ウイルスに善悪はない

ウイルスに善悪はない

朝から晩まで、新型コロナのニュースばかり。
感染者が何人出た、死者が何人になった……と、まずはそこから始まる。
頻繁に取り上げるから、パニックを増長させてしまっている。
毎年流行するインフルエンザで、こんなに報道されることはない。感染者数も死亡者数も桁違いに多いにもかかわらずだ。

そこへきて、ウイルスを擬人化する芸能人まで出てきた。

松本人志 新型コロナは「人の優しさに付け込んだ、非常にタチの悪いウイルス」― スポニチ Sponichi Annex 芸能

人の優しさに付け込んだ、非常にタチの悪いウイルスですね

ウイルスが、なにか意図的に行動を起こしているわけではない。
そもそも、ウイルスに善悪は存在しない。
そんなふうに情緒的に考えること自体が愚かなのだ。

ウイルスの目的は、生存本能であり増殖して子孫を残すこと。ウイルスを生物と呼ぶかどうかは議論のあるところだが、自分のコピーを作り、増殖して、存続することが生きることでもある。

ウイルスはウイルス単体では生存できないので、他の生物に寄生する。
寄生した宿主が死んでしまっては、ウイルス自身も生存の危機になるから、宿主を殺さない程度に寄生する。新型コロナの宿主はコウモリではないかと推測されているが、感染されたコウモリは死に至るような状態にはなりにくい。

ウイルスは意思を持って感染対象を選んでいるわけではなく、たまたま感染可能なところに豚や人間がいたために、体内に侵入する。
ところが、ウイルスにとっては、侵入した人間の体は長く生存するためには不都合な環境だった。白血球に絶えず攻撃はされるし、宿主は死んでしまうし、安住の地にはなれない。それでも増殖することが生きることなので、次なる宿主を求めて周りにいる人間に感染していく。

進化の歴史の中で、ある種のウイルスは人間の体内に取り込まれ、遺伝子の一部に組み込まれたりもする。言い換えると、ウイルスは遺伝子の実験場で、その中で人間にとって有益なものは、DNAとして取り込んできた。
ヒトゲノムのうち、45%はウイルス由来だという。

また、ヘルペスのようなウイルスに感染していると、他の菌に感染しにくくなるともいわれる。ミクロレベルの体内環境は、細菌やウイルスなどの微生物の集合体でもあるのだ。

長い目で見れば……数万年レベルのタイムスケールだが……様々なウイルスに感染して、淘汰されていく過程で、人間はDNAレベルでの進化が進むと考えられる。
現在の人間は、その結果でもある。
いわば自然界の中での遺伝子操作だ。

人類を生物として俯瞰した場合、感染症は適応できない個体の間引きであり、進化の実験だ。
地球をひとつの生命体としてとらえる「ガイア」とするなら、人間はガイアの体内に寄生する微生物のようなもの。
環境破壊をする人間は、さしずめ悪玉菌かガン細胞だ。
ガイアの免疫機能は、悪玉菌を排除するために、ウイルスを使って攻撃しているのかもしれない。

人間は地球の支配者のつもりだが、じつのところ寄生しているだけに過ぎない。
ウイルスとの戦いは、ガイアの免疫系との戦いともいえる。

とまぁ、そんなふうに考えることもできる。

LINEで送る
Pocket
LinkedIn にシェア