電子ブックは注目はされるものの、ブームというほど火がついているわけでもなく、種火程度の状況だ。
ブームの牽引役となる端末が頭角を現していないことも一因だが、そもそも本を積極的に読む潜在的なユーザーが少ないことも影響しているのだろう。音楽やゲームとは、エンターテイメント性で異なるのが「本」だともいえる。
Kindle Paperwhiteが発売されたが、どれほど売れるかで状況が変わるかもしれない。
一足先に……というより、勇み足で発売された楽天のkoboは、損な役回りを演じることになっているようだ。
中古品が投げ売り! 楽天「コボタッチ」がもたらした意外な効果 – デジタル – 日経トレンディネット
中古ショップにコボタッチが大量入荷したのは、楽天が特定のユーザーに無料で配布したのが原因だ。2012年10月下旬、楽天カードの新規加入者や一部の楽天プレミアム会員に向けて、楽天からのプレゼントとして送られるケースが相次いだ。不要と判断した人が、未使用のまま中古ショップに売却したことで大量のコボタッチが入荷し、半額近い投げ売り状態となったわけだ。
(中略)
投げ売り状態のコボタッチだが、意外な効果をもたらしていた。ソニーの電子書籍端末「Reader」の売れ行きが加速しているのだ。「コボタッチを購入して電子書籍に興味を持ったものの、使い勝手やコンテンツの品ぞろえに不満を持ち、ソニーをはじめとする他社製品に注目して乗り換える客が多い」と、北風氏は語る。
タダで配っても、未開封のまま中古市場に売られるとは、いかに魅力が乏しいかを表している。ユーザーは正直だから、つまらないものは処分する。結局、安かろう悪かろうだったということだ。
koboは踏み台にされ、別の端末が売れるという皮肉。
そういう意味では、koboはそれなりに貢献しているともいえる。kobo側にはメリットはないが。
端末が安ければ、売りやすい、売れやすいということではあるのだが、逆に安いものは大事にしない。処分するのも躊躇がない。
6万円のタブレットだったら傷をつけないように大事に使おうという気になるが、3千円の電子ブックリーダーだったらあまり大事にはしないだろうね。
大事にされず、すぐに捨てられてしまう端末に未来はない。
電子ブック戦国時代の覇者は、数年後には決していると思うが、その戦場には捨てられたkoboの残骸が累々と横たわっているのかもしれない。
捨て石、踏み台は必要ではある。
勝者は屍を乗り越えて、先に進む。
koboよ、君の死は無駄にはならない。
君の失敗が、あとに続くものの糧となったのだ。
そのくらいの価値はあったと、のちの時代は語り継ぐだろう。