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 英語を話せない日本人は、英語に対してコンプレックスを持っていると思う。私もそのひとりだが、中学~高校時代に受けた英語の授業は、英語を学ぶというより、英語へのコンプレックスを植え付ける授業だったように思う。
 お陰で、英会話はできないけれど、英語の文章はそこそこ読める……という中途半端な英語レベルになってしまった。英語圏では、話せるけど文字が読めない人は少なくないが、その逆はあまりない。幼児が日本語を覚えるときに、読み書きから始めるわけではなく、話すことから始めることを考えれば、英語の教育も話すことから始めるのがセオリーだと思う。

 そんな英語教育について、サッカー選手の吉田麻也氏が語っていた。

麻也「日本人選手は怠けている」 プレミア体験で不可欠な2つを明かす – サッカー – SANSPO.COM(サンスポ)

 サッカーのイングランド・プレミアリーグ、サウサンプトンDF吉田麻也(26)が13日付の英紙インディペンデント(電子版)でインタビューに応じ、「日本人選手は怠けている」と話した。

(中略)

「英語を話せないのは、日本の教育方法に問題がある」と言い、吉田は英語を読むことはできても話すことができない英語の授業方法を説明。その上で「英語を話せなければ、機会だってない。残念だよ。日本人選手は怠けものだ」とコメントした。さらに、吉田は「ストライカー、センターバック、ゴールキーパー」は日本人にとって一番難しいポジションとし、キーポジションでチームを導いていかなくてはいけないのに、言語を話せなければ指示を出すこともできないと説明した。

 この記事について、「誤訳」だとした関連記事が以下。

吉田麻也「怠け者」和訳に反論/サッカー/デイリースポーツ online

その後に「It’s shame. Some Japanese players are lazy」と発言した。

 この「lazy」が「怠け者」と和訳された。確かにlazyは「怠惰な」、「のろまな」という悪い意味で用いられるが、「Some」をつけていることや、英語教育の問題点を指摘していることから「こうした事態は恥ずかしいこと。日本人選手の“中には”勉強を怠けてしまう“人もいます”」というニュアンスでも読み取れる。

 ニュアンスの違いだが、それこそ英語で日本人が苦手な部分だね。日本語そのものが、曖昧表現の多い言語なので、翻訳するときに曖昧さが増幅してしまう傾向にはある。
 多少のニュアンスの違いはあるが、麻也(愛着をこめて)のいってることは、それほど間違ってはいない。
 海外に挑戦する選手が増えてきたものの、あまり活躍することなく日本に帰ってくる選手も少なくない。チームに馴染めるかどうか、住む国や街に馴染めるかどうかを大きく左右するのは、言葉が通じるかどうかだと思う。コミュニケーションがうまく取れないことはストレスになるし、状況を理解することの妨げにもなる。海外で長く選手を続けられている人は、不自由しないレベルの英会話能力がある人たちばかりだ。
 英語に対するコンプレックスは、欧米人に対するコンプレックスとも連動している。海外チームと対戦するときに当たり負けするのは、フィジカル的な問題だけではなく、精神的なコンプレックスがあることも関連していると思う。

 麻也は、なんだかんだいって、一番成長した選手だろう。代表に呼ばれた頃は、頼りなさがあったし、ミスも多かったが、海外でもまれているうちに強かになった。DFとして盤石というわけではないにしても、国内DFにはない強みは身につけたと思う。
 とはいえ、2018年のロシア大会では、年齢的にピークを過ぎているだろう。彼に代わるDFが、海外移籍できるような状況にならないと、守備は脆いかもしれない。

 いずれは海外で……というサッカー選手は多いようだが、サッカーのテクニックだけでなく、英会話能力も磨いておくことだね。どの国に行くかで母語は違うが、とりあえず英語を話せれば敷居は低くなる。サッカー以前に、言葉でつまづくのは無駄な苦労だしね。

 ともあれ、代表監督は代わったし、選手の顔ぶれも徐々に変わっていくだろう。新しい日本代表の戦い方がどうなっていくのか、楽しみにしている。
 2018年への道は、険しい。コンフェデレーションズカップ2017には出られないし、コパ・アメリカ2015にも呼ばれなかったし、貴重な強豪国との対戦の場が乏しい。ヨーロッパ遠征を多く組めればいいのだが、相手があってのことなのでそうそう簡単でもない。
 ハリルホジッチ監督には期待しているが、苦難が多いだろうことも予想できる。
 3年後。
 ロシア大会で、日本は輝けるだろうか?

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