強い毒を持つ「ヒアリ」が貨物コンテナから見つかったことで、国内に定着することが心配されている。
水際で防ごうとしているようだが、おそらくそれは不可能。
見つかったヒアリは、運をよく見つかったと考えるべきで、見つかることなく上陸しているヒアリは多数いるだろう。
専門家「シン・ゴジラ」に匹敵、毒アリ生息域拡大の恐れ|MBS 関西のニュース
ヒアリは先月26日、中国から神戸港に陸揚げされたコンテナを尼崎市内で開封したところ大量の成虫や卵が見つかり、追跡調査が行われていました。神戸市によると神戸港ではコンテナから20〜30メートル離れたアスファルトの亀裂に群がっていたということですが、これまでに繁殖の母体となる女王アリは見つかっていないということです。
女王アリは見つかっていないということだが、アリの生態を知っていれば、それはあまり意味がない。
コロニーを形成したアリの群れの中で、卵を産むのは女王アリなのだが、働きアリは基本的に雌であり、生殖しないのは巣の中の条件により制約されているからだ。働きアリは生殖能力はないが、体内には卵巣が備わっている。条件さえ整えば、生殖能力を有することになる。
女王アリがいなくても、数百匹のヒアリがいて、集団行動をしていれば、働きアリの中の1匹が女王アリに変化するはずだ。
そのへんは、蜂と同じ。
アリは社会性昆虫ともいわれるが、その表現は擬人化的なものだろう。
むしろ、群れ全体でひとつの生物と考えた方がいい。役割の異なる個々のアリは、人間でいうところの手足であり、女王アリは頭脳と生殖器のようなもの。
日本に運ばれるすべての貨物を検査するのは、現実的には難しい。わずか数ミリのアリを目視で確認するのは至難の業。大量にいれば発見もしやすいが、数匹〜数十匹だと、ほぼ素通りではないか?
貨物はひっきりなしに陸揚げされているわけだから、たとえ数十匹だとしても、毎日のように次々と上陸していれば、仲間同士で合流することも可能な気がする。
アリにも生存本能はあるから、群れとして危機的状況になれば、働きアリが女王アリに変化する必然性は高まる。
すでに、女王アリのいる小さなコロニーを形成していると考えた方がいい。
今回は神戸で貨物の中から見つかったが、巣を作ったヒアリが見つかるのは時間の問題ではないかと思う。
気候的な条件からいえば、温暖な九州南部〜沖縄かな。
台湾あたりからゴミに乗って、黒潮を北上し、沖縄経由で侵入する可能性もある。大型台風が台湾を襲ったりすれば、海に流されるゴミとともヒアリも便乗してくることもあるかもしれない。本来、生物はそうやって生息域を広げてきたのだから。
アリは、私の撮影対象でもあるので、注意して見てみよう。