新型コロナに対する知見は、少しずつ解明されつつある。
「夏になると新型コロナは終息する」という、不確かな説があったが、その裏付けになると思われる調査結果が出てきた。
2020年6月19日ニュース「『新型コロナは人口密度が高いほど長期化の傾向』、名工大が分析」 | SciencePortal
また、14都府県に埼玉、静岡、滋賀、広島、佐賀各県を加えた19都府県を対象に分析した。その結果、感染拡大と収束の期間は人口密度と強い相関関係があった。温度や湿度(絶対湿度)が同じ場合、例えば人口密度が約5倍になると、拡大と収束の期間が5日程度延びるという。このほか、気温や湿度という因子との相関関係もはっきりと出て、高温、多湿になると拡大と収束の期間が短くなる傾向があることも明らかになった。
人口密度と拡大と収束の期間の相関は、他の感染症でも同様だから、当然といえば当然。
ただ、この調査の成果は、「人口密度が約5倍になると、拡大と収束の期間が5日程度延びる」との具体的な期間を導き出したこと。この目安があれば、地域ごとの警戒期間を想定するのに役立つ。
もっと注目すべきは、「高温、多湿になると拡大と収束の期間が短くなる」という点。
年間を通して暑い熱帯地方でも感染は広がっているので、高温だけでは抑制につながらないが、高温+多湿という、2つの要素で感染が抑制される可能性が高まったとはいえる。
たとえば、インドネシアは年間を通して高温多湿だが、年平均で気温は29℃、湿度は約80%だという。ただし、気温が34℃を超えることは少なく、日本でいうところの猛暑日は少ないそうだ。
そのインドネシアの感染状況は、死亡者数が2,429人。
一見多いようにみえるが、人口が2.677億人 (2018年)と日本の2.12倍なのに加えて、医療の行き届かない貧困層も多いので、対人口比率などの諸条件からいえば日本と大差ない。
現在、感染が拡大しているブラジルのサンパウロは、南半球のため冬に入っていて、高温多湿ではなくなっている。北半球がピークだった2〜3月は、ブラジルはまだ夏だったので、感染者が発生しても拡大スピードは鈍かったのだろう。
そもそも新型コロナという名前が示すように、COVID-19(ウイルス名はSARS-CoV-2)はコロナウイルスの新種というより亜種なわけで、基本的な特性は他のコロナウイルスと類似していると考えるのが妥当。
これまでの経過を見れば、従来のコロナウイルス(ようするに普通の風邪)と同程度の感染力だと思われるが、亜種のために免疫が働きにくく、重症化や致死率がいくぶん高くなっていると思われる。
とはいうものの、ここまでの経過からいえば、世界的に見ても例年のインフルエンザ※と比較して、それほど凶悪なウイルスではないとはいえる。
日本においては、インフルエンザよりも桁違いに少ない感染者数と死者数に留まっている。
※インフルエンザは世界で年間、1億人が感染し25〜50万人が死亡。国内では、1000万人が感染し1万人(関連死を含む)が死亡している。
緊急事態宣言を出して、人々の自由を制限し、経済的な自滅を促進してきたが、そこまでして恐れる必要はなかったウイルスだともいえる。
しかし、過剰に恐怖心を植え付けられてしまったために、その呪縛から逃れられなくなっているのが現状だ。
抗体保有率が0.1%という厚労省発表があり、99.9%の人には感染しなかったという事実が明らかになっても、恐怖心は拭えない。インフルエンザの感染率は10%だが、新型コロナは0.1%と、100分の1にすぎないというのに。
ワクチンがないことを問題にされるが、インフルエンザはワクチンがあっても高い感染率と死亡率になっている。どっちのリスクが高いかといえば、インフルエンザの方が100倍危険なんだ。
もっと冷静にリスク評価をした方がいいと思う。