【サッカー】本田暴走論は疑問

LINEで送る
Pocket

【サッカー】連敗だった欧州遠征から見えること」の続き。

監督交代論に続いて、今度は「本田暴走論」が出てきた(^_^)b
欧州遠征のTV中継で解説をしていた、サッカー元日本代表FW 城彰二氏だ。

アスリート ジャーナル | アスリート発信の新たな形のジャーナリズム | 本田の暴走を許すな!

 「持ちすぎだ。もっとシンプルに攻めていい」と不満を漏らす選手もいた。極論から言えば、本田一人が、暴走しているようにも見える。彼が「パスでつないで崩す」という理想を追い求めるならば、この先、チーム内で孤立してしまう危険性もあるだろう。

ジーコジャパンのとき、中田英寿氏が、同じように理想を追い、チームで孤立して、結局は、チームはバラバラになってしまったが、そのときのチーム状態に似てきてしまっている。

城氏の解説は、寡黙ではあるものの、なかなかよい解説だと思っていたのだが、「本田暴走論」を放つとは!(苦笑)

そうだろうか?

テレビ観戦しているファンのひとりの感想としては、そうは見えない。
派手な格好と、マスコミには無愛想な受け答えから、ヒール的なイメージが定着しているから、なにかと叩かれる立場にはいるようだ。

本田圭佑 選手

本田圭佑 選手

しかし、カメラの前では見せない素顔を、チームメイトがときどきポロッと漏らすが、けっこう気さくな奴らしい(笑)。試合中やカメラの前では、クールでエゴイスティックなように見えているだけに思える。ただ単に、くそ真面目で不器用なだけなのかもしれないが。

本田は強がりではあると思う。
高い目標を掲げ大口を叩くのは、自分に課すプレッシャーであり、同時に弱い自分を隠すためだろう。強がりの人間、あるいは自信家の人間は、弱さやコンプレックスも抱えているものだ。弱さを見せたくないから、傲慢に振る舞ったりする。強さと弱さが危ういバランスで拮抗している。

本田の無愛想や異端児的な行動は、本性を知られたくないという防御でもあると思う。
私には、そのように見える。

敗戦後に、無言を通すことがあるのは、負けたことの悔しさもあるだろうが、自分自身に怒っているのと、心の中で悔し涙を流しているのではと思える。
ほんとうはシャイで泣き虫なのではないか?
その気持ちを殺すために、無愛想になる。無言で無表情を通せば、本音は悟られない。

本田のプレーを見ていれば、彼が孤立しているとは思えない。
彼は自分で得点しようともするが、周りを活かそうともする。周りは彼にボールを集め、彼に突破口を切り開かせようとしている。孤立するような立場にいたら、そういう関係は築けないものだ。

本田がチームの中心的な立場にいるのは、経験と実績があるからだけではなく、チームメイトからの信頼があるからだろう。
長谷部がキャプテンとしてチームの潤滑油だとしたら、本田はチームをひとつにする接着剤みたいなものだ。

ややエゴイスティックなところはあるが、他国のチームのエース級選手のエゴに比べればかわいいものだ。日本チームの中だから、本田のエゴが目立ってしまう。日本人選手は協調や素直さを「よし」とする傾向にあるから、火を噴くような強烈な個性を持った選手がなかなか育たないのだと思う。
本田程度のエゴの強さを「暴走」などといわれてしまうようでは、強豪チームにはいつまでたっても勝てやしない。

高い理想を持つことが批判されるようでは、進歩は望めない。
城氏は現実的になれというが、南アフリカ大会のような戦い方をすることが「現実的」で「正しい」ことなのだろうか?
弱者なのだから、弱者の戦い方をすることがベストなのだろうか?

たしかに、日本は世界的には弱者のチームだ。
だが、現実的だからと、いつまでも弱者の戦い方をしていたら、それ以上にはなれはしない。
「勝てばいいんだ」という意見もあるし、勝って欲しいとも思う。

サッカー評論家の方たちは、ことあるごとに「進歩がない」とか「停滞している」とか「新鮮みがない」などという。にもかかわらず、南アフリカ大会と同じような弱者の戦い方をしろとは、どういうことなのだ?
それこそ、進歩がなく停滞していて新鮮みがないではないか!
前回大会よりも高い目標を掲げるのは当然としても、サッカーの質というか戦い方も、進歩しなくてはいけないのではないか?

守備的なチームとしてではなく、攻撃的なチームとしてW杯で勝利をあげる。

それこそが、新しい時代の日本代表なのだと思う。
かれらは、その方法を模索している。
まだ、その方法がうまくいかず、成果を上げていない。しかし、その挑戦はするべきなのだ。
W杯までに間に合うかどうかはわからないが、その挑戦は理解し、応援したい。サッカーは守備も重要だが、攻撃的なサッカーの方が断然面白い。

関連した記事で、城氏はこんなこともいっていた。

城彰二氏が提唱。「本田は理想を追いすぎ」。(本郷陽一) – 個人 – Yahoo!ニュース

本来の日本の武器は左サイドからの崩しでしたよね。それをさらに高いレベルに積み上げていかねばならない時期でしょう。

攻撃の方法が、「左サイドからの崩し」しかなかったら、左を潰せば攻撃の手段はセットプレー以外になくなる。それは対戦する相手チームにとっては、封じやすいことを意味する。対戦チームのことは徹底的にリサーチされるわけだから、手の内が限られている相手ほどくみしやすくなる。

攻撃のオプションとして、左だけでなく、右も中央もと持てれば、対戦相手もやりにくくなる。
簡単ではないにしても、左サイドだけに頼るのはリスクが大きい。「左サイドからしか崩せない」と批判していた人がいたと思うが?
監督の考えなのか、本田の考えなのかはともかく、オプションとして持っていたいのは理解できる。

監督交代論や本田暴走論が出てくるのは、日本が無駄に早くW杯出場を決めたからでもある(笑)。アジアのW杯予選のスケジュールは早すぎなのではないか?
ヨーロッパでは、今月になって、ようやく出場国が決まりつつある状況だ。多くの参加国は、これからW杯のための本格的な準備を始めるのだ。早く決まった日本が、この時期からワタワタと慌てているのは滑稽に見える。

人間がやるスポーツなのだから、好不調はある。スペインやブラジルでも、親善試合で負けることがあるんだ。結果が重要なスポーツではあるが、親善試合で勝つことが目標ではない。そりゃ、勝って欲しいけど、ホームで戦うチームが強いのは、どこの国でも同じ。
日本チームの内部事情は知るよしもないが、海外でプレーする選手が多くなった現在の日本代表は、中田英寿氏が代表選手だった頃とは状況が違う。本田だけが特別なわけではないからだ。

本番はW杯だ。
あと8か月。出場が早く決まった日本は、モチベーションが低下したり、もがき苦しむ月日が余計に長くなってしまった。そのことの弊害もある。

弱者のサッカーに退行するよりも、理想を追求して欲しい。負けるにしても、無得点で負けるのではなく、コンフェデのイタリア戦のように、点の取り合いで負けて欲しい。

私は、攻撃的な日本代表を見たいのだ!

(Visited 29 times, 1 visits today)