「国に届け」は「自民党に届け」の間違いでは?


ネタとしてはちょっと古いが、自民党のパンフ「国に届け」のマンガについて。
参院選が近くなったことで、再び注目を集めているようなのだが……

女子をバカにしている! 自民党のパンフ「国に届け」炎上 「『君に届け』のパクりではない」と党側 (1/3) – ITmedia ニュース

 自民党が作成した若者向けパンフレットが批判にさらされている。今回の参院選(7月10日投開票)は選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられる初の国政選挙とあって、若年層に投票を呼びかけるために作ったものだが、掲載した漫画が逆に「女の子をバカにしている」などの集中砲火を浴びることに……。図らずも“炎上商法”に成功した格好となり、党幹部も強気だ。果たして自民党の得票に吉と出るか、凶と出るか――。

そのマンガは、以下にある。
18歳選挙パンフレット「国に届け」 | 自由民主党

マンガは縦書きなのに、左開きになっているという、メチャクチャな構成になっている。
パンフレットを制作したのは下請けだろうが、こういういい加減さが自民党のいい加減さでもあるのだろう。縦書きの文章を、左から右に書くようなもので、これは「非常識」というのだよ。

電子ブックの体裁になっているが、見にくいのでページごとに切り出しておく。

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-1

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-1

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-2

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-2

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-3

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-3

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-4

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-4

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-5

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-5

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-6

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-6

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-7

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-7

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-8

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-8

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-9

自民党のパンフ「国に届け」のマンガ-9

この内容では「国に届け」ではなく、「自民党に届け」だね。主語を間違っている。そもそも自民党が制作した、自民党を支持して欲しいためのパナフレットなのだから、「自民党に届け」でなければおかしいのでは?

このマンガについては、以下の記事が手厳しい評価をしていた。

「パクリ、男尊女卑」と炎上中の自民党の漫画。ダメっぷりを漫画の専門家に聞いた | 女子SPA!

「ターゲットがハッキリしないのが、批判が大きい理由でしょう。漫画には明確にジェンダーがあります。話の内容も、絵柄も、キャラ設定も、男女で好みがまったく異なるんです。しかしこの漫画はターゲットが男子なのか女子なのかわからないので、どちらからも共感を得にくい。『国に届け』は明らかに『君に届け』のパクリですが、内容がよければ批判にはつながらなかったはずです」

(中略)

つまり、生徒会長をするくらい人望が厚くて勉強ができるとか、顔立ちの良さをひけらかさない心の美しさが萌えポイントなのであって、肩書きそのものではないんです。そういった権威的なところにこだわるのはいかにも男性的な視点ですね。

女子は、イケメンの内面的な美しさがあった上で、キャラの手首や肘の骨、背中のラインや、服のシワ(ここ重要!)に萌えるんです。浅倉くんの私服を見てアスカが『やっぱりかっこいいな……』と言っていますが、残念ながら女子読者はひとりも共感していないと思います」

(中略)

自民党サイドの意向がいろいろあったのかもしれませんが、女性が共感しづらい内容になってしまったのは、やはり男性作家さんだからなのでしょうか。

「一般的に、男性が女性心理を理解するのは非常に難しいです。少女漫画界に男性作家は数名しかいません。この作品の作家が少年漫画を描く男性ということからしても、人選ミスと言えそうですね。かといって、イケメン生徒会長に女子が言い寄るストーリーでは男子にも届かないでしょう。そもそもが読者不在の作品なのです。

印象的なのは、浅倉くんが真面目な顔して『このまま人口が減っていくと経済にも影響が……』と少子化を憂えているところ。その言葉に対する友人男子の返事は『僕たちも何かしなきゃね』なのです。それって『子作りしよう』ってことなのでしょうか。オッサンたちの心配ごとを若者のセリフにしたら下ネタになった、というのが滑稽で笑えます」

ケチョンケチョンである(^_^)
私もほぼ同様の感想だ。
作者の中武士竜氏は、少年マガジンでデビューした新人とのことだが、不向きな内容と絵柄にしているようで、窮屈そうな印象を受けた。
「仕事は何でも請ける」というのは、新人にはありがちなことなのだけど、「何でも請ける」ことと「何でも描ける」ことは、必ずしも同じじゃない。今回のように、政治的な利用をされるマンガの場合は、中武氏自身が自民党の主義主張や考え方を肯定していることにもなってしまうので、そう受けとめられても良いのであれば問題ないが、そうではない場合はあとあと後悔することになるかもしれない。
作家として考えた場合、特定の政党に寄与することは、あまりプラスにはならないようにも思う。熱烈な自民党支持というのなら、話は別だが。

扉絵を含めて9ページの作品で、大きすぎるテーマを描くこと自体に無理があるとはいえ、この作品で作家性を問われるのは酷ではある。
「いわれたとおりに描いただけ」という事情も察せられるが、それでは自身の作家としてのポリシーを否定することにもなってしまう。
今後の作品を描いていく上で、この作品が「汚点」になってしまうのではと危惧する。

出身校のサイトにインタビューが出ていたが……

interview | 中武 士竜 |平成27年度大阪芸術大学卒業制作展

ー漫画家としての活動や今後の目標はありますか?

マガジンで活動は続けていく予定です。あとは、ジブリを超えられるといいなと思っています。宮崎駿さんを超えられたら世界が変わるかなと思いますね(笑)

宮崎駿超えを目指すのなら、「国に届け」のような雑な作品を描いてはいけないよ(^_^)
プロとして作品を描くときは、いろいろな制約の中で描かなければいけないが、安易な妥協をしていると、楽な方、楽な方に流れてしまう。
「ここだけは譲れない」という、妥協の最終ラインは死守することだ。
できないことは「できません」と、拒否する勇気も必要。

ネガティブな評価ではあるが、「中武士竜」で検索した人は少なくないと思われる。
私もそのひとりだ(^_^)
「国に届け」が「中武士竜」の代表作になってしまうと、そのイメージを払拭するのは大変そうだ。
ギャラはよかったかもしれないが、作家としての評価は下げることになってしまったと思う。
今後の奮起を期待する。

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