ブロゴスに転載されていた記事で、点字ブロックについての件。
本題の記事よりも、つけられていたコメントの方がいろいろと興味深かった。
そのなかのひとつ。
意見:点字ブロックから手すりが?!見えてる自分に「見えていなかった」コト
▼コメントA
もうひとつ、点字ブロックの盲点があります。
前にもどこかに書いたのだけど、駅のホームの点字ブロックは、ホームの線路寄りに設置されてるよね。構内アナウンスでは、その点字ブロックを「黄色い線」として、安全ラインにしてる。
黄色い線の内側を歩いてくださいってね。
つまり、安全ラインのギリギリの所を、目の不自由な人に歩けと、あの点字ブロックはうながしてるわけ。駅によっては、あの黄色い線が、ホームのかなり線路側に寄っていて、目が見えていても危ないところがある。
点字ブロックと安全ラインの黄色い線を兼用にするのは、間違ってると思うよ。▼上記コメントに対するコメントB
「ここから先は注意」を示す点字ブロックの上を歩き続けるのもどうかと。必然的に点字ブロックを避ける⇒内側になりませんか?
この指摘について、両者とも半分くらい正しいと思う。
そこで、通勤途中に寄り道して確かめてきた。
まず、一般的な駅ホームの点字ブロックの配置は以下のようになっている。(クリックで拡大表示、以下同様)
線路側からちょっと離れた位置に点字ブロックが敷かれている。これが「黄色い線」としてここより外側(線路側)は歩かないようにと、駅のアナウンスは注意している。つまり、点字ブロックの外側(線路側)は「危険ゾーン」ということで、点字ブロック上は安全と危険の境界線ということになる。
コメントBの意見は、点字ブロックは警告なので、その上を歩かなければよい……ということなのだが、それは見えている人の判断でもある。目が見えない人にとっては、どちらが「内側」なのか判別が難しい。
点字ブロックには、大別すると2つの種類がある。
(1)線状のブロック……移動の方向を示す誘導ブロック
(2)点状のブロック……注意喚起・警告を促す警告ブロック
点状のブロックは注意喚起であって、「止まれ」あるいは「歩くな」ということではない。注意喚起ではあるものの、駅のホームではどこからどこまでがホームであるかを示すための、誘導のサインにもなっている。本来の誘導ブロックである線状ブロックは、階段やエスカレータ付近にはあるがホームの端から端まで誘導するためのものは設置されていない。
したがって、目が見えない人は点状ブロックを頼りにするしかない。真上を歩かないにしても、片足のどちらかで点状ブロックを踏みつつ、進路を取ることになる。完全に内側に入ると、柱や自販機などがあって、障害物が多くなる。まっすぐ迷わずに歩けるのは、点状ブロックのある線路際ということになってしまう。
ホームの「内側」と「外側」を区別するために、線路際の点字ブロックには、内側に1本の線状突起が加えられている。
これは「ホーム内方線」というそうだ。
▼ホーム内方線のある駅ホーム点字ブロック
この対処は比較的最近とのことで、ホーム内方線がない駅ホームもある。
▼ホーム内方線がない駅ホームの点字ブロック
ホーム内方線がないと、方向感覚を失ってしまった場合、どちらが「内側」なのかまったくわからなくなる。線路側を内側と勘違いしてしまうと、転落や接触の危険性がある。どちらかわからないときは、むしろ点状ブロック上を歩いた方が安全だともいえる。
つまり、目が見えない人に対して、内側と外側を判別できない点字ブロックでは、「内側を歩けばいい」と軽々しくいえないのだ。
点字ブロックの「内側」を、ほとんど歩けない駅もある。
極端にホームが狭くなっている場所だ。
▼新宿駅の狭いホーム箇所
「内側」が30cmくらいしかない。
いくらなんでも、これでは内側は歩けないよ。この狭い場所には電車は止まらないようにして、ホームドアを設置しないまでも、柵を設置すべき場所だ。行き交う人がすれ違うのにも難儀する場所で、通るときはヒヤヒヤものだ。「外側」にある程度の余裕はあるが、端のギリギリを歩くのはけっこう怖い。朝のラッシュ時には、押し出されそうになる。
こんな状況で「黄色い線の内側を歩いてください」という注意喚起は、あまりに無茶苦茶。壁に張り付いて歩かなくちゃいけない。
新宿駅は、延々と改装工事をしているのだが、そっちの工事よりもこっちの安全対策の方が先だろうと思う。
駅ホームの点字ブロックについてまとめると……
(1)線状ブロックがなく、点状ブロック上を歩かざるをえない状況にある。
(2)ホーム内方線がない点状ブロックでは、内側と外側を区別できない。
(3)狭いホームでは、点字ブロックの外側を歩くことになる。
……というようなことで、問題は簡単には解決できないのではないかと思った。
(注)写真は、私がiPhoneで撮影したもの。