私も何度か小説の新人賞に出したことがある。
結果は、〈書斎〉のプロフィールに書いているとおりで、1次選通過した程度だ(^_^;
友人・知人に作家業やライター業をしている人もいるが、書くことで食べていくことはなかなか大変そうだ。
ベストセラーを出せば、作家としての知名度や収入も上がるが、新人賞を取っても、最初の1冊だけで、あとは消えてしまう作家も少なくない。
つまり、食えないわけだ。
そんな新人賞に高額な賞金を出すところが増えている。
asahi.com:2千万円文学賞、新人育つ?
ベストセラー作家を生む鍵は、むしろ受賞後の作家育成にあるという意見が文芸関係者の間には多い。大手出版社の小説誌編集長は「新人賞が即戦力を求めるだけの場になっている。作家の原稿と向き合って手を入れる編集者が減り、出版社による作家の囲い込みも進む。うまくいけばいいが、使い捨てになっている例が増えている」と話す。
多くの小説新人賞の予選委員を担当する文芸評論家・池上冬樹さんによると、大きな新人賞を受けて単行本デビューした作家が伸び悩み、公募の新人賞に再応募する例が目につくという。「すでに賞を取った作家は、心機一転して別の路線を目指すのでなければ、新人賞に応募するべきではないと思う」と話す。
たしかに、2000万円あれば、作家業に専念して、贅沢をしなければ少なくとも5〜6年は生活できる。
賞金が100万円だと、せいぜい半年くらいだ。これでは、書くことに専念するわけにはいかず、生活のための仕事を続けながら、限られた時間で作品を書いていくしかない。
だが、この仕事を別にしながら、作品を書くというのが、けっこう難しい。
9時〜5時で、きっちり終われる仕事ならまだいいが、毎日残業のある仕事だと、平日はほとんど作品を書く時間なんてない。
私もその口だ。
書けるのは、週末の休みだけ。その休みも、フルに使えるかというと、そうもいかない。
週末になると、たまった疲れがどっと出て、体力的にも精神的にも、創作意欲どころではなくなってしまうのだ。
私の場合、400枚の長編を書くのに要する時間は、フルタイムで書いて約1週間くらいだ。
朝から晩まで集中的に書くことができれば、1日50〜100枚は書ける。だが、問題は毎日続けて書けないことなのだ。
正味7日だとしても、それが週に1日しか書く時間がなければ、7週間、2ヵ月かかることになる。それも順調にいけばの話で、1ヵ月で1枚も書けないときもある。
そうなると、1つの作品を書き上げるのに、1年くらいかかることもあるのだ。
書けるときと、書けないときの間隔が開きすぎると、書くことのテンションそのものが失われていく。その結果、未完に終わる作品も少なくない。
毎日書き続ける……というのが、一番大事だし、会社勤めをしながらの環境では、それが一番難しいことでもあるのだ。
とはいえ、新人賞には、また挑戦してみたいと思う。
問題は、どうやって書く時間を確保するか……なのだが。