小説と出版の関連記事を2つ。
NIKKEI NET:企業 ニュース「若者向け書籍強化、小学館はイラスト付き小説」
小学館やソニー・ピクチャーズエンタテインメントなどが10―20代を対象にした書籍事業を強化する。小学館が今春、イラスト付き小説「ライトノベル」に本格参入。ソニー・ピクチャーズは携帯電話を使って書いた小説で新人作家を発掘し、書籍化する。書籍市場の長期低迷が続くが、ファンタジーやSF、恋愛などを題材にした若者向け書籍はここ1、2年急成長して、3000万部市場ともいわれる。ネットや携帯電話に慣れた10―20代向けの書籍で市場を開拓する。
営業 連載企画:Biz-Plus「意外に古い出版社マーケティング」
次に商品開発だが、独自の市場創造視点や体系的な商品開発プロセスを持つ出版社は少なく、刊行される書籍のテーマも、例えばビジネス書では多くの企業が「お金(お金儲けの方法や投資などの錬金術)」に集中し、出版社として発揮すべき独自の事業コンセプトや商品開発哲学が見えてこない企業も多い。
ライトノベルが売れているとはいうものの、稼ぎ頭はアニメ化などの映像とセットになっているのが大半だろうと思う。あるいは、映像やゲームが先で、ノベライズしたものもライトノベルの中には含まれている。
子どもたちの活字離れがいわれて久しい。私が中高生だったころから、そうしたことはいわれていた。
当時(1970年代初期)はテレビゲームなどはなかったから、活字離れの犯人にされたのはテレビとマンガだった。
それから30年あまり、ずっと活字離れが言われ続けている。
だが、ベストセラーが少なくなったからと、活字離れとはならないだろう。
それは売る側の論理で、読者の側の感覚とはかけ離れている。
そのことを反映しているのが、後者の記事だ。
金儲けの秘訣をオープンにしたら、その時点で秘訣ではなくなる。
自己矛盾なのだ。
その本が100万部売れたら、100万人の金持ちができるかというと、そんなことは現実的にはありえない。
結局、儲かっているのは、本の著者だけだという、笑い話。
本だけではなく、その手の詐欺まがい商法も少なくない。
ライトノベルは、その名前が示すように、とにかく「軽い」(^_^)
1冊の単行本でも、同程度のページ数の翻訳物の単行本と比べたら、文字数は半分かそれ以下だろう。
ここまでスカスカに軽くしてもいいのか?……と思ってしまうほどだ。
だが、それは小説という固定観念があるからだ。
ライトノベルを読む読者にとって、それは小説と言うより「物語」なのだ。
文字だけで作られた物語であり、ひとつの手法にすぎない。
アニメと連動していれば、キャラのイメージはできあがっているし、世界観もわかりやすい。小説では細かいな描写は省き、セリフとト書きだけのシナリオのような体裁でも、物語を楽しむことが可能となる。
極端な話、コマ割りのないマンガなのだ。
読者が欲しているのは、芸術的な文学ではなく、楽しめる物語なのだろう。
アニメだけではなく、実写のテレビドラマが原作をマンガに求める傾向が強くなった。
それはマンガに、魅力的な物語が多く、認知度も高いため、リスクが減るからだ。
ライトノベルも似たような位置づけにある。
ライトノベルからアニメへ。あるいは、アニメからライトノベルへと、連動することで市場が成り立っている。
涼宮ハルヒの憂鬱
は、その典型的な例となっているようだ。