「ストックフォトサイトのあれこれ(26)~使用例の本」の続き。
どういう写真が売れるか?
私のブログで検索で来てくれる方には、ストックフォト関係の検索語句がけっこう多い。
過去にもそのことについて取り上げた。
参照→ストックフォトサイトのあれこれ(25)~ストックフォトで稼ぐには
つい最近あった検索語句は、
「どういう写真が売れるか?」
というものだった。
気になるテーマだろうし、悩ましい問題でもある。
どういう写真が売れるかは、ストックフォトサイトの特徴や得意分野によって異なるので、一言ではいえない。ごく一般的に「売れ筋」といわれるのは……
●モデルを使った人物写真
●質の高い料理写真
●観光名所の典型的な風景写真
この3つが売れ筋のテーマではある。
とはいえ、このテーマはフォトグラファーとしてセンスやテクニックを問われるテーマでもある。
(1)モデルを使った人物写真
人物撮影の難しさは、写真をやっている人なら重々承知だろう。
撮影のための準備や、スタジオ撮影なのかロケ撮影なのかでも、大きく違ってくる。また、モデルが素人なのかプロなのかでも、作品の完成度に大きく差が出てしまう。加えて、スタジオを使えば料金がかかるし、モデルにはギャラが発生するから、それなりにコストもかかる。ストックフォトの場合、売れなくては元手を回収できないので、売れる写真が撮れる自信がある人じゃないと難しい。
人物写真は、モデルとなる被写体の魅力が、売れるかどうかの90%くらいを決めてしまう。絵になるモデルは、そんなにいるものではないので、良いモデルを探すことが売れる写真の条件になる。
プロの撮影現場では、衣装のコーディネイトやメイクをする専門スタッフなど、他者の力を借りることになり、その人たちのギャラも発生する。本格的にモデル撮影をするには、かなりの手間暇とコストがかかる。
写真の販売単価が安いサイトでは、撮影にかかるコストを回収することも難しくなるので、どこで売るかを選ぶテーマでもある。
(2)質の高い料理写真
料理写真は基本的に室内でのスタジオ撮影になる。専門のスタジオとまではいかなくても、自宅でのスタジオ撮影に必要な照明や小道具などをそろえる必要がある。つまり、それなりに機材への投資が必要だということだ。
また、料理を自分で作るとなると、料理の腕前が要求され、さらには料理の材料や食器なども購入しなくてはならない。
料理を美味しそうに撮るには、高度なテクニックが必要になる。
モデル撮影とは違って、自己完結できる撮影テーマではあるが、難しいことには違いない。
(3)観光名所の典型的な風景写真
風景写真は、アマチュアレベルでも撮りやすいテーマだ。
しかし、それは競合相手が多いことも意味する。
たとえば、「富士山」などは、需要の多いテーマではあるが、典型的かつ魅力的な富士山の風景写真というのは、それほど多くはない。富士山が見えるところに行けば、富士山は撮れるわけだが、どういう富士山が撮れるかは千差万別。季節、場所、時間、気象条件などの違いで、同じ富士山でも違った富士山になる。魅力的な富士山を撮るのは、じつはとても難しい。
簡単なようで難しいのが、観光名所の風景写真だといえる。
売れない写真の代表は「花」
ストックフォトでも、「花」の写真は圧倒的に多い。
それは身近な被写体で、撮りやすいために、誰もが撮るテーマだからだ。花は一定の需要はあるものの、量が多いことで競争率が高く、個人レベルで見ると「滅多に売れない写真」となる。
もっとも多い花は「桜」だろう。桜で売れる写真を撮るのは、至難の業。すでに売れ筋となっている他の作家の桜を上回る写真を撮るのは、そうそう簡単ではない。とはいえ、同じ写真があちこちに登場するようになると、新鮮さを求めて比較的新しく撮影された写真を、あえて選ぶこともある。それでも競争率がかなり高いことに変わりはない。
売れた写真~私の場合~
私が撮る写真は、風景、動植物、自然現象が主体だ。モデル撮影や料理写真なども、やりたいとは思っているが、まだその準備が整っていない。
撮影テーマがいくつかあるが、わりとマニアックなテーマだ。誰もが撮るテーマだと競合してしまうから、あえてマニアックなテーマを選んでいる。あるテーマの撮影については、数年をかけて撮りためている状況で、作品として提出していないものもある。
私の主戦場はアマナイメージズだが、そこで売れた写真を紹介する。
※2012年5月21日の東京で見られた金環日食。天候はよくなかったが、滅多にない国内での天文現象なので、度々売れている。
※以前にも紹介した、一番の売れっ子写真。こういう好条件の撮影は、なかなかないので希少価値になっていると思う。
※メジロと桜は、季節の定番ともいえる取り合わせ。
※似たような写真はほかにもあるのだが、D800の36MPの大サイズが理由なのかな?…と思う。
※江ノ島周辺の写真は、ほかにも売れている。
※うちから近い光が丘公園にはよく行くのだが、これは売れて欲しかった一枚。
※ヒガンバナを撮るために巾着田まで行った。撮影遠足に行った写真が売れると、交通費の元が取れる(^_^)。
※これはうちのマンションの最上階からの眺め。身近な風景でも売れることがあるという例。
※都庁の展望室に行ったときの撮影だが、この写真は複数回ダウンロードされた。
こうして並べて見ると、傾向はバラバラ(^_^)。
共通項を挙げると「典型的」あるいは「象徴的」なイメージということだろう。私はグラフィックデザイナーとしてストックフォトを利用する立場でもあるので、そのへんは利用する場合のことも考えながら撮影しているつもりだ。
ということで、参考になれば幸いだ。
「ストックフォトサイトのあれこれ(28)~どういう写真が売れるか? Part-2」に続く。
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