かつて、色鉛筆や絵の具にあった色名表示の「肌色(はだいろ)」は、人種差別を想起させるとして根絶されたと思っていた。
しかし、いまだにその色名が根強く生き残っているらしい。
ファミマ、「はだいろ」表記のPB下着を回収:朝日新聞デジタル
ファミリーマートは26日、新たに発売したプライベートブランドの衣料品の色の表記で不適切な表現があったとして、店舗から回収したことを明らかにした。女性向けの下着で「はだいろ」と記しており、社員や加盟店から不適切ではないかと指摘する声が出たという。
(中略)
ファミマによると、同シリーズを関西地区で先行発売した際は「ベージュ」の表記だったが、全国展開する際に「はだいろ」に変えた。「ひらがなにして、幅広い世代に受け入れてもらう」狙いだったという。
驚くべきは、この記事に対するヤフコメで、「問題ない」とか「過剰反応だ」とする意見が圧倒的に多いことだ。
『ファミマ、「はだいろ」表記のPB下着を回収』に対するヤフコメ
いやはや、いまだに「肌色」という色名表記に対して、こんなに鈍感で無神経な人が多いのか……と再認識した。
その原因は、自分の周りに外国にルーツを持つ人たちがいないからだ。
日本にいる外国人は相対的に少ないので、外国人の友だちがいる人は少ないだろう。地方に行けば、もっと少ない。身近に日本人とは異なる、顔つき、容姿、髪色、肌の色、目の色、言語、慣習……などの違う人々がいれば、「肌色」が同じではないことは感覚的にわかる。そして、それぞれの違いがセンシティブな問題であることも理解できるはずだ。
日本の教育は、「みんな一緒」の均質化が基本なので、異質なものは排除したりイジメの対象になったりする。
それが校則で「髪の色は黒」として、地毛が茶色だと黒く染めさせたりする行動になる。
さすがに肌の色まで限定していないだろうが、「肌色」が決められているとしたら、黒い人は色を白くしろというのかね?
目の色は黒じゃないと注意されるらしい。だとしたら、肌の色もありえるかもしれない。
そういう肌の色に関する画一性を求めることが、「はだいろ」という色表現の背景にある。
それが『日清の大坂なおみ「アニメCM」の肌色問題』という事例にもなった。
肌色はこの色……と刷り込まれてしまっているのだ。
昨晩だったかTVで、サッカー選手の鈴木武蔵さんが、肌の色の違いで差別されてきた生い立ちを語っていた。「肌色」の言葉は、同じではない肌色に対して差別やイジメを生じさせる。こんな理不尽なことはない。
無自覚の差別ほどやっかいな問題はない。
当人が差別だと思っていないから、躊躇なく差別表現を使ってしまう。
注意されても、「なにが問題なのか?」と逆ギレする。
オリンピックの元会長の女性差別発言や、元演出家のブタ発言も、当人はそれを差別だと思っていないから、平然と口から出てきたものだ。
根っこは同じ「無自覚の差別」なんだよね。