱したという。

AI、政府が7原則 プライバシー確保など – 毎日新聞

 政府の有識者会議が年内にまとめる人工知能(AI)活用の基本原則の素案が7日、明らかになった。人の幸せ実現のために活用し、AIの提案は人が判断する「人間中心の原則」やプライバシーや透明性の確保など七つの原則を提示した。

(中略)

◇AIの基本原則案

(1)人間中心の原則
AIは人々の自由拡大や多様な幸せのために使われる。
AIの提案は人が判断する。

(2)教育・リテラシーの原則
すべての人がAIを正しく理解し、便益を得られるよう教育の機会を平等に提供する。

(3)プライバシー確保の原則
個人情報を本人の望まない形で流通させたり、利用したりしない。

(4)安全性確保の原則
サイバー攻撃や情報流出で安心・安全が損なわれてはならない。

(5)公正競争確保の原則
特定の国や企業がデータを独占したり、AIによって富が一部に偏ったりしてはならない。

(6)公平性、説明責任、透明性の原則
AIの利用によって差別があってはならない。AIの動作について可能な限り説明責任を果たす。

(7)イノベーションの原則
人材や研究の国際化・多様化を進める。国境を超えてデータを相互利用できる仕組みを作る。

元記事の毎日新聞のサイトでは、この記事が有料になっていて全文が読めない。
なのに、転載されたYahoo!ニュースでは全文が読める。
なに、この矛盾は?(^_^)
有料記事の意味がないというか、毎日新聞に料金を払っている人にとってはバカにした話だと思うのだが……?

どんな7原則かと思ったら……
なにをいまさらなことしか書かれていなかった。
これって、基本的人権と同じような話じゃないか?
あるいは、労基法や道交法などの法律。

だけど、基本的人権はちゃんと守られなくて差別や虐待等は存在するし、労基法も守られなくてブラック企業やブラックバイトが当たり前にある。
建前や理念は素晴らしいのだが、ちゃんと履行されなければ絵に描いた餅。
AIの7原則も同じ運命を辿るだろう。

原則というか理想論は立派だが、ペナルティのないルールを守るのはよほどの清廉潔白な人たちだけ。利益や利害を追究する人たちに、原則の厳守を期待しても無理というもの。
ペナルティのある労基法だって平気で無視する企業が多いのだから、AIの7原則なんてたいした意味を持たないと思う。

むしろ、ここに書かれている理想論の逆のことが、将来的には起きそうだ。
どっちかというと、そっちの世界の方が現実的な気がする。

  1. AIは人々の自由や多様な幸せを阻害する。
  2. AIは正しく理解されず、教育の機会の平等は奪われる。
  3. 個人情報を勝手に流通させ、利用される。
  4. サイバー攻撃による情報流出で安心・安全が失われる。
  5. 特定の国や企業がデータを独占し、AIによって富が一部に偏る。
  6. AIの利用による差別、AIの動作について説明責任を果たされない。
  7. 人材や研究の国際化・多様化、国境を超えてデータを相互利用は、一部企業に独占されて実現しない。

どうだろう?
こっちの未来の方がありえるように思う。

もっとも、現状のAI技術は、そう遠くない未来に行きづまる。期待の方が過剰に上回っていて、できないことまでできるように錯覚しているからだ。

度々書いていることだが、真のAI時代の到来は、汎用の量子コンピュータと量子ネットワークが実現することが前提。
それは楽観的に見積もっても、50年後くらいだと思う。

備えることは必要だが、まだあわてる必要はない。
というか、社会のあり方を変えることが先。
人権や労基法が守られない社会では、AIも悪用される。
結局は、人間性や社会性の問題なのだから。

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