最近、CMやPR動画で放送中止や公開削除が相次いでいる。
視聴者の過剰反応ではあるが、その反応に対する広告主の過剰反応にもなっている。

「25歳からは女の子じゃない」 資生堂、「セクハラ」批判CMを中止 : J-CASTニュース

  資生堂は2016年10月7日、化粧品ブランド「インテグレート」のCMに対し「女性差別」「セクハラ」との批判がネット上に出ていたことを受け、同CMのテレビ放映を終了することを決定した。

(中略)

「大人の女性になるために試行錯誤している女性を前向きに応援するという、こちらが意図していたメッセージが視聴者に十分に伝わらなかった点などを総合的に判断した結果となります」

と説明した。その上で、同社の意図していない捉え方をする視聴者がいたことについては、「非常に残念に感じている」と話した。

すでに公式は削除されているので、コピー動画を。

続編は以下。

まぁ、感覚的には「24時間戦えますか?」と長時間労働を賛美していた、昭和の時代、バブル全盛期をイメージさせる。その当時、女性の結婚に関して25歳をクリスマスに例えて、イブまでに結婚しないとクリスマス当日のケーキは安売りされてしまうと揶揄していた。
それを意図したのかどうかはわからないが、古い価値観を喚起させることにはなっている。
今どきの女性に、そういうセリフをいわせていることに違和感は感じた。出演しているタレントたちも、現実にはそんな感覚は持っていないだろうと思う。

このCMのなにが問題かといえば、女性の年齢を25歳と設定したことがひとつ。
25歳の女性を「女の子」とはいわないし、「女の子」と呼ぶときは、好意的な意味ばかりではなくバカにする意味合いも含まれる。
これが20歳だったら、まだ救いはあった。成人年齢を引き下げるとかいう話も出ているが、今のところ20歳は成人として認められる。19歳までは少女であり「女の子」と呼んでも違和感はない。

2つめの問題は、女性の評価や役割を男性目線で規定してしまったことだ。

「今日からあんたは女の子じゃない」
「もうチヤホヤされないし、ほめてもくれない」
「カワイイという武器はもはやこの手には、ない」

この女性に対する評価の背後には、男性の目線がある。それは性的な目線でもある。「女の子」というのは男だし、チヤホヤするのも男だし、カワイイが武器として通用するのは男相手の場合だ。
女性が女性を評価するときは、こういう視点にはならない。

ウナギ少女の動画の場合と同じで、男性目線の女性像であり、女性の性的な面をアピールしている。
もちろん、セックスアピールは必要ではあるのだが、間接的な表現でありながらも無意識下の露骨さがにじみ出ていることで、あざとく感じてしまうのだと思われる。

ネット上で噴出したという批判は、予想できたはずだ。もし予想できていなかったとしたら、危機管理としてそっちの方が問題。
どんなCMであったとしても、好意的な意見と批判的な意見は出てくるものだ。往々にして、批判的な意見の方が目立ってしまうから、それに対して広告主は予防措置を想定しておく。あるいは、批判覚悟で公開する。
公開したあとに、批判されて引っ込めるというのは最悪の対応だろう。それだったら、出さなければよかったという話になってしまう。

完成したCMについて、制作側と広告主側だけで良し悪しを判断しているのも、問題点を予見できない一因なのではないか?
一般公開前に試写会などを行って、視聴者の意見を聞くなどのプロセスが必要かもしれない。
制作側の意図したことが、きちんと伝わることは少ない。それはCMに限らず、映画やドラマでも同様だ。
批判的意見は必ず出てくる。
批判を恐れていたら、なにも作ることはできなくなってしまう。
むしろ、批判を堂々と受ける覚悟が必要だ。

私のこのCMに対する意見としては、こういう価値観はまだまだ残っているのが現実だよね……とは思う。ただ、現実がそうだからと、直球でそれを表現されてしまうと、カチンと来てしまうものだ。
言われたくないこと(言ってはいけないこと)を言われてしまったことが、炎上してしまった要因だと思う。

LINEで送る
Pocket
LinkedIn にシェア