【レビュー】日本版『24』

LINEで送る
Pocket

鳴り物入りで宣伝されていた、日本版『24』を見た。
期待はしていなかったが、逆の意味で予想通りのドラマだった(^_^)b
いろいろとツッコミどころ満載である。

『24』なぜ今リメイク? 「日本ドラマの仕組み超えた“2クール交渉”」制作P語る権利獲得の舞台裏 / ORICON NEWS

2001年に放送され一大ムーブメントを巻き起こした米ドラマ『24』。物語の舞台を現在の東京に移した日本版リメイク作が、10月9日より2クールで放送される。ファンからは期待の一方、「なぜ今?」、「ハリウッド的大作をリメイクできるのか」などの厳しい視線も寄せられている。そんなプレッシャーを背負うプロデューサーだが、厳しい交渉の末に獲得できた日本版では、本筋の面白さは残しつつも、日本らしさを盛り込んだ新しい世界観にも挑戦したと語る。

このレビューを書くにあたって、本家「24」のシーズン1の第1話を見直した。
ストーリーは9割方同じ。
セリフもほとんども同じ。
画面分割の手法も踏襲。
舞台を日本にしたことと、時代の違いから多少のアレンジはあるが、ほぼ本家をなぞっていた。

まぁ、リメイクと謳っているから同じにしたというのもあるのだろうが、ここまで同じにする必要はあるのか?……と思った。
本家に近づけようとしたために、本家にあって日本版に足りないものが際立ってもいる。

結論から言うと、
粗悪なコピー品にしかなっていない。

リメイクというより、劣化コピーだね。
ポイントをいくつか挙げる。

1)唐沢寿明が悪いわけではないが、ワイルドさは乏しいし、少々老けすぎ。
本家をなぞっていくなら、ハードなアクションなども出てくると思われるが、キーファー・サザーランドのようなマッチョでエネルギッシュな感じがしない。朝ドラの「エール」にも出ていたが、やさしいお父さんの方がはまり役。

2)画面の空気感が乏しい。
これは日本のドラマ全般にいえることだが、空気感の演出や表現がほぼないんだよね。
空気感というのは、ライティングであったり色彩設計であったり雰囲気だったりするが、それぞれのシーンでのリアル感のこと。

海外ドラマでは当たり前のことだが、あえて細部を見せないとか、陰影で影の部分は真っ黒とか、あえてレンズボケを入れるとか、埃が舞っているとか、そのシーンにいると感じられるであろう空気感を表現する。

対して、日本版「24」は、ライティングはギラギラとキツイし、くっきりすっきりの絵になっている。そのため画面が見えすぎでのっぺりしていて、遠近感の乏しい絵になってしまっている。
これは日本ドラマの癖というか、映像に対する美意識の違いではある。映画でも同様だ。

カメラは、肉眼では見えない(見ない)ものまで捉えてしまう。見えすぎることは逆にリアリティが薄れ、嘘っぽく見えてしまうんだ。
あえで映像の情報を削ぎ落とすことで、画面がリアルになる。
質の高い海外ドラマや映画は、どう見せるかの絵作りをしている。

3)カメラワークが単調。
前述のこととも関連するが、カメラワークに動きが乏しく、躍動感がない。
本家「24」は、人物の動きを追うようにカメラが動くシーンが多いのだが、日本版では固定カメラが多く傍観者的なカメラになっている。

ストーリーとしてはアクションものだから、カメラワークにもアクションが欲しいところ。
カメラが動きすぎてもダメなので、見ている者が臨場感や緊張感を感じられる動きは必要。

4)爆破シーンがショボい。
第1話では、旅客機から工作員の女が脱出するために、搭乗口を爆破するシーンが出てくる。
CTUがテロ対策ユニットであることから、爆破シーンは見せ場のひとつになっている。
そのシーンが、日本版はショボい(^_^)b

▼本家「24」の爆破シーン(モニタをカメラで画撮)
本家「24」爆破シーン

▼日本版「24」の爆破シーン
日本版「24」爆破シーン

見てのとおりで、作り込みがぜんぜん違う。
日本版はどこから出てきたのか紙が舞ってるだけだが、本家は機内にあるだろう備品や内装材と思われる機体の一部も舞っている。このリアリティのこだわりはすごい。
ほんの一瞬のシーンだが、見えていないようで見ているんだ。
これが迫力の違いになる。

5)カットのつなぎのテンポが遅い。
カットのつなぎ方、つまり場面チェンジのテンポが、本家はサクサクとスピーディーに展開される。
一方、日本版はスローテンポで、1カットが長め。そのためスピード感を殺してしまっている。
これはアクションものでは致命的だな。
リズム感の違いなんだよね。2/2拍子と4/4拍子の違いのようなもの。

6)ウイットや気の利いたジョークがない。
文化の違いといってしまえばそのとおりなんだが、本家は随所にウィットやジョークが散りばめられいる。それがキャラクターの表現や息抜きにもなっている。
しかし、日本版はそういうセリフはほとんどない。言い方を変えれば、抑揚がなく「硬い」のだ。


以上、おもな6点を挙げた。
この作品で視聴者は納得するだろうか?
あえて日本人でリメイクする意味があるようには思えない。
本家「24」を見る方が、何倍も面白い。

2クール、24話制作することで、リメイクの権利を買ったそうだが、この完成度のドラマを24本も作って、視聴率が振るわなかったらどうするんだろうか?
申し訳ないが、私は2話以降は見ないよ。