ゼレンスキー主演のドラマ「国民の僕(しもべ)」

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現ウクライナ大統領であるゼレンスキー氏が、大統領になる前に大統領役で主演したドラマシリーズ「国民のしもべ」を、Netflixで観た。

かなり面白い作品だった。

シーズン1からシーズン3まで、全51話ある。
YouTubeでも無料公開されている。

公開されたのは、2015年〜2017年にかけて。
ロシアによるクリミアの併合が2014年3月だったので、ロシアとウクライナの関係が悪化していた時期に公開されたことになる。

コメディとされているが、コメディ要素はあるものの、ストーリー的にはけっこうシリアスだ。
政治腐敗と戦う大統領という展開になっている。
現実の世界では、ゼレンスキーはロシアと戦っている。
そこに重なるものがあった。

物語の節目に、ゼレンスキー演じるヴァシリ・ゴロボロジコ大統領が演説を熱弁するのだが、これが感動的だ。その人の心を揺さぶる演説は、現実のゼレンスキー大統領と同じだ。ドラマで演じたことを、実際に大統領になってもやっている感じ。

ウクライナ情勢のニュースを毎日のように見ているから、ウクライナの主要都市の名前と位置が頭に入っている。
ドラマの中でも、それらの都市の名前が出てくるから、位置関係がパッと浮かぶ。
今観るから、ウクライナのことがわかるという皮肉。去年だったらチンプンカンプンだったと思う。

たとえば、ゴロボロジコ大統領がハルキウを訪れたシーン。

「国民の僕」ハルキウの駅前シーン

「国民の僕」ハルキウの駅前シーン

それが現在のリアルのハルキウでは……

ハルキウの爆撃された庁舎

ハルキウの爆撃された庁舎

……と、こんなありさまだ。

ドラマはウクライナの当時の現状をカリカチュアしているものの、どこの国でもあるような問題でもある。
それに対して、ゴロボロジコ大統領と仲間たちが改革のために奮闘する姿は、まるでヒーローもののようにも見えるくらいカッコイイ。

ウクライナの民族的・文化的・政治的な背景も、このドラマを見るとよくわかる。地域によって言語が違うこと(ウクライナ語とロシア語)が対立の一因であるとか、オリガルヒが政界を牛耳っているとか、プーチンの名前を出すと言い争いが止まるとか。
なお、ドラマではロシア語が主に使われている。

ゼレンスキーが大統領になれたのは、このドラマの影響だとわかった。
理想の大統領を演じたゼレンスキーに期待したのだろう。
ロシアのウクライナ侵攻が起きて、ゼレンスキー大統領はゴロボロジコ大統領を具現化したともいえる。SNSを活用して世論を味方につけたのは、ドラマの中でも描かれていた。

シーズン3は3話だけで終わっているのだが、それはゼレンスキーが大統領に当選したために終了したのだという。フィクションとリアルが交錯してしまったようだ。
そして、シーズン4は現実のゼレンスキー大統領として、ロシアと戦っている。

余談だが、ドラマの中で日本に言及するシーンがちょくちょくあった。放映当時のことを考えると、日本のドラマでウクライナに言及することはなかっただろう。そういう意味では、ウクライナから見る日本は、それなりの存在感があったのかなと思った。

もうひとつ余談だが、字幕の誤字脱字が多いのはいただけない。表現がおかしな字幕もあり、まるで精度の悪い機械翻訳だ。

ドラマとして面白いし、ウクライナを知るのにも良いドラマである。

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