5月にサミットが伊勢志摩で開かれるが、誘致のときはそこそこ話題になったが、あと2か月となった現在は、あまり話題にはなっていない。
G7各国の首脳が集まっての会議なのだが、直接顔を合わせること以上に、なにか実りがあるわけでもなく、お茶会程度のイベントになってしまっている感がある。
サミットを餌にして、観光に結びつけようという目論見も姑息ではある。
そのためのPR動画が、これまた絶望的にダメダメな内容だった。
神宮や海女、F1… 三重、県民会議がPR動画作成:伊勢志摩サミット:中日新聞(CHUNICHI Web)
「伝統と革新が共存する場所、三重」をテーマにした三十秒の動画で、知事が直接視聴者に三重の素晴らしさを呼びかける内容。伊勢神宮を中心に、海女文化やF1、航空機産業など、三重の幅広い文化を紹介する。
どこが 「三重の幅広い文化を紹介」なんだろう?
知事の紹介が一番目立っている(笑)。きっと、「三重県の知事って誰?」という疑問に答える動画なんだ。
この動画について、鋭いツッコミを入れている記事が以下。
伊勢志摩サミットのPRは「見ていられない」:日経ビジネスオンライン
5月にG7サミットが開催される三重県では、注目を集めるチャンスとばかりに情報発信に力を入れているようですが、あまりのナンセンスぶりで、見ていられないレベルになっています。
(中略)
知事自身が読み上げているその内容を文字に起こしてみましょう。
—– 伊勢神宮の「伝統」は、千三百年以上に及ぶ遷宮という「革新」を繰り返し、受け継がれてきました。
この「伝統」と「革新」の共存は、三重県に持続可能性を生み出し、テクノロジーの進歩を後押ししています。
古くから共存共栄の精神が息づく三重県は、サミット開催にふさわしい場所てす。
皆様、ぜひ三重県へ、お越しください。—–
わずか四文で構成されている短い文章ですが、まるで独り言ポエムのような、何を言っているのかよく分からない内容です。
ダメダメぶりは、鶴野充茂氏の分析が的確。
これを見て、三重県に行きたいと思う人は、たぶん皆無。
知事の顔なんて見たい人はいないだろうし、この動画に三重県の魅力がつまっているわけでもない。
ようするに、知事が出演したいだけの動画なのだと思う。選挙用の宣伝動画のようにも見える。
動画といいつつも、写真を並べているのがほとんどで、動いているのは知事と水中の海女だけ。予算的には安上がりだと思うが、作り方としては素人レベル。実際には、どこかの制作会社が下請けしているのだろうが、低レベルの作りではあっても、そこそこ制作費は請求していると思う。この手の役所からの下請け仕事は、内容いかんに関わらず、民間同士の相場より高く請求できるので、おいしい仕事の場合が多い。
知事の読み上げたコピー(文章)は、知事本人が考えたのか、コピーライターが考えたのかは不明だが、言葉を羅列しただけで文章力が乏しい。
コピーライターがこの文章を出してきたら、私なら速攻で却下だね。もう一度練り直しを指示すると同時に、別のコピーライターに発注をかける。再提出されるコピーが使いものにならないときに備えて、プランBを用意しておくためだ。
一般公開する前に、知事を始めとして関係者は視聴したはずだが、そこでダメ出しできない時点で、もうアウトだね。
これを見て「素晴らしい」と感動したか?
「面白い」と思ったか?
「これは話題になる」と思ったか?
まぁ、ダメダメっぷりで話題にはなっているのだが、そういう評価でいいのか?
少なくとも、知事の顔は知られることになった、とはいえる。それが成果なのかな。
最近、なんでも公募することが流行っているから、サミットPR動画も公募して、賞金100万円くらい出せばいいのに(笑)。オリンピックのエンブレムだって、たった100万円なんだから、応募する人はたくさんいると思うよ。その方が、ぜったい面白い動画が集まる。100万円の制作費は安いものだよ。