元JAXA専門家の「プラネテス」批判はなにが問題だったのか?

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アニメや映画には、なにかと批判がつきまとう。
作品がSFの場合は、科学的・技術的な問題点を取り上げられる。
私もレビューでいろいろとツッコミをしたりするが、ツッコミどころのないSF作品は、ほぼ皆無だろう(^_^)b

で、そのツッコミをするのにケンカ腰だと反感を買ってしまう。
そんな典型的な例がニュースになっていた。

宇宙アニメ「プラネテス」に「何処が面白いんだ」 元JAXA専門家が猛批判…原作者「ボクの力不足」: J-CAST ニュース【全文表示】

宇宙機エンジニアの野田篤司さんが2022年1月25日、宇宙を舞台としたSFアニメ「プラネテス」に対し「何処が面白いんだ」「実際に宇宙をやっているプロとして迷惑している」などとツイッターで批判した。

このニュース記事はYahoo!ニュースに転載されたため、多くの人が目にすることになった。
案の定、プチ炎上案件となり、野田氏に対する批判が噴出した。
その第一の理由は、上から目線のケンカ腰だったためだ。

すると、ニュースが出た翌日には……

宇宙アニメ「プラネテス」猛批判の元JAXA専門家が一転謝罪 投稿削除「敬意を欠いた発言でした」: J-CAST ニュース

27日夕、野田さんは「先日、Twitterにて分をわきまえない不適切な発言をしたことをお詫び申し上げます」とツイート。上記一連の投稿を削除のうえ、制作者やファンらに向けて下記のとおり謝罪した。

「同じ宇宙を目指す立場であるにもかかわらず、原作者様並びにこのアニメに関わる方々に対し敬意を欠いた発言でした。また、作品のファンの皆様に対して大変失礼な発言をしてしまったことをお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」

……と、火消しのために謝罪メッセージを発信した。

おそらく、逆批判の反響の大きさにビックリしたのだろうね。
当人の本心はわからないが、周りの人たちが焦ったのではと想像する。「元JAXA専門家」という肩書きを背負っているから、JAXAにとってもイメージダウンになってしまう。
アニメの「プラネテス」には、JAXAが取材協力として名前を連ねていたからね。
背後には大人の事情もありそうだ。

プラネテス Blu-ray Box 5.1ch Surround Edition
「プラネテス」

元JAXA専門家で宇宙については詳しいのかもしれないが、SNS上でのネットリテラシーについては軽薄だったということだ。最近では死語になった感があるが、バカッターが作動したともいえる。

原作者やアニメの制作者と面識があるわけでもないのに、こんな物言いをする神経は、還暦過ぎた大人としてどうなのよ?
謝罪文で「敬意を欠いた発言」と書いているが、おそらく普段からそうだから、普段通りの発言をしたのだと思われる。彼の周りの人や彼の部下だった人は、「いつもどおりのあの人だよ」と陰口をたたいているのが想像できる。

野田氏の発言にホリエモンが同調していたが、ホリエモンはいつもケンカ売ってるから違和感はない。野田氏もケンカを売るなら、その姿勢は貫いた方が潔かった。

野田氏が批判した問題点の指摘自体は間違っていない。
ツッコミどころはたくさんある。デブリがウヨウヨいる宇宙空間で、人力でデブリ回収するなんて無謀の極みだしね。
それはネット民が比較対象として取り上げた「宇宙兄弟」についても同様で、ツッコミどころはいろいろとある。

野田氏がケンカ腰であったこと以上に問題だったのは、説明責任を果たしていないことだ。
「実際に宇宙をやっているプロとして迷惑している」
ここが一番のポイントで、どういう迷惑を被っているのか誰もが知りたいのに、その説明がない。
その迷惑がなにかによって、業務妨害になるだろうし、名誉毀損にもなるかもしれない。

とはいえ、「プラネテス」は2003〜2004年にNHK BS2で全国放送されたものの、そんなにヒットした作品ではない。視聴率の記録を見つけられなかったが、同時期のBS2の番組ランキングに出てきていないので、視聴率は2%以下だったのではと思う。
どちらかといえば、マイナーな作品の「プラネテス」にどれほどの影響力があるかは疑問だ。

謝罪したのはいいとして、迷惑の詳細を発信してほしいものだ。
説明責任、それこそがリアリティを追求する科学者・技術者のやるべきことではないだろうか?

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